猫は飼いやすく、繁殖力が高い、ゆえに増えやすい
多頭飼育自体は、飼い主が責任を持って面倒を見れれば問題はありません。
しかし、飼い主の飼育できるキャパシティを超えていたら問題が発生します。当事者の飼い主も困るでしょうし、猫達もストレスいっぱい糞尿もいっぱいです。
そして、近隣住民も鳴き声、臭い、毛が舞ってきたり迷惑をすることでしょう。
飼い主、近隣住民の我慢の限界、猫同士のトラブルにまで発展すると「崩壊」となるでしょう。
糞尿の異臭ただよい、共食いするネコも…「多頭飼育崩壊」の壮絶現場
産経ニュース「糞尿の異臭ただよい、共食いするネコも…「多頭飼育崩壊」の壮絶現場」, 2017年6月17日
多頭飼いとは何匹から?
言葉の定義的に考えれば、複数匹、2匹以上は多頭飼いと言えるでしょう。行政上の解釈だと、10匹がボーダーラインのようです。
※自治体によっては、多頭飼育する場合、届出が必要
千葉県「犬・猫の多頭飼養の届出について」
埼玉県「犬猫を10頭以上飼っている方へ」
大阪府「犬・猫を10頭以上飼育されている方へ」
いずれも「犬・猫(生後90日以内のものを除く)を合計で10頭以上飼養する人」としています。
なぜ多頭飼いしようとするのか
「(目を潤ませながら見つめられて)・・うちで飼う!」(と、衝動的に)「雨の中寒そうに凍えて可哀想だったから」(また拾ってきちゃった)「この子もお友達がいた方が寂しくないかしら?」「カップルでいた方が幸せかな」「この子にもそろそろボーイフレンドを見つけてあげなくちゃ!」
衝動的であったり、猫の習性を理解していなかったり、単なる思い込みだったり。安易に数を増やしてしまうケースには、安易な考えがあるように思います。
さて、自分が同じようなことされたら・・どうなんでしょう?
親から勝手に(親)「あなたもいい歳なんだからそろそろ良い相手を見つけないと」(親)「今度、お見合いね。相手見つけてきたから」(お見合い相手)「はじめまして、どうも・・ボクです。」「ボキの趣味はですね。庭のアリを・・」
結構、迷惑なんじゃないでしょうか?
そもそも猫は単独行動、群れません。仲良くやっていけるかは先住猫次第です。お互いストレスになる場合もあります。
なぜ去勢・不妊せずに増やしてしまうのか
「可哀想」「お金がない」「なんで可愛いのに手術するの?」「手術痛いんでしょ?失敗したら死んじゃうんでしょ?」「この子のもらい手探してるからいいの!」(探してない)(増えても)「娘(息子)がなんとかしてくれるから」
オス、メス、2匹以上飼っていて、不妊・去勢をしていなければいずれは繁殖して増えます。仔猫が4、5匹産まれたときに「これ以上はうちでは飼えないな」と気付き仔猫のうちに里親に出すことをすれば、崩壊ということはないでしょう。
仔猫が産まれて増えても「何とかなるでしょ」と甘い考え。可愛い、可哀想だけでは動物を飼育できません。お金もかかるし、世話も大変。近隣への配慮も必要。そういった現実を理解しないで「何とかなる」と甘い考えのもと、結局は増えすぎて面倒が見切れなくなる。
なぜ面倒見れないのに里子に出さないのか
「全部可愛いうちの子なの!」「家族を養子に出すようなことなんてできない!」「里子に出すなんて考えただけで涙が出てくる」「そんなこと考えたこともない」「うちの子猫ちゃん達カワイイでしょ。うふふ」
このような方は、愛情は持っています。飼育環境が良くないこともわかってはいるでしょう。それでも今のまま何も対処しない。考えてはいるけど行動には移さない。可哀想なことはわかっているし、そう思っているのに。
近隣住民からの苦情
管理しきれない数にまで達すると、少なからず近隣住民に迷惑がかかってきます。迷惑のかかり始めは、近隣住民も気を遣って、黙って我慢してくれるとは思います。
しかし、我慢にも限界があります。我慢をしていた住民の方達は「迷惑をしている」ということで、役所へ通報します。
「猫達が可哀想」ではありません。だから保護団体に連絡するということにはならないのです。(多くの場合は)
役所に通報すれば、対応はどうなるでしょう?役所の人間が「猫達が可哀想」と思って、猫を保護するために行動してくれるでしょうか?
「住民トラブルが起きた」と思って対処を考えるでしょう。もしくは問題が顕在化するまでは注意程度で矢面には立たないようにするかもしれません。(いや、多くの場合は問題を未然に防ぐための行動はしてくれないでしょう)
多頭飼育で問題となった猫達。どうなるでしょう?役所で対応を進めるとして、短絡的に殺処分の流れとはならないでしょうか?
多頭飼育の環境を改めようにも・・
広い家に引っ越そうにも、もちろんお金がかかりますし、その間にも時間は流れていきます。
また、借家、賃貸アパートを借りることは困難と思います。今飼っている猫の数を申告して、受け入れてくれる大家さんはいるでしょうか?
引っ越しが無理なら、今の環境を改善・・とはいってもそれができなかったから今の状況であるわけで。本来なら受けるべき医療の医療費、猫達の里親探し、改善努力を近隣住民に理解してもらえるか。これらができるのか。
結局、飼育に限界がきて、世話もできず、お金もなくなり・・
多頭飼育崩壊となります。
猫が発情し、子供を産み、仔猫が増えたけどなんとかなるだろう。と甘い考えから、増え続け、気付いたときには手遅れ。結局、猫達にとっては、虐待に近い状態となっていることでしょう。
それから、家族や近隣住民にも迷惑かけっぱなし。
多頭飼育崩壊後、猫達の行方、飼い主は・・
医療費がかかります
飼い猫が受けているであろう、ワクチンの接種、定期健診、去勢・不妊がされていない。このような基本医療はもちろんのこと、怪我や病気になっていることも考えられます。通常の環境で飼育されてきた猫より劣悪な環境で飼育されていれば医療費にもお金がかかります。
里親が見つからない
成猫は里親が見つかりにくいです。小さい仔猫。普通の成猫どっちが飼われやすいでしょうか?
さらに、多頭飼育崩壊した猫達は健康状態も良くないことが多いでしょう。なんらかの病気にかかってしまっている可能性も高いです。病気を持っていると、余計に里親が見つかりにくいのではないでしょうか?
また、里親探しのサイトで募集をかけるにしても「去勢・不妊手術をしないで増やしてしまった飼い猫の子猫はお断り」という条件付きのところもあります。
保護団体に保護されたとして
猫達が保護してくださる団体が見つかった場合、保護した後には「二度と動物の飼育はしない」と誓約書にサインを求められるでしょう。
飼い主は、動物愛護法の虐待に抵触する可能性があります。
環境省のHPより以下を抜粋
虐待の禁止「動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。なお、食用にしたり、治る見込みのない病気やけがで動物がひどく苦しんでいるときなど、正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありませんが、その場合でもできる限り苦痛を与えない方法をとらなければなりません。」
以上になります。猫を飼うなら、猫と飼い主がハッピーでありたいですね。それから少しでも近隣への配慮があればいいですね。(管理人)