以下は、神奈川県横浜市港南区の野良猫対策の活動に関する記事のタイトルです。
「野良猫対策、20年で手応え」
https://www.townnews.co.jp/0112/2019/02/28/471134.html2019,2,28 タウンニュース
記事の内容はというと、野良猫問題の取り組みに手応えがある。といったものです。
「解決の難しい問題はまだあるが、当時と比べてずいぶん状況が変わってきた」
そういえば、横浜は地域猫の発祥の地でもあったな。ずいぶん良くなってきているのかな。
と思ったのですが・・・。
記事の内容を見ていると殺処分数が減ったくらいの話で、ほとんど具体的な話がありません。
本当に良くなっているのかを客観的に見るために、横浜市の動物愛護センターの活動実績から、猫による苦情件数、殺処分数などを公表されている10数年分のデータを調べてみました。
▼目次
※横浜市の動物愛護管理の事業報告書は、以下から参照ができます。
横浜市「健康福祉事業年報」
※この記事でまとめた件数の推移は、上記を資料を元にグラフにしたものです。
横浜市 猫等苦情件数 推移 平成15~28年
猫等の苦情件数
苦情等受付件数(合計) | 飼い猫 | 飼い主不明猫 | 飼育動物 | 飼い主不明動物 | |
---|---|---|---|---|---|
平成15年 | 5,799 | 536 | 3,683 | 209 | 1,371 |
平成16年 | 5,140 | 538 | 3,421 | 108 | 1,073 |
平成17年 | 5,427 | 519 | 3,831 | 119 | 958 |
平成18年 | 5,368 | 685 | 3,580 | 118 | 1,003 |
平成19年 | 4,392 | 573 | 3,212 | 73 | 534 |
平成20年 | 3,933 | 583 | 2,549 | 58 | 743 |
平成21年 | 2,811 | 342 | 2,409 | 60 | 0 |
平成22年 | 2,670 | 366 | 2,224 | 73 | 7 |
平成23年 | 3,121 | 340 | 2,699 | 49 | 33 |
平成24年 | 3,778 | 584 | 3,147 | 47 | 0 |
平成25年 | 3,698 | 531 | 3,102 | 60 | 5 |
平成26年 | 3,026 | 38 | 2,583 | 62 | 0 |
平成27年 | 3,202 | 279 | 2,861 | 62 | 0 |
平成28年 | 2,875 | 314 | 2,505 | 56 | 0 |
所感
平成15年の5,799件に比べると平成28年では、2,875件と半数まで減っていると言える。
しかし、平成21年以降は、ほぼ横ばい。ここ10年状況は変わっていない。とも言えてしまう。
野良猫(飼い主不明の猫)に限って言えば、直近の平成28年では、2,505件の苦情があった。これは横浜市で、1日に約7件の苦情が動物愛護センターにあるということだ。
横浜市 猫収容実績と殺処分数推移 平成23~28年
※平成22年以前は、動物愛護センター開設前のため掲載がありませんでした。
収容実績
猫(全体) | 飼い主不明 | 捕獲 | 飼えなくなった | 負傷 | |
---|---|---|---|---|---|
平成23年 | 1,565 | 988 | 0 | 140 | 437 |
平成24年 | 1,541 | 940 | 0 | 184 | 417 |
平成25年 | 1,424 | 863 | 0 | 120 | 441 |
平成26年 | 1,319 | 782 | 0 | 100 | 437 |
平成27年 | 1,372 | 797 | 0 | 87 | 488 |
平成28年 | 1,306 | 710 | 0 | 96 | 500 |
収容動物の取り扱い実績
返還 | 譲渡 | 安楽死処分 | 自然死 | 死体搬入 | |
---|---|---|---|---|---|
平成23年 | 4 | 392 | 188 | 669 | 256 |
平成24年 | 4 | 536 | 527 | 221 | 222 |
平成25年 | 10 | 388 | 565 | 245 | 247 |
平成26年 | 8 | 366 | 577 | 158 | 238 |
平成27年 | 17 | 519 | 514 | 109 | 209 |
平成28年 | 15 | 521 | 404 | 134 | 225 |
所感
猫の収容数(飼い猫含む)と飼い主不明の猫の収容数は、減少傾向にある。
一方、安楽死処分(殺処分)の数は、横ばい。センターの収容キャパの問題や譲渡するにも限度があるということかもしません。
補足 行政の地域猫活動支援の開始年度
地域猫活動に関して、環境省や各自治体からガイドラインが相次いで出されています。
では、これはいつ頃に出始めたものなのか、活動を広げるような形を取られてから、本当に良くなっているのか?という観点で補足しました。
平成22年度公表環境省『住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン』
平成25年度施行横浜市『横浜市飼い主のいない猫を適正に管理する地域猫活動モデル事業実施要綱』
平成11年度施行横浜市磯子区『磯子区猫の飼育ガイドライン』
平成22年度に環境省が地域猫活動のガイドラインを公表しています。これを受けて各自治体でも実施要綱などを公布しています。
なお、地域猫発祥の地として知られる、磯子区では活動自体は、平成9年頃から始まっています。ガイドラインは上記の通り、平成11年度施行のようです。
このように、ここ10年程で地域猫活動は広まりを見せていますが、横浜市の猫等の苦情件数を見ると
「野良猫対策、20年で手応え」と考えるか、思うように改善を図れていない。
と感じるかは、意見が分かれるところと思います。