茨城県の動物愛護に関する予算について(平成26年~令和4年度)

前回投稿の「茨城県の犬猫殺処分数ワースト1位(犬)からゼロにした経緯と考察」の補足記事。

茨城県で動物愛護に関わる費用(税金)がどの程度使われているのかを確認してみました。

なお、参照資料は以下になります。


茨城県「茨城県の財政状況」各年度の予算公表を参照 -> 一般会計の歳出予算、第5款保健福祉費から動物愛護管理推進費を参照
https://www.pref.ibaraki.jp/shiru/zaiseijokyo/index.html

※予算を参照しています。本来は、決算から支出額を参照した方がより実情を把握できると思いますが、一部の年度(H26,H29)でリンク切れのため参照できず。このため予算を参照しています。
※決算の資料ついては、以下のリンクより参照できます。

茨城県「決算」
https://www.pref.ibaraki.jp/somu/zaisei/kanri/kessann.html

動物愛護管理推進費の予算

茨城県の財政状況の資料から各年度の予算公表を参照し、一般会計の歳出予算から第5款保健福祉費の資料を参照しております。
その中で、動物愛護関連の費用となる動物愛護管理推進費の項目の予算が以下のようになります。

動物愛護管理推進費全体の予算

平成26~令和4年度 当初予算(予算に関する説明書)より
【一般会計】- 1.歳入歳出予算事項別明細書 – (3)歳出 – 第5款保健福祉費 -> 動物愛護管理推進費(または狂犬病予防費)を参照。

年度 項目 本年度予算
平成26年 6狂犬病予防費 127,441,000
平成27年 6狂犬病予防費 130,380,000
平成28年 6狂犬病予防費 132,465,000
平成29年 6狂犬病予防費 168,549,000
平成30年 6動物愛護管理推進費 205,392,000
令和元年 6動物愛護管理推進費 207,059,000
令和2年 6動物愛護管理推進費 206,862,000
令和3年 6動物愛護管理推進費 205,421,000
令和4年 6動物愛護管理推進費 206,862,000

※平成29年度までは「6狂犬病予防費」の名称で、平成30年度以降は「6動物愛護管理推進費」で計上されています。
※動物愛護管理推進費に含まれる全ての区分:報酬,給料,職員手当等,共済費,報償費,旅費,需用費,役務費,委託料,使用料及び賃借料,工事請負費,備品購入費,負担金,補助及び交付金,公課費

項目名を見て分かる通り、平成30年度より動物愛護管理推進費の名称に変更されておりますが、この中に狂犬病予防費も含みます。
直近では、2億円を超える予算が組まれていますが、予算の増減を見ると平成29年度からの増額が顕著だと思います。
茨城県では、平成28年12月に茨城県犬猫殺処分ゼロを目指す条例を制定されており、それ以降動物愛護関連の予算が新たに組み込まれ、増額しています。

上記の通り、動物愛護管理推進費の項目には、狂犬病予防費も含まれます。全体の予算だと動物愛護に使われる費用の規模感が分かりづらいので、平成29年度以降に増額が顕著であった区分の「負担金,補助及び交付金」の推移を以下にまとめました。

動物愛護に関わる予算「負担金,補助及び交付金」の推移

平成26~令和4年度 当初予算(予算に関する説明書)より
【一般会計】- 1.歳入歳出予算事項別明細書 – (3)歳出 – 第5款保健福祉費 -> 動物愛護管理推進費(または狂犬病予防費)の区分「19(または18)負担金,補助及び交付金」の項目から数値を参照しグラフ化

棒グラフの写真
平成26~令和4年度 負担金,補助及び交付金
年度 負担金,補助及び交付金 動物愛護管理関係事務処理特例交付金 全国動物管理関係事務所協議会負担金 各種団体負担金 各種研修会負担金 譲渡犬猫の飼育管理 犬猫殺処分ゼロ推進活動費補助
平成26年 15,727,000 15,586,000 29,000 44,000 68,000 0 0
平成27年 16,029,000 15,839,000 29,000 80,000 81,000 0 0
平成28年 16,001,000 15,837,000 29,000 61,000 74,000 0 0
平成29年 29,997,000 15,835,000 29,000 61,000 72,000 12,000,000 2,000,000
平成30年 27,985,000 15,840,000 29,000 44,000 72,000 10,000,000 2,000,000
令和元年 25,856,000 16,154,000 29,000 41,000 132,000 7,500,000 2,000,000
令和2年 24,428,000 15,830,000 29,000 46,000 23,000 7,500,000 1,000,000
令和3年 24,673,000 14,825,000 29,000 46,000 23,000 7,500,000 2,250,000
令和4年 23,337,000 14,710,000 29,000 41,000 7,000 6,000,000 2,550,000

負担金,補助及び交付金は平成29年度に大きく増額し、約3,000万円の予算がつけられました。前年度の倍近くになりますが、譲渡犬猫の飼育管理と犬猫殺処分ゼロ推進活動費補助が新たに組み込まれているためです。
その後、予算は徐々に減額傾向にありますが、譲渡対象の犬猫が減り、殺処分ゼロ推進活動が県民に認知されていくことで予算は維持的な費用まで下がると考えられます。

ここまでで茨城県の動物愛護に関わる予算がどのように組まれているかが分かると思いますが、この予算が多いのか少ないのかはいまいちピンとこない方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、東京都の動物愛護管理対策の予算と比べてみることにしました。

東京都の予算

東京都HP – 財政情報 – 予算
https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/zaisei/yosan.html

上記から令和4年度の当初予算の資料、令和4年度一般会計予算説明書を参照し、第2歳入歳出予算 – 2歳出予算 – 第07福祉保健費 -08健康安全費 – 05生活環境費 -> 3動物愛護管理対策 の項目を参照。

東京都令和4年度動物愛護管理対策の費用

動物愛護管理対策
293,136,000

東京都令和4年度動物愛護管理対策の内訳

(1)犬・猫の収容 (2)動物愛護事業等 (3)動物愛護相談センター管理運営
52,560,000 128,891,000 111,685,000

令和4年度の動物愛護関連予算を比べると、

東京都 -> 約2億9千万円
茨城県 -> 約2千3百万円

予算上は、10倍以上の開きがあります。東京都と茨城県ではそもそも税収自体の規模も異なり、地方税で見てみると東京都が約5兆6千億円、茨城県が約6千億円※の違いです。※茨城県は地方交付税含む
割合としてみれば、東京都よりやや少ない予算を動物愛護関連に割り当てていると言えるでしょう。

※東京都は小池都知事の公約である、7つのゼロがあります。この中で「ペット殺処分ゼロ」が含まれておりますので、力を入れて取り組まれています。


財政の資料は、以下より参照しました。

茨城県 -> https://www.pref.ibaraki.jp/somu/zeimu/kikaku/guide/documents/1ibarakikennozaiseitokenzei.pdf
東京都 -> https://www.zaimu.metro.tokyo.lg.jp/syukei1/zaisei/0404tozaisei.pdf


以上、動物愛護に関して少なくない税金が投入されているのがわかるかと思います。また、茨城県ではここ数年、2000頭以上の犬猫が毎年譲渡されておりますが、譲渡犬猫の飼育管理の予算を譲渡数で割ると一頭の譲渡に掛かる費用(税金)がなんとなくわかったりもします。

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