警察に落とし物=遺失物として届けた場合と保健所に引き取ってもらった場合の収容期間の違いについての話になります。
管理人としては、かなり興味深かった内容です。
警察に落とし物として届けた場合と保健所に引き取ってもらった場合でこんなにも扱いが変わるのかと。
警察と保健所のどちらに届けるべきかお悩みの方、収容期間の違いについて知りたい方へ向けて書いています。ご拝読よろしくお願いいたします。
▼目次
- 警察に届けた場合、遺失物の保管期間について
- 保健所での収容期間について
- 警察の遺失物扱いと保健所での引取り、収容期間の違いまとめ
- 逸走した家畜と所有者不明の犬猫は、警察で扱い方が変わる
- 飼い主がいそうな犬猫は、警察に届ける方がいい
- 所有者不明の猫は、保健所や動物愛護センターに相談(の後、引き取りへ)
- 所有者不明の猫を自宅で保護したり飼うつもりなら警察に届け出ましょう
警察に届けた場合、遺失物の保管期間について
遺失物の保管期間については、民法に規定があります。
民法 第二百四十条
『遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。』
正確には「保管」という言葉は使っておらず、「公告」としています。
公告期間が三箇月
ですので、遺失者を探す期間が三箇月ということです。
厳密に言えば、公告期間の三箇月の間に遺失者が判明した場合は、三箇月を超えて保管することもあると思われます。(遺失者が判明した場合の保管期間の規定が存在しないため)
また、公告期間の三箇月が過ぎた後、
拾い主が引き取れる期間は、二箇月間
落とした人が名乗り出ず三箇月が過ぎると、落とし物は、拾い主の物になります。拾い主は、遺失物を引き取る必要がありますが、この期間は二箇月になります。二箇月を過ぎても拾い主が引き取らなかった場合、管轄の自治体の物となります。
遺失物法 第九条 2週間の処分について
遺失物法 第九条には、2週間の処分規定が存在します。
遺失物法 第九条
『警察署長は、提出を受けた物件が滅失し、若しくは毀き損するおそれがあるとき又はその保管に過大な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。ただし、第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件については、この限りでない。』
『2 警察署長は、前項の規定によるほか、提出を受けた物件(埋蔵物及び第三十五条各号に掲げる物のいずれかに該当する物件を除く。)が次の各号に掲げる物のいずれかに該当する場合において、公告の日から二週間以内にその遺失者が判明しないときは、政令で定めるところにより、これを売却することができる。一 傘、衣類、自転車その他の日常生活の用に供され、かつ、広く販売されている物であって政令で定めるもの二 その保管に不相当な費用又は手数を要するものとして政令で定める物』
仮に警察で犬猫を遺失物として受理した場合「その保管に過大な費用若しくは手数を要する」ものと考えられなくもありません。交番や警察署には、飼育施設はありませんし、犬猫の餌代や世話にかかる手間は、相応のものがあります。
この法令を準拠すると、2週間以内に遺失者が判明しない場合は、売却=処分 できることになります。
もちろん、売却=処分 と言っても警察が動物虐待になるようなことはしませんので、管轄の保健所や動物愛護センターへ移送することになります。
では、保健所などに移送された後、殺処分されてしまうのか?
