掲題の動画について、当サイトを拝見してくださった方からお問い合わせをいただいております。特定のサイトや動画に関して言及はするつもりはないのですが、複数の問い合わせをいただいたり、何度も個別にやり取りするのも大変なのでまとめさせていただきました。
先に管理人の所見を述べさせていただくと、やらせの判断はつきかねますが再現動画だと思うとしっくりくるなと思いました。というのもこの動画※には不自然な点が多いからです。
※youtubeの動画「ラブラドールレトリバーが見つけた野良子猫を保護しました/命の危機から救いを求めてた野良子猫」
また、個人的には保護猫などの動画を好んで見るようなことはありません。こういった動画の飼い主達は、ペットの犬猫を家族やパートナーだと語りますが、youtubeに散見される動画の多くは収益化されており、ビジネスの為の犬猫動画が多数存在します。もちろん、収益化されるのは悪いことではありません。しかし、意図を持った感動場面で感情を煽るようなことをされるのは、どうかと思うのです。
単純な話、家族やパートナーと思っている相手を使い、相手の同意なく撮影し、それを不特定多数の人に公表するような行為は、恋人や配偶者、親兄弟であればやらないことだと思います。
それに、ペットの犬猫だってカメラで撮られることが大好きで、たくさんの人に見てもらいたいなんて思っていないでしょう?飼い主の方もいい映像を撮るために、可愛らしい仕草を強要したり何度も撮りなおすようなことがあるのでは?そういった事を家族やパートナーと思っている相手にするのかって話です。
以下、ベルとスノーの保護猫動画に関する不自然な点をまとめました。
※youtubeの動画「ラブラドールレトリバーが見つけた野良子猫を保護しました/命の危機から救いを求めてた野良子猫」を元に不自然な点を整理しています。※この動画のあらすじとしては、犬がOKな公園を2時間かけて見つけた場所で、野良子猫を発見し、命の危機に瀕していた子猫を保護するというものです。
▼目次
- 冒頭のK2氏の発言「カラスがいますねぇ」
- 永野田駅跡地は、正確には公園ではありません
- 犬が見つけたと言っているが、実際は素通り
- 衰弱した様子もなく元気そうな子猫
- ダメと言いながら犬を子猫に接触させる
- なぜ捨て猫や迷子猫と思わなかったのか?(野良猫と決めつけている)
- ベルに水を飲ませた?
- 子猫の兄弟らしき遺体はどうされたのか?
- 公園の管理事務所には本当に連絡をしたのか?
- 母猫が近くにいないかは確認しないのですか?
- 手に隠したクッキーを見せてベルを子猫に近寄らせる飼い主
- 子猫を見つけてから保護まで、時間経過に疑問
- 実録動画とも再現動画とも言っていない
- youtubeの動物虐待に関するポリシー(禁止事項)に該当するか?
冒頭のK2氏の発言「カラスがいますねぇ」
動画で投稿主の初めてしゃべった言葉が、「カラスがいますねぇ」(0:14)です。
2時間かけてやっと犬がOKな公園に来て、動画内で最初に発したのがこの言葉になるわけですが、違和感を持たれた方もいるのでは?独り言かもしれませんが、カラスがいることを意図的に印象付けたかった一言かもしれません。
永野田駅跡地は、正確には公園ではありません
動画内では、遊具や東屋が見られ、広々とした公園のようにも見えますが、実際の場所は公園ではありません。鹿児島県鹿屋市永野田町にかつて存在した永野田駅(廃駅)の跡地です。現在(平成9年度以降)は、フィットネスパース(自転車歩行者専用道路)の入口となっています。
「犬がOKな公園を発見!」と冒頭のテロップにありますが、立て看板などに犬がOKとかNGとかそういった案内もありません。なお、動画内で見られる看板(2:42)には、以下のような文言が書かれています。
『非行の芽・摘むより 出さない・地域の輪 鹿屋市防犯協会 鹿屋警察署』
犬が見つけたと言っているが、実際は素通り
動画のタイトルは、「ラブラドールレトリバーが見つけた野良子猫を保護しました」です。しかし、実際は犬が子猫の前を通り過ぎてしまった(0:29)ので、飼い主が戻らせて犬に見つけさせています。ですので、“見つけた”ではなく、“見つけさせた”が正確だと思います。
この辺りはいちゃもんみたいな話ですが、管理人のように穿った見方をすると、犬が見つけたわけじゃないよね?なんて思ってしまいます。
衰弱した様子もなく元気そうな子猫
さて、子猫が東屋の隙間から顔をのぞかせ、外に出てくるわけですが、何とも可愛らしい。痩せた様子もなく、近付いてみてもさほど汚れている様子も見受けられません。動きも緩慢というわけではなく元気ですね。
悪いことではありません。他の子猫や母猫の姿は見えないけど、この子猫は元気です。いいことです。
ダメと言いながら犬を子猫に接触させる
子猫が近寄ってくる(1:13)からかもしれませんが、犬にダメと言いながら接触させています。
この場面に違和感を感じます。
- 野良猫は病気の可能性も(と自分で言いつつ濃厚接触)
- 子猫に怪我をさせる危険性もあるので近づけすぎない配慮が必要。
