犬の殺処分数は、長年にわたり全国ワースト1位となってしまっていた県が茨城県になります。平成17年~平成24年の8年間で全国ワースト1位でした。
その後の数年もワースト1位は脱したものの全国2位、3位と推移します。しかし、令和3年度(2021年)には茨城県内の犬の殺処分数がゼロになったと発表し、全国で最も改善が進んだ県と言えると思います。
茨城県では、全国に類を見ない「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」を平成28年12月に制定されておりますが、一定の成果が見られたということでしょう。
殺処分数を減らしていく上で、県の施策や動物愛護関係者の協力などによって様々な対応がなされたと思いますが、その経緯と効果について考察しました。
※経緯を確認するため「動物愛護推進協議会議事録」を平成20年度から令和3年度分まで確認しております。※加えて、茨城県のホームページで公表されている各種データや動物愛護に関する施策の資料も確認しております。
茨城県「動物愛護推進協議会議事録」のリンクhttps://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/seiei/kankyo/seiei/envandani/aigokangae.files/gijiroku-a.html
▼目次
- 茨城県の犬猫殺処分数の推移
- 8年連続犬の殺処分数ワースト1位となってしまっていた背景
- “これ”ができれば簡単に殺処分をゼロにできる
- 殺処分ゼロに向けての茨城県の取組み(時系列)
- 定時定点引取り廃止
- 終生飼養を大前提とした引取り拒否
- 犬猫の引取手数料の増額
- 犬の放し飼いの罰則強化
- 犬の放し飼いは少なくなったのか?
- 茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例の制定
- 譲渡活動の促進
- 動物愛護の啓発と普及の取組み
- 動物愛護に携わる全ての関係者の努力があってこそ
茨城県の犬猫殺処分数の推移
平成18年~令和2年度までの犬猫殺処分数をグラフにまとめると以下の通りです。
犬の殺処分数は、平成17~24年の8年間全国ワースト1位。その後の平成25~27年が2位、平成28年が3位、平成29年が7位と続きます。
なお、猫の殺処分数も少ないとは言えませんが、全国の中でも際立って多いということではありません。(例えば、平成29年度で32位、平成30年度が41位。いずれもワースト(多い方から数えて)の順位です)
8年連続犬の殺処分数ワースト1位となってしまっていた背景
放し飼いの多さ
とにかく放し飼いが多い。
これは動物愛護推進協議会議事録の中でも度々指摘されています。以下、平成25年度の議事録より引用。
事務局 茨城県の犬の殺処分頭数は,7年連続で全国ワースト1になっている。放し飼いの犬が収容されたり,野犬化した飼い犬が収容され,飼い主から返還の申し出が無く殺処分頭数が多くなっていると考えている。
※「事務局」は、茨城県生活衛生課と動物指導センターの担当者による発言。
これを裏付けるものとして、鹿行(ろっこう)地域で行われた犬猫の飼養実態調査のデータがあります。以下、平成22年度第1回動物愛護推進協議会の資料より引用。
畜犬登録と放し飼いの状況
飼い犬登録頭数 | 未登録頭数 |
---|---|
21,778頭 | 15,000頭 |
- 飼育頭数は、約37,000頭(登録実施率59%)
- 雑種が6~7割で、雑種の外飼いが8割。
上記の通り、飼育頭数の約37,000頭数のうち雑種が6~7割とすると、雑種の数が約22,200~25,900頭。そのうち8割が外飼い(放し飼い)の調査結果を踏まえると、20,000頭弱の飼い犬が放し飼いされていることになります。
※鹿行地域とは、鹿島アントラーズのホームタウンとして知られる鹿島市を含む、潮来市、神栖市、行方市、鉾田市の地域を指します。茨城県南東部の地域。※茨城県HPの人口と世帯(推計)令和2年度の統計によりますと、茨城県の人口は、9月1日現在で2,854,980人。鹿行地域の人口は、268,097人。
平成22年度の調査結果で10年以上前のものになりますが、茨城県の一部のエリアに限った話とはいえ、約20,000頭の飼い犬が放し飼いされていると考えると、かなり多い印象を受けるのではないでしょうか。
