野良猫ってよく見かける地域でも10匹~30匹程度。異常繁殖している、大量発生している。という数までは増えていないと思います。
しかし、昨今では多頭飼育崩壊がニュースに取り上げられ、猫の繁殖能力の高さから容易に数が増えると言われていることも確かです。
ですが、野良猫が異常繁殖して生態系を破壊したり、動物由来感染症をもたらしたり、地域住民の生活環境を著しく悪化させたり、こういったことは耳にしません。
なぜ、野良猫は異常繁殖、大量発生しないのか、数字の面から、愛護派、過激派の行動から、昨今の地域猫事情から、様々な角度で探っていきます。
猫の繁殖能力の高さについて
猫は、年2回(多い場合は3回)繁殖します。また、一度の出産で3~5匹程度産まれます。
そして、産まれた仔猫も早ければ1年を経たずして最初の発情を迎え、繁殖が可能になります。
さらに、猫は人とは違い、親子、兄妹で関係なく子供を作ります。
よって、容易に数が増えてもおかしくない。ということになります。
異常繁殖しない理由
野良猫は寿命が短い
野良猫の平均寿命は、2~3年。と、一般的には言われております。飼い猫の平均寿命は、15年。と統計があり、その差が大きいことがわかります。
死因については様々ですが、飼い猫と違い医療を受けられないことが大きな理由の一つでしょう。
野良猫のほとんどが感染していると言われる、猫ウィルス性鼻気管炎(通称猫風邪)は、仔猫や体力が弱い猫はあっという間に亡くなることもあります。
飼い猫であれば、飼い主の手厚い看病や動物病院での治療を受けられますが、野良猫はそうはいきません。厳しい生活環境におかれているため、健康も栄養状態も飼い猫に劣ります。自然と寿命が短くなるのは致し方ないことでしょう。
殺処分されている
平成28年度の猫の殺処分数は、45,574匹
引取り数の内訳は、
- 飼い主からが15%
- 所有者不明が85%
多くが野良猫であると言えるでしょう。
殺処分の数自体は年々減少してきていますが、それでもこの数が殺処分となっているのが現状です。
詳しくは、以下の環境省資料にて
環境省「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」, 平成28年度, 動物の愛護と適切な管理
ペットとして飼われる
ペットフード協会が全国犬猫飼育実態調査を行っております。平成28年のペットの入手先について見てみると
野良猫を拾った | 40.7% | ■■■■■■■■■■■■■■■■ |
友人/知人からもらった | 25.4% | ■■■■■■■■■■ |
ペットショップで購入 | 13.9% | ■■■■■■ |
里親探しのマッチングサイトからの譲渡 | 9.0% | ■■■■ |
愛護団体(シェルターなど)からの譲渡 | 7.4% | ■■■ |
業者のブリーダーからの直接購入 | 2.7% | ■ |
友人/知人のブリーダーからの直接購入 | 2.1% | ■ |
その他 | 3.9% | ■■ |
となっています。
野良猫の一定数が心ある方に拾われ、ペットとなっていると考えて良さそうです。
ペットフード協会「平成28年 全国犬猫飼育実態調査」, 平成28年度, ペットフード協会
地域猫活動による繁殖制限、去勢・不妊手術
地域によっては、地域猫、まち猫といった活動が行われているところがあります。自治体、保健所・動物愛護センター、地域住民、ボランティアの方などが協力して、計画して、地域の野良猫を管理する活動です。
このように官・民・ボランティアが協力と計画の元に行われる地域猫活動では、必ず去勢・不妊手術の処置が行われ、望まれない不幸な命を増やさないようにします。
例えば、その地域の公園に30匹の野良猫が住み着いているとしたら、日時を決めて一斉に全頭捕獲し、去勢・不妊手術を行い、後日、元の公園へ戻します。この際、耳をV字カットしておき、去勢・不妊済、地域で管理している猫であることがわかるようにしています。
また、その後、新たに去勢・不妊が住んでいない猫が見つかった場合は、発見次第、捕獲、去勢・不妊手術を徹底して行われます。
この結果、野良猫の数を増やさず、緩やかに野良猫の数を減らしていきます。
こうした活動をされている地域では野良猫の数が異常に増えることはないでしょう。
猫嫌いの過激派による毒餌、遺棄
猫好きな方がいれば、猫嫌いな方もいる。野良猫に困り果てる人もたくさんいらっしゃいます。そんな方の一部の過激派の間では、野良猫駆除に毒餌を撒いたり、山中や人里離れたところに遺棄する人がいます。
このような事から野良猫が一定数、姿を消すこともあるのではないかと思います。
※虐待、遺棄は犯罪です。
以上になります。おそらく、上記のようなことが全くなく自由に繁殖し数が増えていける環境であれば、人間の目から見て、異常繁殖である。大量発生している。といった状況になるのではないでしょうか。生態系にも影響が出ることでしょう。様々な事情で今の現状となっていることを考えるとある意味で野良猫と人は共生ができているのかもしれませんね。(管理人)