日本に野良猫ってどのくらい生息しているんだろう?
ペットの飼育数は、調査結果が公表されています。
猫の推定飼育数:952万6千匹
日経新聞「猫の数が犬を上回る 飼育実態調査で初めて」, 2017年12月22日, 日本経済新聞
しかし、野良猫の生息数は誰が数えたわけでもなく、公表されている資料などもありませんでした。
でも知りたい。おおよそでも数を計る手立てはないか・・・
何らかの数値から概算を求めようと思いました。※管理人の勝手な仮説で生息数を算出しています。算出した生息数だけを知りたい方は、太字の部分を中心に見るか、文末を参照ください。
保健所での猫の引取り数から推測する
平成28年に保健所が引き取った猫の数は以下の通り
引取り数 | 割合 | |
---|---|---|
飼い主から | 11,061匹 | 15% |
所有者不明 | 61,563匹 | 85% |
全体 | 72,624匹 |
所有者不明の猫(野良猫)は、61,563匹。全体の85%にあたる。
この数字だけでは、野良猫の生息数を計るのは困難だが、ちょっと乱暴に5-6倍はいると考えたら・・・
全国に「300,000匹~350,000匹」の野良猫が生息しているとも言える。
自治体が行っている「去勢・不妊手術費助成事業」の実績数から推測する
もう少し正確な数を把握できないだろうか・・・去勢・不妊手術の実績数は使えないだろうか。
- 飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費助成の過去の実績から手術をされた野良猫の数を把握
- とある地域の面積を求める
- とある地域の面積が、日本全国の面積のどのくらいの割合を占めるか求める
- 求めた割合から手術実績の野良猫の数をかけてあげる
- 手術されていない野良猫の数は、係数としてかけてあげる(2倍、3倍など)
とある地域の手術済の野良猫の数を元に、その地域の面積の割合から全国の野良猫数をざっくり出してみるというもの。
しかし、都市部と地方とでは、事情が異なる。では、人口の割合から求めてみたらはどうだろうか?
面積と人口の割合から全国の野良猫生息数を計測してみた
自治体の多くで、去勢・不妊手術費助成事業を行ってはいるものの、過去の実績数を公表している自治体は少ない。公表していても前年度のものだけであったりと過去の推移が見れない。そんな中で見つけたのが「さいたま市」
「さいたま市」が過去の実績を14年分も公表していた。
オス | メス | 計 | |
---|---|---|---|
H16 | 19 | 42 | 61 |
H17 | 64 | 138 | 202 |
H18 | 120 | 221 | 341 |
H19 | 98 | 179 | 277 |
H20 | 97 | 265 | 362 |
H21 | 161 | 384 | 545 |
H22 | 158 | 358 | 516 |
H23 | 281 | 488 | 769 |
H24 | 288 | 487 | 775 |
H25 | 228 | 392 | 620 |
H26 | 237 | 493 | 730 |
H27 | 313 | 523 | 836 |
H28 | 316 | 480 | 796 |
H29 | 334 | 545 | 879 |
計 | 2,714 | 4,995 | 7,709 |
さいたま市「飼い主のいない猫の去勢・不妊手術費等の一部助成事業を実施します。」, 2020年1月29日, さいたま市
去勢・不妊を行う=これ以上増えない。野良猫の寿命を5年と考え、直近の5年分の数字を使う。
※野良猫の寿命は、2~3年、3~4年と一般的には言われているが、昨今の地域猫・まち猫の活動などから寿命が延びている可能性もある。ここでは一旦、5年とした。※5年経てば自然死し、次の年に手術される野良猫は、未手術の猫や若猫、新たな捨て猫、増えてしまった猫と考えられる。
さいたま市直近5年の手術済の野良猫の合計数
オス | メス | 計 |
---|---|---|
1,428 | 2,433 | 3,861 |
面積比で算出
さいたま市の面積
217.43km2
さいたま市の面積が日本全国の面積のどのくらいの割合を占めるか求める
日本の面積 | さいたま市の面積 | 割合 |
---|---|---|
378,000km2 | 217.43km2 | 1/1738 |
さいたま市の面積は、全国の面積の約1/1738
面積の割合(1/1738)を手術済の野良猫数(3,861)で掛け算する
さいたま市の面積の割合 | × | 手術済の野良猫数 | = | 全国の手術済の野良猫数推計 |
---|---|---|---|---|
1,738 | × | 3,861匹 | = | 6,710,418匹 |
手術されていない野良猫の数を係数としてかけてあげる(2倍、3倍してみた場合)
面積比で推計した数 | × | 係数(2倍、3倍) | 野良猫生息数推計 | |
---|---|---|---|---|
6,710,418匹 | × | 2 | = | 13,420,836匹 |
6,710,418匹 | × | 3 | = | 20,131,254匹 |
1,300万匹、2,000万匹とかなり多すぎる結果に・・・
人口比で算出
さいたま市の人口
1,290,029人
日本全国の人口のどのくらいの割合かを求める
日本の人口 | さいたま市の人口 | 割合 |
---|---|---|
126,490,000人 | 1,290,029人 | 1/98 |
さいたま市の人口は、全国の人口の約1/98
人口の割合(1/98)を手術済の野良猫数(3,861)で掛け算する
さいたま市の人口の割合 | × | 手術済の野良猫数 | = | 全国の手術済の野良猫数推計 |
---|---|---|---|---|
98 | × | 3,861匹 | = | 378,378匹 |
手術されていない野良猫の数を係数としてかけてあげる(2倍、3倍してみた場合)
人口比で推計した数 | × | 係数(2倍、3倍)全国の野良猫生息数(推定) | = | 野良猫生息数推計 |
---|---|---|---|---|
378,378匹 | × | 2 | = | 756,756匹 |
378,378匹 | × | 3 | = | 1,135,134匹 |
全国の野良猫生息数(さいたま市の去勢・不妊手術済野良猫の数を元に人口比で推計した結果)
約75万匹~113万匹
さいたま市は、都市部であったため、面積比で計算するよりも人口比で計算した方がより精度が高いと思います。今回、仮設で推計した結果、上記のようになりました。管理人的にはそれっぽい数字のような気がします。
2019.7.26 追記
野良猫の生息数に関して、この記事よりよっぽど信憑性がある数値のソース。
東京都内の野良猫の数は、約11万頭 ※荒川区ホームページより
荒川区HP「動物のトラブル」(都内におけるねこの現状)の一文が以下。
『東京動物保護管理審議会の答申によると、現在都内にいるねこの数は約116万頭と推計されています。このうち約105万頭が飼いねこで、残りの約11万頭が飼い主のいないねこと推測されています。』
引用元
荒川区HP「動物のトラブル」
2010.11.22 東京都荒川区HP
東京都内で、約11万頭というとかなり多いな。とも思ったのですが、東京都の人口は、約1,385万人。全国の人口の1割強にあたるので、ざっと10倍かけて数を求めても、それっぽい数字になっているかもしれませんね。