動物行政一元化の弊害
動物行政一元化とは、昭和62年に行われた動物指導センターへの動物指導業務の一元化のことです。この変更により茨城県内の保健所で行われていた犬の捕獲、犬猫の引取業務が廃止されました。
この際、保健所での犬猫引取り業務を廃止する代わりに、市町村の公民館等で行われる「定点定時引取」業務が開始されます。
結果、犬猫を捨てたいと思った人は、定点定時引取を利用します。また、野良犬や放浪犬の捕獲は狂犬病予防法に基づき行われますが、その業務を行うのは笠間市にある動物指導センターです。動物指導センターから離れた市町村となると往復100km超えの場所もあります。果たして野良犬の捕獲や逸走犬、放浪犬の保護を円滑に行えていたかと言えば疑問に残るのではないでしょうか。(市町村で一時的に捕獲、動物指導センターが引取り・収容といった流れだったとは思いますが)
譲渡や返還に問題
犬猫の引取りや保護・捕獲をされたとしても譲渡や返還が十分に行われれば殺処分につながりません。それができていなかったからこその殺処分数ワースト1位とも言えます。当然、返還率も長年ワースト1位でありました。
畜犬登録が不十分な状態では、保護された犬の身元はわかりません。飼い主に返還できません。犬の捕獲は、保健所では行いません。動物指導センターです。収容も動物指導センター内であったとしたら遠方の飼い主は引取りに行くのも大変です。放し飼いや逸走犬が保護されてしまい、そのうち戻ってくるだろうと思っているうちに殺処分、このようなケースも多くあったのではないでしょうか。
また、譲渡も以前はさほど行われておらず、平成18年度で言えば犬の捕獲頭数4,664頭に対し、譲渡数は256頭でした。
“これ”ができれば簡単に殺処分をゼロにできる
極論を言えば、都道府県の保健所及び動物愛護センター等で殺処分を行わなければゼロにできます。致死処分業務を止めればゼロになるということです。また、捕獲、保護された犬猫の全てを譲渡(または飼い主に返還)することでも殺処分をゼロにできます。この他、犬猫の引取りを止めたり、減らしたりすることで殺処分をしないですむかもしれません。加えて、収容されていたとしても保健所や動物愛護センター等でずーっと飼えば殺処分をしないですみます。
非現実的な話でお叱りを受けるかもしれませんが、実際問題、殺処分をゼロにしようと考えたら、
- 引取り数を減らし
- 譲渡や返還数を増やし
- 譲渡や返還するまでの間に収容しておく場所の確保を行う(生存機会の拡大)
これらを行っていくことで殺処分をできる限りしないですむようになるという話です。当然、行政の施策もこれらを念頭に行われます。
殺処分ゼロに向けての茨城県の取組み(時系列)
殺処分の多かった茨城県では、長い年月にわたって動物愛護の取組みが行われてきました。その中でも大きな施策と呼べるものを時系列に上げてみました。
平成15年5月 | 茨城県動物愛護推進計画を策定。※全国で静岡県に次いで2番目となる早い時期の策定 |
---|---|
平成16年10月 | 犬猫の引取り有料化。 |
平成20年12月 | 適正譲渡実施団体認定制度の創設。 |
平成22年3月 | 定時定点引取業務の廃止。 |
平成25年9月 | 改正動物愛護法の施行に伴う引取り拒否の運用開始。 |
平成27年4月 | 犬猫引取り手数料の増額。 |
平成27年10月 | 茨城県猫の適正飼養ガイドラインを策定。 |
平成28年12月 | 茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例を制定。 |
平成31年4月 | 犬の放し飼いの罰則強化。罰金額を5万円以下から30万円以下に引き上げ。 |
この他、繁殖制限の助成金制度、飼い主のいない猫の対策として地域猫の不妊去勢手術の支援も取り組まれています。
取組みと犬猫殺処分数の推移の相関
上記の取組み時期を犬猫殺処分数のグラフに書き込みすると以下のようになります。
減少幅が大きく見られるところは、取組みが功を奏したと考えていいのかもしれません。
以降は、効果的であったと考えられる取組みについて少し詳しく見ていきます。
定時定点引取り廃止
定点定時引取りの業務は、平成22年3月をもって廃止されます。この結果は当然、犬猫の引取り数に影響します。
