猫の帰巣本能は?どれくらいの距離なら戻れるのか。
ゴミを荒らす野良猫にほとほと困り果て、近隣の山に捨てる・・・今でこそ動物愛護法で遺棄は禁止されておりますが、法整備される以前のおじいちゃん、おばあちゃん世代では、そんなこともあったとか・・。
そのような悪事を働く野良猫を住民が協力して捕まえて、近隣の山に捨てる。
平穏な生活を取り戻したのもつかの間、しばらくして、ゴミ置き場になんかいる!アイツが帰ってきた!といったように、野良猫が戻るケース。飼い猫を数キロ離れた公園で逃がしてしまったが、しばらくして玄関前に戻ってくるケースもあったりします。
猫の帰巣本能ってどうなんでしょうか?自力で帰ってこれる距離はどれくらいなのか。そんなところをまとめます。
帰巣本能とは
本能というからには、学習して得たものではなくて、元々備わっていたもの。特定の巣や場所に戻る行動のこと。サケ、マスのように産まれた場所に産卵する為に帰ってくるような行動がそれ。
野良猫や飼い猫が遠い場所から帰ってくるような場合、その近辺の音(チャイム等)、匂い、来たことがあるのかないのかなど経験や学習も含めた上での帰巣になるため、正確には帰巣能力があるかってところと思います。
学術的な帰巣本能
詳細は、学術的なサイトに譲るとして、どんな能力を使っているのか概要だけ。
- 磁気感知:コンパスのような機能を保持していて、方角が分かる。
- 体内時計:自分の生活リズムを体内時計として持ち、いつもの太陽の位置とのズレがわかる。(ズレを修正すれば家に戻れる)
- 方向細胞:細胞が目的地を察知する。人でも道に迷わない人と方向音痴の人がいるような感覚的なもの。
- 感覚地図:感覚器官を使って、頭の中で地図を作っている。
人も酔っ払いが記憶なくてもなんとか自宅にたどり着いてるなんてありますね。あれも一種の帰巣本能。
野良猫のテリトリー
拠点となる住処を中心として、500m程度。広くて1㎞と言われています。(メス猫は250m~500mと半分程度。また都会のように住宅が密集している地域も広くはない)
発情期のオス猫になるともう少し範囲が広がって、メス猫を探しにその範囲が倍になる場合もあります。
この範囲の中で、マーキングを行い、自分の匂いを付けることで、縄張りを主張しています。マーキングの尿の匂いの感じ取れる範囲は、飛散しやすい環境であれば、10m程度。また、マーキングの尿の匂いが残っている期間は、2週間程度。(雨が降ったりすればもっと早く消えます。)
そして、縄張りの範囲のことはよく知っています。餌をもらえる場所、ネズミの巣、雨風しのげる場所、身を隠せる場所、休息場所。知り尽くしています。
例えば、テリトリーから数キロ離れて、置き去りにされたら
置き去りにされた場所は、見知らぬ土地。自分で歩いてきたわけでもなければどうなるでしょう?見知らぬ土地でまずすること
- まずは隠れる場所を探す。
- 次に周辺探索する。
隠れる場所を探して、その後に周辺を歩き回り、匂いを嗅ぎ、落ち着くまでくまなく行う。この後、臆病な子でなければ、少しずつ範囲を広げて、臆病な子であればしばらく身を隠していると思います。
これが、犬だったら放された瞬間に一直線に走っていきそうですね。ずいぶんと行動が違うように思います。
管理人が中学生の頃見た友達の家のペルシャ猫は、外に出てしまった時、すぐに物陰に隠れて、しばらくして、恐る恐る辺りを伺いながら出てきたことを思い出しました。
また、管理人が幼い頃に飼っていた犬は中型犬でしたがなかなかパワフルな子で、散歩に出掛ける時に綱をちゃんと持ってあげていないと飛び出して行ってしまうことがありました。飛び出していくときは一直線に走り去ってましたね。足も速いので捕まえるのが大変だったのを覚えています。
管理人の中では、猫は周辺を探索、犬は一直線にどっか行く。って感覚です。
見知らぬ土地から数キロ離れたテリトリーに戻れるか!?
見たことない場所なので、道順は分からず、自分の匂いや見知った匂いも周辺に付いていなく道標もありません。定時になるチャイムくらいは、いつも聞いている音として認知ができるかもしれません。(チャイムが鳴る地域では)
そして、聞こえる音の大きさ、聞こえる音の方角、太陽の位置、それらを頼りに道を辿ることは、可能なような気もします。
しかし、川を挟んでいたら、国道を越えていたら、他所の野良猫のテリトリーに入っていたら、川を越えられず、車通りの多い国道を渡ることを躊躇し、他所の野良猫には追い払われる。そして、十分な餌も確保できなければ、テリトリーに戻ることはかなり難しい状況と言えるのではないでしょうか。
見知らぬ土地とテリトリーの間までの道程で、猫の障害となるものが少ないかなり良い状況でない限り難しいように思います。
たまにニュースで、数百キロ離れた場所で行方不明になった飼い猫が、自力で歩いて帰ってきた。といったものもありますが、あれは帰巣本能というより奇跡に近いものと思います。
管理人の結論としては、→見知らぬ土地から帰ることは可能性としてはあり得るが、レアケース
完全室内飼いの猫が外に出てしまったらどうなるか
完全室内飼いの猫の場合、テリトリーは、家の中と窓から眺められる数十メートル。家と窓の付近を含めて50m程度が範囲を考えていいと思います。
外の世界が初めてならば、身を隠せるところを探し、その後周辺を調べて、少しずつ範囲を広げていくと思われます。しかし、人や車、他の猫、様々な事が初物尽くし過ぎて、パニックになる可能性も高く、その間に家から離れていってしまうことも考えられます。パニックになってしまうとどんな行動をするかわからなくなります。
臆病な子であれば、家の周辺50m~100mくらいの範囲の中で、身を隠せる場所でじっとしているのではないでしょうか。場合によっては、2、3日じっと身を隠しているかもしれません。その後、匂いが辿れれば戻れる可能性もあります。
ただ、マンション住まいだと、自力で戻ることは無理でしょう。だって、何階に住んでるか分からないですもんね。
以上