- 母猫が近くにいたら、犬に飛び掛かってくる場合もあるので飼い主は犬の安全も確保すべき。
また、子猫に他の動物の臭いが付くと母猫が育児放棄をしてしまう場合もあります。野良子猫を見かけてもそっとしておくのが無難です。
なぜ捨て猫や迷子猫と思わなかったのか?(野良猫と決めつけている)
動画の投稿主は、最初から野良猫と決めつけています。
痩せた感じや弱っている様子もなく、薄汚れた子猫ってわけでもありません。加えて、長毛種っぽい子猫です。ラグドールが入ったミックス猫のようにも見えます。近くに人がいなければ、どこから来たんだろう?と思ってしまうような子猫です。迷子猫だと思わなくても捨て猫かな?と管理人なら思います。(近くに母猫がいなければなおさら)
でも、動画の投稿主は野良猫だと思っている。
なぜ、野良猫であると考えたかを推察すると、捨て猫であった場合、飼い主がいる可能性が出て来ます。また、逸走してしまった迷子猫である可能性もあります。飼い主がいる場合、所有権はもちろん飼い主にあるので、猫を拾った場合は念のため警察や保健所などに迷子猫の届出などが出されていないか確認する必要が出て来ます。しかし、動画を見る限りでは、飼い主の確認をされている様子はありません。拾得物届けも出されていないでしょう。
おそらく、捨て猫や迷子猫の可能性を残すとこうした確認や届出の必要性が出てきますので、動画投稿主にとっては不都合であったのかもしれません。
なお、動画の後半に「近所の見かねた人がダンボールとごはんをあげてたようで」とありますが、推量の表現を使われていることからこれが正確な情報かは判断がつきません。(近所の人と直接会話されたかはわからない)
ベルに水を飲ませた?
子猫が心配になり戻ってくる場面(3:03)
公園の水飲み場が映りますが、地面が濡れてますね。犬に水を飲ませたのでしょうか?2時間かけてようやく見つけた公園です。さぞかし犬も喉が渇いたことでしょう。水くらい飲ませてあげたいですよね。
水飲み場の奥にダンボールが置いてあり、そこに少量の食べ物が入っていたそうですが、犬に水を飲ませた時に気付きませんでしたか?ダンボールに。あたかも初めて見つけたように振舞っていますが、本当ですか?
もちろん、公園を利用されていた別の方が水飲み場を利用したため、地面が濡れていたのかもしれません。
子猫の兄弟らしき遺体はどうされたのか?
動画内では、「子猫の兄弟と思われる損壊された遺体がありました」のテロップ。(4:17)
本当に動物が好きな方なら子猫の保護もですが、亡骸を放置するようなことはしないと思います。亡骸をそのままにしておくのは忍びないと思いますので。
では、子猫の兄弟の亡骸はどうなされたのでしょうか?
特に言及されていない点と公園の管理事務所に連絡を入れたという事から推測するに、管理事務所の方に伝えて対処されたと考えるのが自然と思います。この場合、亡骸の対処は、管理事務所の方が埋葬や処分をするか自治体が回収されるかのいずれかだと思われますが、そういった処置をされた形跡はあるのでしょうか?
この確認のため、鹿屋市の市民生活部生活環境課に問い合わせたところ、「猫の死体回収をした記録はない」とのことでした。(問い合わせ先は、死体回収を行っている別部署に電話を転送されたので、部や課については別の担当部署が正しいです)
公園の管理事務所には本当に連絡をしたのか?
前述の通り、この場所は公園ではありません。「サンロード鹿屋 フィットネスパース」の名で知られ、こちらの場所である永野田駅跡地を起点とした全長14.7kmの区間(と天神町の一部1.39km)を市民の健康づくりのために整備された施設です。このため問い合わせ先は、鹿屋市の市民生活部-市民スポーツ課または、建設部-道路建設課、もしくは野良猫や捨て猫の相談であれば市民生活部-生活環境課になると思われます。(鹿屋市HPのフィットネスパースに関する市民からの問い合わせは、道路建設課が主に回答しています)
動画内では、「すぐに管理事務所に連絡、この子は僕が一旦保護する事に」(5:01)とあります。これが事実であれば、鹿屋市役所に連絡したと思われます。
では、そういった事実はあったのでしょうか?この確認のため、鹿屋市役所にお話を伺ったところ、2021年4月、5月に捨て猫の通報はないそうです。また、野良猫または捨て猫を保護されたという通報も受けた記録はないとのことでした。
※ただし、野良猫や捨て猫の保護に関する役所の対応は、動物愛護団体や動物愛護ボランティアへ相談するよう促すか、紹介するような対応を取られることが多いです。この場合、案内して終わりということもありますので、役所の記録や担当者の記憶にない可能性もあります。
さて、このことから少なくとも鹿屋市役所に連絡をされた可能性は低いと思われます。しかし、当該場所に管理組合や町内会など管理者や問い合わせ先が他にもある場合は、そちらに連絡した可能性も残されておりますので、動画投稿主が嘘偽りを語っているかの断定はできません。
母猫が近くにいないかは確認しないのですか?