平成22年以降、所有者からの引取り数が減少しています。特に犬の場合は、平成21年の856頭から平成22年の665頭と大きく減少しており、定時定点引取り廃止の影響が見られるものでしょう。
しかし、引取り数を減らせたことで殺処分数を減らせるから良いという単純な話ではありません。以下、平成21年度第2回動物愛護推進協議会より定点定時引取り廃止に伴う議論の一部で確認できます。
事務局 廃止の方針が理解できないというボランティアグループと意見交換の場をもち、これまでの県の状況や今後の方針を説明した。また、市町村に対しては、県内10カ所の会議において、県の立場を説明し、市町村の現況を聞く中で、犬猫の一時保管を速やかに収容する制度が必要となり、定時定点に代わる制度を作った。
ボランティアグループから廃止の方針を理解されず、市町村についても犬猫の一時保管について速やかな収容を求める意見があったようです。
定時定点引取り業務の成り立ちについて遡ると、当初は保健所での犬の捕獲、犬猫の引取業務を行わない代わりにできた業務です。定時定点引取りを廃止して保健所でも捕獲・引取りを行わないとなるとこれまで定点定時で引き取られていた犬猫達はどこへ行くのか?容易に考えられるのが捨て犬、捨て猫です。動物の遺棄の対策がままならない状況で踏み切れば野良犬、野良猫の増加が考えられます。ボランティアグループから廃止の方針の理解が得られていなかったのは頷けます。
また、野良犬、野良猫が増えるとなると市町村は一時的に犬猫の保管を強いられるケースが多くなると考えられます。最寄りの保健所に収容が可能であれば市町村(の役所)としてはいいかもしれませんが、保健所は動物行政一元化により捕獲・引取りは行いません。このため市町村は役所で一時保管する(犬猫の世話をする)のは業務に支障が出ると考えて、県に対して犬猫の速やかな収容を行うように迫ったと思われます。
では、犬の捕獲頭数がどのように推移したかを見てみましょう。
結果としては、定点定時引取りの業務を廃止した平成22年以降に急増することはなく、緩やかな減少が見られました。
終生飼養を大前提とした引取り拒否
平成25年度は、改正動物愛護管理法が施行された年になります。(2012年9月公布、2013年9月施行)多頭飼育の適正化や犬猫の引取り拒否事由が明記されたことにより、保健所や動物愛護センターで引取りを依頼されても拒否ができるようになりました。この結果、引取り数及び殺処分数は平成25年を境に全国的に減少します。
茨城県が独自に行った施策ではありませんが、改正動物愛護管理法に則り引取り拒否の運用開始した結果が見られると思います。
飼い犬、飼い猫は基本的には終生飼養です。法律上は努力義務にはなりますが、その努力が行われているかを判断し、場合によっては引取り拒否するケースが全国的に増えました。
犬猫の引取手数料の増額
飼い主の中には、保健所に持っていけばそのまま引き取ってもらえるだろう。と、考える方もいるかもしれません。
茨城県では、平成16年より犬猫の引取りは有料化されておりますが、平成27年にはその手数料が増額されました。
改定前 | 改定後 | |
---|---|---|
成犬・成猫 | 2,000円 | 4,000円 |
子犬・子猫 | 400円 | 1,000円 |
飼い主宅で引取 | 5,000円 | 7,000円 |
引取手数料の増額は、安易に保健所へ持ち込む飼い主にとっては抑止力になると考えられます。
手数料をもっと高く設定すればより効果的なのかもしれませんが、行政が行う業務に対する手数料であるため、妥当な範囲の料金設定になるのは致し方ないのだと思います。
犬の放し飼いの罰則強化
平成31年4月1日、茨城県動物の保護及び管理に関する条例の一部改正に伴い、犬のけい留義務違反等に関わる罰則の強化を行いました。改正内容としては、以下になります。
改正前 | 改正後 |
---|---|
5万円以下の罰金又は過料 | 30万円以下の罰金 |
飼い犬は基本的には逃げないようにけい留が必要とされ、かつ、人に危害を加えることのないように、柵・檻や囲いの中で飼養するか鎖等でつないでおく必要があります。
実効性がどの程度あるかは定かではありませんが、犬の放し飼いはNGであることの明確なメッセージになったことは確かだと思います。
犬の放し飼いは少なくなったのか?
