米首都のワシントンD.C.で、元野良猫達がネズミ退治で活躍しているらしい。
通称「Blue Collar Cats」と呼ばれるブログラムで、アメリカの動物福祉団体HRA(Humane Rescue Alliance)の活動になります。
ネズミ退治を行う猫達は、元野良猫
この元野良猫達は、野良猫というよりノネコに近い、人が飼い慣らすのが困難な猫達で、不妊・去勢を施しても元の場所に放すことができないような猫達でした。こうした猫達の行く末は、殺処分になっていたようですが、ネズミ退治という大義名分を得て、活躍の場が与えられたというわけです。
これまでネズミの駆除と言えば、殺鼠剤やトラップを使った駆除でありましたが、それに変わる駆除方法というもの。
Blue Collar Catsは、Blue Collar=肉体労働者を指しており、肉食労働猫とでも言う役割を持って現地に赴きます。
動物福祉団体がサポート、企業が受け入れ
Blue Collar Cats プログラムの猫達は、動物福祉団体で保護された猫です。ワクチンを接種し、不妊・去勢手術が行われ、耳先はカットされています。
このプログラムを受け入れる企業や個人は、何かしらの費用を払う必要はありません。受け入れた後、ネズミ退治の報酬に、寝床や餌、医療などの提供をするだけです。もちろん生涯にわたって。
元野良猫達の受け入れは、HRAのサポートの元、ケージの提供を受け、受け入れ先の企業や個人の敷地内で飼育されていきます。
大事なことは、この猫達は可愛がるために雇われたのではなく、ネズミ退治をするために雇われた Blue Collar Cats なのです。
元より、保護をされはしましたが、譲渡や元の場所に放すのに適さない猫達です。撫でたり可愛がったりができない猫なのです。(可愛がろうとして手を出せば、手痛い一撃が待っているかもしれません。)
ネズミ退治の仕事が終われば、ケージという待避所に戻り、餌などの報酬を受け取り休息。日本で言う放し飼いとは全く違った役割を持って共存している姿のようです。
猫達が活躍できるくらいネズミが多い米首都
米首都のワシントンD.C.で活躍する Blue Collar Cats ですが、アメリカの首都でそんなにネズミはいるものなのでしょうか?
管理人もそんな疑問を持ったものですが、youtube でいくつか動画を見たところ、店先や自宅の庭にちょろちょろと動き回るネズミがいます。それをホウキなどで掃いてよけている姿に驚きでした。(もちろんネズミの多い一部の地域のことだとは思いますが)
日本では、普通に暮らしているとネズミなんてほとんど見ないものですが、お店の前の道路や自宅の庭先でネズミが普通に歩いている姿を考えると、ハンターを雇いたくなる気持ちもわからなくはないと思いました。
逃げ出したりはしないのか?
飼うことが難しい猫であるので、もし逃げ出したら付近の方は困るのでは?
素朴な疑問を思ったものですが、Blue Collar Catsの実害というものは管理人が探した限りでは情報がありませんでした。(探し方が不十分という可能性もあります)
ここからは推測になりますが、こうした問題は長く動物福祉の活動をしていれば、周知の事実ではあるかと思います。逃げ出したり戻って来なくなることはおそらく普通にあることでしょう。こうした場合の相談を動物福祉団体で行っていたり、捜索や捕獲のサポートを行っているものでは?と思います。
それくらいのサポートがなければ、ネズミの問題がネコの問題に置き換わるだけですし、ネコを助ける活動(の一環)が窮地に貶める活動になることはしないと思ったからです。
受け入れ先の企業や個人は責任を持って管理するのが条件
Blue Collar Cats プログラムの参加者は、ネズミを退治するために、肉食労働猫を雇っています。受け入れ先の企業や個人は、労働猫の雇い主なのです。
寝床や餌、医療の提供といった、ペットの飼い主が行っているものと同様の責任を持っています。
また、プログラムの参加者は、動物福祉団体から詳しい説明とルールの厳守ができる企業か個人かの見極めをされた上で参加が決まります。
責任を持って管理できる雇い主であること。
このような企業、個人がプログラムの参加者であることから、ネズミの問題からネコの問題に取って代わるようなことが少ないのかもしれません。
日本ではネズミ退治の役割を持たせるのは難しそうです
日本は、ネズミ自体ほとんど見ないと思いますので、この役割を果たすことは難しそうですね。Blue Collar Cats プログラムのように、野良猫も労働を行えば、その対価として餌は与えられるし、医療も受けられる。人が生活する社会に溶け込むためには、彼らも労働を行わなければ受け入れられにくいということなのかもしれません。
日本の野良猫にもそんな役割があればいいのですが。現状では「仕事」を与えて共存するような術は見つかっていないのが実情だと言えます。