町内会長「自治体全体で取り組んでいかなければいけない課題」
以前から町内でも問題になっていた野良猫問題。ここ数年、野良猫の数も増え、問題となってきている。そんな地域の事情をよく知る町内会長と野良猫問題について対談した。(対談日:2017年10月2日)
“苦情が増えてきたのは最近”、”昔はそんなに気にしなかった”
―野良猫問題の経緯について、そもそも野良猫はどれくらい前から居ついているんですか?
「この地域に移り住んで来てからもういたから、十数年前からはいるよ。でも、昔はそんなに気にしなかったんだよ。そこまで目立つ数がいなかったと思うよ。」
―苦情や問合せが増えてきたのはどれくらい前からでしょうか?
「立ち話をすると、”あの道を毎日通ってる。”、”糞が落ちている。”って話になるわけだ。いや困ったね。って。そういう話は数年前からもあったけど、増えてきたのは最近だよ。」
―それはどのくらいの数の人達が声をあげているんですか?
「私が見ている範囲では、1班に1、2人から困っているって話を聞くからね。10人くらいはいるんじゃないかな。」
―困っていても我慢している人を含めたらもっと多そうですね。
「あまりに苦情が増えてきたから、猫を探して、どこにいるかっていうのを追っかけて把握していかないといけない。小屋の中で死んでいる。ていう話も出てくるから。」
―この間、近所で亡くなっていた猫がいました。役所に連絡を入れましたね。
「だからそういうことが見つかるってことは、野良猫がそれなりの数いるってことだ。」
―今、どれくらいの数の野良猫がいるんでしょうか?うちの近所にも、6、7匹住み着いていますが。
「50匹はいるんじゃない?そういう場所が5、6か所ある。今マークしているのが5、6か所ある。」
―猫飼われている方のところにも5、6匹見ますね。
「要するに餌を外でやるから、それを食べにくる。それが悪い。」
―仔猫が順調に育っていったら、本当に数が倍に増えていくこともありますね。
「1歳になれば繁殖能力あるからね。だからどのくらいいるか数えて、どの地域に何匹いるかやらないといけない。その飼っているお宅に行って、調べていることを伝えて、今どういう風にされてますか?って優しく問う方がいいらしいですよ。それで、外で餌やっている。って話が出たら、家の中で飼って欲しいんですけどね。くらいでまずは留めておくのがいいらしいですよ。」
―法的拘束力もないので、あまり強く言えないですからね。
「ない。っていうところが問題。ないようにしたのが人間ですよね。」
―愛護動物ですね。
「愛護動物の範囲ってどこなんですかね。その範囲を逸脱しているから困った状態になる。法律論争でね。わからない人に言っても話にならないけど。」
“車を引っ掻かれたって話も聞く”
―実害が出ているような被害はあるんでしょうか?例えば、車に傷つけられたとか。
「一番多いのは、糞尿。たまに車の話をしている人もいるね。乗っかって引っ掻くでしょ。そういうこともあるって。」
―追い払ったりして、びっくりして逃げるときに爪を立てちゃったりしますからね。
「肉球で爪を隠しているから、それで上に登っている分には問題ないけど。」
“猫が嫌いになるようなものがあるらしいよ。”、”狼のおしっこ”
―8月に猫の飼い方、餌付けの注意について回覧がまわってきましたが、その後はいかがですか?