ここからは管理人の推測になりますが、警察で遺失物として手続きを行った場合、公告期間が3ヵ月があります。一方、保管に過大な費用若しくは手数を要する物は、売却を可能としていますが、保健所へ移送する行為は、売却をしたわけではありません。処分を依頼したわけでもないと思います。よって、少なくとも公告期間の3ヵ月間は、保健所で保護されているものと思います。
保健所での収容期間について
自治体の多くの保健所では、
引き取られた犬猫の収容期間は、数日~2週間 程度になります。
保健所や動物愛護センターでの収容期間は、動物愛護法など法令での規定はなく、各自治体によりばらばらです。
収容期間については、別記事でまとめました。詳しい内容は以下よりお願いいたします。
警察の遺失物扱いと保健所での引取り、収容期間の違いまとめ
警察(遺失物) | 保健所での引き取り | |
---|---|---|
収容期間 | 3ヵ月+2ヵ月 | 数日~2週間 |
警察で遺失物として受理された犬猫は、公告期間3ヵ月、飼い主が見つからなかった場合は、その後2ヵ月間拾い主の引き取る期間があります。
保健所に引き取られた犬猫は、一定期間飼い主を探すための公告を行い、飼い主が見つからなかった場合は、殺処分になります。その期間は各自治体によりけりで、数日~2週間になります。
逸走した家畜と所有者不明の犬猫は、警察で扱い方が変わる
遺失物法では、迷子のペットのことを「逸走した家畜」と表現しています。家畜と聞くと飼い主はあまりいい気持ちがしないと思いますが、法律上の表現としてお考えください。
遺失物法において、逸走した家畜を拾得した場合、速やかに警察署へ提出することが義務付けられています。
一方、野良猫などの飼い主のいない猫(所有者不明の猫)は、遺失物法では適用外になります。基本的に、警察では遺失物として受理をせず、保健所や動物愛護センターに引き取りをしてもらうように促されます。
また、保健所などに連れていけない事情があり、警察が引き取ってくれた場合でも、遺失物として取り扱うのではなく、拾い主の代わりに保健所に引き渡すという形を取ります。
このように遺失物として扱われるか(飼い主を探す3ヵ月の期間が設けられるか)、所有者不明の犬猫として保健所に引き取られるか(収容期間が数日~2週間程度になるか)という部分が異なります。
※警察で引き取る場合と引き取らない場合の判断に関しては、以下で詳しくまとめました。
逸走した家畜=飼い主がいるペットは、所有権があるので安易に殺処分はできない
逸走した家畜は、飼い主=持ち主がいるペットなので、そのペットには所有権があります。
また、遺失物の公告期間3ヵ月間は、落とした飼い主が所有権を持ち、飼い主が見つからない場合も拾い主が2ヵ月間引取りまでの所有権を持ちます。
警察や自治体、保健所などが所有権を持っているものではないので、安易に処分なんてできない。ということです。
落とし物の時間経過と所有者の移り変わり
~3ヵ月 | 3ヵ月~5ヵ月 | 5ヵ月~ | |
---|---|---|---|
落とし主 | 所有者 | (名乗り出ない場合、所有権喪失) | |
拾い主 | 所有者 | (引き取らない場合、所有権喪失) | |
自治体 | 所有者 |
飼い主がいそうな犬猫は、警察に届ける方がいい
現状の保健所での収容期間の短さを考えると飼い主がいそうな犬猫を保護した場合は、警察に届ける方がいいと思います。
首輪を付けていない場合は、野良犬とも野良猫とも思われてしまいそうですが、警察に届ければ少なくとも遺失届が出されているか確認をしてもらえます。この辺りは、保健所に引き取ってもらった場合も、遺失届の確認やマイクロチップの確認なども行ってくれるとは思いますが、やはり収容期間が短すぎます。
飼い主が明らかにいると思われる犬猫は、警察に遺失物として届けてあげるとより返還されやすくなるものかと思いました。
所有者不明の猫は、保健所や動物愛護センターに相談(の後、引き取りへ)
犬を省きましたが、その辺にほっつき歩いている犬は保健所で捕獲をしてくれます。管轄の保健所に相談しましょう。
また、飼い主がいるかいないかわからない猫は、警察に届けることもできなくはありませんが、警察では保健所などに引き取りを依頼するように促されます。休日で保健所が閉まっている、怪我をしていて自分では対処ができないなどの事情がある場合を除いて、保健所や動物愛護センターに相談の上、引き取りを行ってもらうのが良いでしょう。
所有者不明の猫を自宅で保護したり飼うつもりなら警察に届け出ましょう
もし、保護した猫を飼うつもりがあるなら、警察に届け出をしましょう。
飼い主がいないと思われる猫であっても万が一飼い主がいた場合、遺失物横領罪に問われる可能性もあります。善意のはずがネコババになってしまうのも悲しいことです。
警察では、拾得者が拾得した犬又は猫を保管する旨を申し出た場合は、遺失物法の逸走した家畜として取り扱います。
公告期間の3ヵ月を経て、拾い主であるあなたに所有権が移りますので、正式な手続きを踏んでおく方がその子のためにも良いかと思います。
以上になります。保健所の施設や業務の都合上、致し方ない面が多々あるのかと思いますが、収容期間が短すぎると思うんです。自治体や動物愛護センターのホームページでは、迷子になったらすぐに探すように促したりもしており「いつものことだから・・・と探すのに時間が経ってしまうと気付いた時には手遅れに」といった記載もあります。それは分かりますが、そうなってしまった飼い主の気持ちを考えると、全てを飼い主の責任にするのも酷なことのようにも思いました。