数値として表すのは難しいと思いますが、犬の捕獲数を見ると増減の状況はわかります。
犬の捕獲数は右肩下がり、以前と比べてかなり減ってきたと言えるでしょう。また、所見としては動物愛護推進協議会での発言で見られます。以下、平成29年度動物愛護推進協議会の議事録より引用。
勝山委員 以前,鉾田市では1人(1匹)で散歩をしているワンちゃんがぞろぞろといた。しかし,最近は不思議と見かけない。
飯塚委員 地域で温度差がまだまだ。ただ,私が住んでいる水戸市では,ほとんど前から見かけることはなかったが,5~6匹団体でというのは郊外でもまず見かけなくなった。
麻生委員 鹿島の方でもお会いする人は,最近,(徘徊する犬は)見かけないねと仰っている。
体感としても野良や放し飼いの犬は少なくなったのがわかります。
さて、放し飼いが少なくなった要因はどこにあるのでしょうか?すぐに思い当たるところでは飼い主の飼養意識の向上が見られたのかもしれません。平成22年度の資料にある鹿行地域の飼い主へのアンケートでは、畜犬登録の実施率は59%、雑種の外飼いが8割程度あるといった結果でした。アンケートの続報は見当たりませんでしたが、仮に飼い主の飼養意識の向上があったとすれば、畜犬登録をされる方が増えているかもしれません。この仮定を元に茨城県の畜犬登録数の推移を調べてみると以下のようになります。
※畜犬登録数は、政府が公表する統計資料「衛生行政報告例」より確認できます。グラフも衛生行政報告例を参照し作成しています。-> e-Stat政府統計の総合窓口(https://www.e-stat.go.jp/)
平成21年をピークに減少しているようです。これだけでは畜犬登録の実施率が上がったのか下がったのかまでは分かり兼ねますが、未登録の方が積極的に畜犬登録するようになったかというとそれもないと思われる結果であると考えられます。
なお、畜犬登録は登録時に「鑑札」を交付されます。鑑札には登録番号が記載されています。首輪等に鑑札を付けていれば飼い犬が迷子になっても鑑札から確実に飼い主の元に返すことができます。よって、畜犬登録の実施率は犬の返還率と比例すると言えます。
犬の返還数はほぼ横ばいかやや微増といった状況と言えるでしょう。ただし、捕獲数は年々減少しているため、返還率は上昇していると考えられます。
※猫の返還数について、動物愛護推進協議会議事録の資料に平成29年以前は未掲載でした。市町村、保健所等でも飼い主が見つかった猫は返していると思いますので、返還数が0ということではないと思われます。(計上していない、できていない、または掲載していないだけだと思います)
茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例の制定
平成28年12月に「茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例」が制定されました。リンク -> https://www.pref.ibaraki.jp/hokenfukushi/seiei/kankyo/seiei/satushobunn0jyourei/zero.html
興味深いのは、殺処分をゼロにする条例ではなく、ゼロを目指す条例としている点。全国でも類を見ない条例だと思いますが、ついつい殺処分ゼロの言葉のインパクトから、殺処分数をゼロにするのが目的なんだろうと考えてしまいます。しかし、本条文の前文を見ると以下のように記されています。
「私たちは、県、市町村及び県民が一体となって、犬や猫の殺処分ゼロを目指すことを声高らかに宣言し、犬や猫と共に幸せに暮らせる社会の実現に向けて行動する決意を明確にするため、この条例を制定する。」
とあります。また、第1条の目的には、「殺処分となる尊い命を生じさせない」「県民が犬及び猫と共に幸せに暮らせる社会の実現に寄与することを目的とする」とあるように、動物との共生に関する条例とも言えるでしょう。
おそらく、条例制定に向けて強いメッセージを発信したいがための名称と思いますが、理念とは裏腹に「殺処分ゼロ」の部分が独り歩きしてしまうのでは?