「どうも埒が明かない。個別に話に行っても、”飼い猫のペットはいいって言うけど、ペットと野良猫の差はなんだ?”、”外に出して野良猫と一緒に餌を食べさせるのはなんていうんですか?”って。」
―飼い猫は基本的には室内飼い、野良猫は飼われていない猫、外で飼い猫に食べさせるのは放し飼いですね。(管理人の地域では、飼い猫は室内で飼うように各家庭へ案内されている。)
「”それはどういう対象になるんですか?”ってなって埒が明かない。(他の地域の)町内会同士で協力してやろうともしたんだけど、あまり触れたくないというのが現状でしょうね。かわいいものには手を触れないのがいいって。でも困っている人がいるよね。って。」
―道端に落ちている糞が増えましたよね。
「あのね、そこを躾しなきゃいけない。この場所でするんだよ。って。ちゃんと躾ができていれば、歩いててよく見かけるなんてことはない。外に出てしまっても、決まった場所でする。そういう風に躾けてないで放っておくのは飼い主の責任。」
―そこは動物愛護法でも管理責任がありますね。
「法律を厳密に質していけばたぶんダメなんでしょ?」
―周りの人に迷惑をかけてしまっていますからね。
「迷惑条例とか条例に引っ掛かるようなことは管理責任を問われるからね。だから今、どうやって話をしにいけばいいのか。ケンカになっても仕方ないから。でも迷惑かけていることは確かだから。それで何か良い方法がないかって、役所に聞いてもないらしいんだ。」
―どうしても餌をやりたいなら家の中で飼って欲しいですね。
「そうすれば迷惑かけることもないから。」
―せめて敷地内にトイレを用意してもらえればまだマシですね。
「今ね、猫が嫌いになるようなものがあるらしいですよ。それをやっている方がいて、寄ってこないって。」
―何をやっているんですか?
「狼のおしっこ。」
―どこで入手するんですか?
「ホームセンターなんかで売っている。それを置いたら寄ってこない。いつやられるかわからないからいつも置いておいてね。猫が嫌いなものみたいで。あと猫が嫌がる超音波があって、2000円くらいするんだけど、それをどこかに置いてみようかと。それで寄らなくなったらしばらく様子見て。どこか別のところに行くよね。」
―その場にだけ近寄らないだけで、住処にはいると思いますね。
「どこかに行くはずなんだ。でも餌もらえなかったら自然淘汰されるわけでしょ。」
―この地域は山林も近くにありますから。都会のようにアスファルトしかないようだと可哀そうですけどね。食料となるネズミもいると思います。
「でも、野生動物から病気をもらって、その猫に噛まれたり引っ掻かれたりして、人が死んではじめてダメってなっても。その前になんとかしないといけないでしょう。」
去勢・不妊について、”それはちょっと違うんだよね。”、”議員団に回答をもらう。”
―猫よけも必要ですが、このところ数が増えてしまっています。去勢・不妊をする話は出ていますか?
「まず、(手術に)2~3万円かかる。それで一所懸命やっている人もいるけど、それはちょっと違うんだよね。一人千円集めても20、30人集めないと一匹しかできない。それに猫嫌いな人もいるからね。」
―全額住民負担は厳しいですね。
「だから根本的にどうすればいいのかやらないといけない。どうやったらいいかを議員団に聞いて、議員達に答えを出してもらおうと思っている。」
―例えば、去勢・不妊をやりましょう。ってなったら、助成金を出してもらうだとか。そういうこともあればいいですね。
「誰も言わないと思うけど。」
―お金を動かすのは大変そうです。
「自治体全域の問題だから、だから何とかならないですか。と議員に聞いている。それは議員もわかっているから。どういう風にやるかを行政で決めてもらいたい。(例えば)トイレを用意するにしても補助金を出すとかね。そういうこともあるんじゃないかと。半額だとか三分の一だとか。住民からするとすごく当たり前なお願いをしていると思うんだけど。」
―個々の町内会で対応していっても難しそうですね。
「そういう意味でも広い面でどうすればいいか考えないと。個別に対応してもどうにもならないでしょ。それで議員さん達から知恵を貸してもらおうって。考えてもくれない、困ってるところでやれっていうんだったら、議員の資格はないと思うよ。やっぱり身近にあることで困っている人達がいるんだから、それに対しては考えてもらわないと。」
―少しでも良くなる案があればいいのですが。議員団との会合・打合せはいつあるんでしょうか?
「10月3日、4日にあって、別々の議員団だから、それぞれに話をしようと思うよ。」
―以上。
最後にこんなお話もしていただけました。
「知らん顔して何もやらない人もいるし、やれないって人もいるんだ。だけど気がついた人がやらなかったら何も良くならないからね。少しは前進させたいもんね。遅々としてとして進まず。っていうのもあるんだけど、少しずつでも変わったね。っていうのが大事なことだと思うんだよ。」