環境省が公表している統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
出典元:環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」動物の愛護と適切な管理
こちらの犬・猫の引取り数の統計資料に、返還数というものがあります。
この返還数、どういう訳か猫の返還数が異常に少ないです。以下、環境省の資料から引取り数と返還数を抜粋して見たものです。
引取り数 | 返還数 | |
---|---|---|
犬 | 38,494 | 12,286 | 猫 | 62,137 | 316 |
犬は、30%程度返還されていますが、猫の返還は、1%以下です。ほとんど返還されていないようです。
管理人の数字の読み方がおかしいのかとも思ったくらいです。念のため数字の読み方に間違いがないか、環境省の動物愛護管理室に問い合わせてみました。
返還とは
飼い主または持ち込んだ人に動物を返すこと。
返還数とは
保健所が引き取った後に、飼い主または持ち込んだ人に動物を返した数。
やはり返還数とはこのような扱いのようです。
なぜこんなにも猫の返還数は少ないのか?
環境省の動物愛護管理室の方とお話している中では、個別の事情はわからない。とのことでした。ただ、犬に比べて猫の飼い主や持ち込んだ人からの返還の申し出が少ないであろうことは確かなようです。
それにしてもこの少なさは、異常とも思えます。仮説的に理由をつけるとしたら
犬のように鑑札が首輪につけられていないので、飼い主を見つけづらい
犬を飼う場合、自治体で犬の登録を行い、鑑札の交付を受ける必要があります。そして、鑑札を犬の首輪などにつけておくことが義務付けられています。(狂犬病予防法)
猫を飼う場合、こういった義務的なものがないため、飼い猫であっても首輪を付けていなかったりすることが多いです。また、猫のストレスになるからという理由で首輪を付けたがらない飼い主もいます。首輪が付いていなかった場合、猫を逃がしてしまうと飼い猫か迷い猫か放し飼い猫か野良猫か見分けることが困難です。
もし保健所に収容されたとしても、猫の所在地がわかる物(首輪やマイクロチップなど)がなければ飼い主を特定する術がありません。
この理由がほぼ正解なような気がします。
(マイクロチップの装着義務付けは、動物愛護法改正の中で議題に上がっていますが、一部の動物愛護団体は義務化を反対しています。動物愛護団体が反対していることについては、以下の記事も参考になればと思います。)
飼い主が探していない
いまだに放し飼いをする飼い主もおられます。
気付くと戻ってこなくなってそのまんま・・・
いつの間にか野良猫、地域猫化しているなんてこともあるのでしょうか。
飼い主が保健所に収容されているとは思っていない
犬の場合、散歩中に何かに驚いて逸走してしまう場合があります。散歩中に逸走してしまったら多くは探して回りますよね。
もし見つからず、通行人などが見かけて保健所に通報したら、保健所で捕獲を行い収容します。(狂犬病予防法の元、保健所で捕獲します)
多くの飼い主は、保健所に収容される可能性があることをご存知なので、探す際、保健所に収容されていないか問い合わせをするものです。
猫の場合は、放し飼いされている場合もあり、保健所で捕獲や収容も行わないことから保健所に収容されていると思う飼い主が少ないのもあるかもしれません。
捨て犬より捨て猫の数が圧倒的に多い可能性
捨て猫、捨て犬の数なんて公表されません。しかし、可能性を考えるなら捨て猫の数が多いのかもしれません。
捨てたとしたら探さない。探してなければ飼い主の元に返ることはありませんから。
野良犬はほとんど見かけませんが、野良猫はいるところには本当によくいるものです。捨てられる数が多い可能性もあると思います。
以上になります。猫の場合、首輪をせず所在地や飼い主の連絡先がわからないことが多そうですね。それと飼い主からの返還の申し出が犬より少ないのかもしれません。