【犬猫】警察で引き取ってくれる場合とくれない場合がある【落とし物】

 迷子かな?と思う犬や猫を保護した際、交番や警察に届けてあげよう。と思う方も多くいらっしゃるかと思います。

飼い主=持ち主がいると思われる犬や猫なので、警察に届けること自体は間違っていません。

しかし、残念ながら野良犬こそほとんど見なくなりましたが、野良猫はそれなり見かけることもあり、また、いまだに放し飼いをされる飼い主もいます。

このため、飼い主がいるのかいないのかわかりにくいケースも少なからずあります。

警察では、落とし物を遺失物として受理し、持ち主が現れるまで一定期間保管をしてくれますが、落とした人、持ち主の方がいないとなれば、その対応も変わってくるものです。

こちらでは、保護した犬や猫を警察に届けた場合、引き取りの扱いがどのようになるのかをまとめました。

▼目次

  1. 落とし物は、警察に届ける。小学生でも知っている基本的なことのおさらい
  2. 逸走した家畜は、落とし物(遺失物)として警察で引き取ってくれる
  3. 所有者不明の猫は、警察で引き取ってもらいにくい(保健所へ誘導される)
  4. 所有者不明の犬は、狂犬病予防法に則り保健所で捕獲
  5. 怪我をしている犬猫は、警察ではなく保健所へ
  6. 警察は、所有者の有無をどこで判断しているか?

落とし物は、警察に届ける。小学生でも知っている基本的なことのおさらい

「落とし物は、交番に届けよう」
「持ち主が現れなければ、拾った人の物になる」
「拾ったら1割のお礼をもらえる」

誰もが知っている、落とし物は警察に届けましょう。という話です。

落とし物=遺失物の扱いは、民法および遺失物法で規定されており、上記の話を法令に照らし合わせると以下のようになります。(遺失物法、民法の一部を抜粋)

落とし物は、交番に届けよう。

遺失物法 第四条
『拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。』

持ち主が現れなければ、拾った人の物になる

民法 第二百四十条
『遺失物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。』

拾ったら1割のお礼をもらえる。

遺失物法 第二十八条
『物件の返還を受ける遺失者は、当該物件の価格の百分の五以上百分の二十以下に相当する額の報労金を拾得者に支払わなければならない。』

※遺失物法、民法の法令は、e-Gov(イーガブ)電子政府の総合窓口で検索、閲覧ができます。

e-Gov(イーガブ)電子政府の総合窓口

https://www.e-gov.go.jp/

落とし物は、拾った人の義務として警察に届けることが必要です。
※勝手に自分の物にしてしまったら、遺失物横領罪(刑法254条)に問われることもあります。

警察に届けられた落とし物は、一時保管され、落とした人が分からないものは、警視庁遺失物センターに送られます。
3ヵ月過ぎても落とし主が現れない場合は、拾った人のものなります。
※携帯電話やクレジットカードなど個人情報が含まれるものは、拾った人のものにはなりません。

それから、落とした人は、拾った人に報労金支払う必要があります。
『当該物件の価格の百分の五以上百分の二十以下』= 5%~20%以下
という規定があるので、よく言われる「1割の謝礼」は、ざっくり1割といった話です。

逸走した家畜は、落とし物(遺失物)として警察で引き取ってくれる

「逸走した家畜」というと少し語弊があるかもしれませんが、遺失物法で使われているペットに対する文言です。

遺失物法 第二条

『この法律において「物件」とは、遺失物及び埋蔵物並びに準遺失物(誤って占有した他人の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜をいう。次条において同じ。)をいう。』


逸走した家畜=走って逃げた飼い主のいるペット(迷子のペット)

ということです。
次に、遺失物法 第四条 の拾得者の義務を見てみます。

遺失物法 第四条

『拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。』


「拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。」
とあり、
物件には、逸走した家畜も含まれます。

よって、迷子のペットは、落とした人に返すか警察に届けなければいけない。ということになります。

※ペットで飼われている犬猫は、飼い主の落とし物として警察で遺失物として扱ってくれる。ということです。

所有者不明の猫は、警察で引き取ってもらいにくい(保健所へ誘導される)

それでは、飼い主がいない野良猫や飼い主がいるかわからないような猫では、どうなるでしょうか?