以下、平成29年度動物愛護推進協議会の議事録を引用。
事務局(渡邉) 先般,議会から「殺処分ゼロ」を達成する年度を明確にしてはどうかという意見があった。
条例制定のため、県の意思決定を行った県議会から『「殺処分ゼロ」を達成する年度を明確にしてはどうか』という意見が出てしまうくらいです。当然その後の議論ではこのような意見が見られます。
会田副委員長 「ゼロ」が大事なのではなく,「ゼロ」に向かって努力するプロセスが大事である。要するに「動物愛護」というものは,本来数値化できるものではなく,いついつまでに達成するという話ではない。
条例制定から程なくして県議会から目的を見失っているかのような意見が出るのは皮肉なものですが、その後茨城県では令和3年度に犬の殺処分数がゼロが達成されることとなります。
譲渡活動の促進
適正譲渡実施団体認定制度があり登録団体が譲渡活動を行っています。
ボランティア譲渡登録団体数
※動物愛護推進協議会議事録の資料より抜粋。一部はぬけがありますが、資料に記載がなく確認できなかったものです。
団体 | 個人 | |
---|---|---|
令和3年 | 53 | 32 |
令和2年 | ||
令和元年 | 45 | 26 |
平成30年 | 46 | 18 |
平成29年 | 41 | 10 |
平成28年 | ||
平成27年 | 34 | 8 |
平成26年 | ||
平成25年 | 27 | 9 |
登録団体増加に伴い、譲渡機会と譲渡が増えました。直近の譲渡実績では、令和2年度に1,954頭、令和3年度に1,445頭とのことです。
以下は、茨城県の犬猫譲渡数の推移になります。
動物愛護の啓発と普及の取組み
殺処分を減らす上で即効性はありませんが、県民の動物愛護の意識向上は長い目で見ると大事です。県や市町村、動物愛護推進委員等は、啓発と普及活動を行っています。
- 学校獣医師制度(児童の動物愛護情操教育)
- 家庭犬しつけ方教室、動物ふれあい教室等の啓発活動
- メディアを利用した動物愛護広報
- ショッピングモール等における動物愛護啓発パネル展の開催
- 動物愛護に携わる人材の確保と育成
- 動物愛護・飼養・災害等緊急時の各種ガイドラインの策定
- 地域猫活動の推進
茨城県に限らず全国で同じような活動が行われているとは思いますが、地道な活動で得られるものは少なくないと思います。
動物愛護に携わる全ての関係者の努力があってこそ
行政の動物愛護の取組みが実ったのは確かですが、その過程で現場で取り組む関係者の労力は計り知れないものがあったと思います。
制度的には県からボランティアへワクチン代や不妊去勢手術費など補助金が交付されるとは思いますが、犬猫の保護や譲渡までのお世話、餌代や飼育環境に必要な費用はボランティアの持ち出しで活動されている方もいらっしゃるでしょう。加えて、お金のことだけでなく犬猫の維持管理や譲渡会などの対応を含めると多大な労力と時にはしわ寄せもあったと思われます。
動物推進委員や動物愛護団体、個人のボランティアなど動物愛護に携わる全ての関係者の努力があってこその成果だと思いました。
最後に、殺処分を大きく減らせた結果は素晴らしいことだと思います。しかし、様々な対策を行っていく上でお金の問題は切っても切り離せません。譲渡をしやすくするためには犬猫の健康が大事です。ワクチンや駆虫剤は県費(税金)で賄われます。また、その先の譲渡においてもボランティアの譲渡登録団体には、県から補助金が交付されます。繁殖制限の助成金制度にしてもそうです。昨今は、ふるさと納税制度を活用した寄付金の募集を行うなど金策も行っておりますが、これまでに多額の税金が投入されたことは事実だと思います。犬の殺処分ゼロの達成の成果は目覚ましいものですが、それまでに費やした税金がどの程度であるかは県民に広く知られたものではないでしょう。税金の使途に是非を問うものではありませんが、県民が使われた税金の額を知れば賛否は必ずあると思います。