死因から寿命の短い理由を探る
野良猫の平均寿命は、2~3年。または3~4年と、一般的には言われております。飼い猫の平均寿命は、15.04年。こちらは統計があります。
一般社団法人ペットフード協会
「平成28年(2016年)全国犬猫飼育実態調査 結果」, 2017年1月17日, ペットフード協会
※東京農工大と日本小動物獣医師会の調査(2014年)では、11.9年との調査結果もある。
ただし、昨今は地域猫活動なども行われていることもあり、野良猫の平均寿命はもう少し上がっているのではないかと思います。(というより地域差が出ていそう)
とはいえ、飼い猫に比べるとかなり低いのは事実。生活の過酷さがうかがえます。
さて、この短い寿命は、どんな死因からきているのでしょうか?死因を挙げていきます。
交通事故
好奇心旺盛な仔猫や体力の衰えた老猫に多い。
仔猫の場合は、車の危険性を十分に理解せず、道路の渡り方も慣れていない。それに加えて行動範囲が広がってくる時期でもあるため、事故に遭いやすい。
老猫の場合は、体力の衰えと過信。若い頃は横断できたんじゃがのぉ。
それから、猫は前に進むことは得意ですが、後ずさりは不得意です。また、驚くと身体が硬直して、動けなくことがあります。(仔猫に多い)
交通事故は、猫が道路に急な飛び出しをしてしまった場合、車に驚いて身体が硬直し、その上、交通量が多い道路では、猫を発見しても避けられない、避けない運転手も多い。(追突事故等不要な事故を避ける為)
このような事情から交通事故は最も多い死因と言ってもいいでしょう。
以下は、大分県大分市が公表している交通事故などによる死体の回収頭数です。
大分県大分市「大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン」(PDF)
平成25年度の実績では、交通事故などによる死体の回収頭数が、2,631頭 に上ります。これは、1日に7頭以上が交通事故などで亡くなっていることになります。
ウィルス感染による病死
野良猫のほとんどが感染していると言われる、猫ウィルス性鼻気管炎(通称猫風邪)は、仔猫や体力が弱い猫があっという間に亡くなることもある。
猫白血病・猫エイズも野良猫の10~20%が感染しているといわれております。
十分な栄養が取れず、寄生虫にも感染していることが多く、免疫力が低い。猫同士で喧嘩し、その傷口から感染することもあれば、感染元が親猫であることも。
免疫力が低い理由の一因
一定のエリアで野良猫達が繁殖していくことで、近親交配が進み、血が濃くなります。近親交配すると、お互いに持っている劣性遺伝子が掛け合わさることで、病気や障害を持って産まれる確率が高くなる。
このため、死産、未熟児、月齢が進んでも成長せず、次第に衰弱したりする。代を重ねることにより顕在化し、2代目より3代目の方がより顕著に現れやすい。
サラブレッド(競馬)の世界では、意図してお互いの特性を引き出すために近親交配させることもありますが、虚弱体質であったり、病弱になるなど問題を抱える場合があります。
殺処分
飼い主が飼えなくなった。飼い猫が仔猫を産んだ。野良の仔猫を保護し保健所へ。理由は様々かと思いますが、保健所に送られた猫の多くが殺処分になっているのが現状。
平成29年度の殺処分数は、43,216匹
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」, 平成29年度, 動物の愛護と適切な管理
毒餌の誤飲
殺鼠剤、アリ駆除剤、ホウ酸団子、不凍液・・ネズミ、アリ、ゴキブリ駆除の為、不凍液は車から漏れてしまったことに・・野良猫駆除の目的に毒餌を撒かれた場合、ほとんどが即死と思います。(駆除する方達はその為に撒いているので)
その他寿命が短くなる要因
- 厳しい生活環境のストレス(縄張り争い、餌不足、暑さや寒さ、外敵の警戒・・etc)
- ケンカによる負傷(自力で舐めて治すしかない)
- 繰り返し妊娠したことによる身体の負担
- 餌付けされたことにより、自分で餌を見つけられなくなる
- 人からもらう餌の塩分過多(尿毒症、腎不全の原因)
- 人に慣れすぎることで、警戒心が弱まる(結果、外敵への警戒怠り、逃げ遅れ)
以上になります。何かあった時に病院に行けるか行けないかで大きく寿命を変えると思います。飼い猫であれば、ちょっとした不調で動物病院に連れていったりしてもらえますからね。