所有者不明の猫の場合、飼い猫と違って扱いが異なります。これは、遺失物法 第四条 3項に規定があります。

遺失物法 第四条 3

『前二項の規定は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和四十八年法律第百五号)第三十五条第三項に規定する犬又は猫に該当する物件について同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、適用しない。』


動物の愛護及び管理に関する法律 第三十五条3項に規定する犬又は猫とは、所有者の判明しない犬又は猫のことを指しています。

また、条文の冒頭に出てくる前二項の規定とは、拾得した物件の返還や警察への届け出の義務についてのことです。

さらに条文には、前二項の規定は・・・適用しない。とあるので、

所有者の判明しない犬又は猫は、拾得した物件の返還や警察への届け出の義務は、適用されない。

ということになります。

この条文に加えて、当然のことですが交番や警察署に犬猫の飼育施設はありませんので、適切に保護することは難しいです。
このため、警察署で引き取りを行った場合でも結局は、保健所や動物愛護センターへ引き渡されることになります。

警察からしてみれば、引き取ったところで保健所や動物愛護センターに引き渡すことになるので、手間であるとも言えます。

手間だから警察じゃなく、保健所に相談してくれ。という話でもあるかもしれませんが、警察も法令に則り業務を行っています。

動物の愛護及び管理に関する法律 第三十五条 1項では

『都道府県は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。』

とあります。(第三十五条 3項に、所有者の判明しない犬猫も準用する。とあり、同様の扱いです)

警察では、この法令に則り、都道府県の保健所や動物愛護センターで引き取りを行ってもらうように誘導している。という事情になります。

もちろん警察では絶対に引き取らないというわけではありません。
拾った方が保健所などへ連れて行けない場合や休日や夜間などで保健所が閉まってしまっているなどの事情があれば警察で引き取りをしてもらうことはできます。


※所有者不明の犬猫の扱いは、警察庁のホームページで文書が公開されております。詳しくは、以下で見ることができます。

→ 所有者の判明しない犬又は猫その他の動物を拾得したとして申告を受けた場合等の取扱いについて

所有者不明の犬は、狂犬病予防法に則り保健所で捕獲

犬に関する法律は、狂犬病予防法もあります。

狂犬病予防法 第六条

『予防員は、第四条に規定する登録を受けず、若しくは鑑札を着けず、又は第五条に規定する予防注射を受けず、若しくは注射済票を着けていない犬があると認めたときは、これを抑留しなければならない。』

※狂犬病予防法の法令は、e-Gov(イーガブ)電子政府の総合窓口で検索、閲覧ができます。

e-Gov(イーガブ)電子政府の総合窓口

https://www.e-gov.go.jp/

要約すると、野良犬は保健所で捕獲します。ということです。

中型以上の大きさの犬となると噛み付く恐れもありますし、暴れられたら制御することが難しいです。
野良犬、野犬のような犬が、小型犬の可愛らしいワンちゃんということは考えにくいので、自ら保護して警察に持ち寄ることもないかと思いますが、狂犬病予防法の法令の通り、保健所へ一報を入れるのが正しい方法でしょう。

もちろん小型犬のワンちゃんが逸走してしまうこともあるかもしれませんが、小型犬であれば飼い主が走って追い掛けて捕まえられるケースの方が多いと思いますので、小型犬を保護することはなかなか珍しいことと思います。

怪我をしている犬猫は、警察ではなく保健所へ

怪我をしている犬猫を保護した場合は、警察では基本的には引き取りを行いません。

動物の愛護及び管理に関する法律 第三十六条

『道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、猫等の動物又は犬、猫等の動物の死体を発見した者は、速やかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。』


動物愛護の観点から発見者は、保健所や動物愛護センターへの通報の努力義務が設けられています。
このため、警察ではこの規定に基づいて、発見者に保健所、動物愛護センターへ通報を行ってもらうようにしています。

ただし例外はあり、休日や夜間などで保健所が閉まってしまっているなどの事情があれば、警察で一時的に預かってもらうことは可能なようです。

警察は、所有者の有無をどこで判断しているか?

ここで一つ疑問が。

飼い主のいるいないの判断は、どこで行っているのでしょうか?

犬であれば、首輪や鑑札、注射済票を携行させていることが多いので、この有無で判断が容易と思います。

一方、猫の場合は、いまだに放し飼いをされている猫もいますし、首輪を付けていない猫もいます。

警察庁のホームページ「遺失物について」のページでは、以下ような内容の記載がありました。

『「くび輪やかん札がある場合」又は「拾われる前まで飼われていたと思われる場合」については、飼い主の調査をしますので、今までどおり交番や警察署へ届けてください。』

警察庁「遺失物について
更新日:2018年11月27日, 警察庁ホームページ

拾われる前まで飼われていたと思われる場合・・・何ともあやふやで、対応される署員の判断によってしまうものになりそうです。

血統書付きの猫種で雑種との違いがひと目でわかるような猫は、飼われていたと判断するのも容易と思いますが、雑種となるとかなり難しいと思います。
毛の汚れ具合、目やにのつき具合、肉球の汚れ具合など見る点はあるでしょうけど、対応される署員の方も専門家ではないので、判断は難しいものと思われます。

交番や警察署での一般的な対応としては、遺失届を確認して、該当の犬猫の届け出がなければ、所有者不明の猫として扱われるケースが多いと思います。


以上になります。ひと昔前は、拾った者はなんでも交番に届ける時代もあったかと思いますが、時代が移り変わり、法令も変わり、犬猫の扱いは複雑になっていますね。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

対策グッズのほとんどは、実際に買って・試した結果をまとめたものです。
当サイトの情報が皆様の野良猫対策の助けになれば幸いです。
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