「絶対ね、お母さん猫が近くにいるんだよ」(1:43)
子猫を見つけてそう言った投稿主です。保護して連れ帰る前に母猫を探してあげてもいいのでは?もちろん、動画は一部カットをされていますので、その間に母猫を探していた可能性も十分にあります。
子猫を保護してあげることは、いいことだと思います。でも、母猫がいた場合は、母猫からしたら連れ去りです。衰弱していたり、危険にさらされていなければ、慎重に考えて行動するのがいいのだと思います。動画投稿主は、他の動物に襲われる危険性を考慮して保護していますので、悪い事はありません。
手に隠したクッキーを見せてベルを子猫に近寄らせる飼い主
不自然な手の形(5:16)の後、犬が近寄ってきた所で手の平にクッキーらしき物が映る(5:25)。その後、手に近寄って来すぎたためか、手に持っていたものを下に落とすような動き。すると犬は猫より地面に口を向ける。
犬が猫を心配しているように見せるため、おやつで釣って演出されている様子が見られます。
子猫を見つけてから保護まで、時間経過に疑問
冒頭の子猫を見つけるシーンから一度その場を離れて戻ってくるまでの時間経過。それから、保護するまでの時間経過。
子猫を見つけた後、帰ります。と言って「このまま僕らはこの場を去りました」(2:25)とテロップにあります。しかし、戻ってきた後の映像でも東屋の影の差し方に大きな違いが見られません。さほど時間経過していないように見受けられます。
確かに、帰って戻ってくるまでの時間経過に言及なんてありません。でも、この公園を見つけるのに2時間かかったんですよね?それを聞いた後に動画を見ていれば、一度帰って引き返すまでにそれなりの時間が経っていると考える人の方が多いのでは?途中で戻ってきたとしても。
しかし、子猫を見つけてから保護するまで、さほど時間経過していない中で撮られていると思います。これの何が問題なのかと言えば、この場を一度は去ったけど心配だったからまた戻って様子を見にきた。ことが事実ではないかもしれないということ。加えて、子猫を保護して連れ帰ろうという行動を短い時間で判断して行ったということです。どうでしょう、子猫を保護して連れ帰ろうと思ったら、あなたならどんなことを考えますか?ちゃんと面倒を見れるのか、日中のお世話をどうするか、仕事はお休みできるか、誰かに頼めるか、犬と一緒に室内で飼えるか、寝床やご飯はどうしよう・・・保護するとなったら様々なことを考えなくてはいけません。もちろん、すぐに判断できることは立派です。
時間経過に関しては他にもあります。保護した後、自宅と思われる室内の映像では、子猫の体(お腹周りと手足)の汚れ具合が変わります。撮影環境の違いと言えばそれまでですが、毛のぼさぼさ感も異なるように見えてしまいます。釈然としませんがどうにも時系列まで首をかしげたくなるような内容です。
実録動画とも再現動画とも言っていない
以上の事から実録というと不自然な点が多く、再現動画と言われれば不自然な点も納得がいき、しっくりくる動画です。
当然ながら動画投稿主は、この動画がドキュメンタリーであるのか、再現動画であるのかの言及はされていません。なので、再現動画だったということも十分ありえるのだと思います。視聴者側からするとドキュメンタリーだと思って見ている方が多いと思います。騙された気分になるのかもしれませんが、この動画に関してはかなり動画をつぎはぎしている感じがありますので、見る側も作られた動画かもしれないくらいの気持ちで見た方がいいのだと思います。(精神衛生上)
※別の動画やメディアの取材などで実録か再現動画であるかの説明をされているかもしれませんが、少なくともこの動画を見る限りではわかりませんでした。
youtubeの動物虐待に関するポリシー(禁止事項)に該当するか?
もし、別の場所で拾ってきた野良子猫を演出のためその場に放して撮影をしていた場合は、youtubeの動物虐待に関するポリシー(禁止事項)に該当する可能性があります。これは、子猫の兄弟と思しき損壊した死骸があったこと、子猫が危険にさらされていたということを動画投稿主本人も語っていますので、わざと危険な状況下に置いたと考えられるからです。
また、動物愛護法で言うところ動物虐待に該当するかですが、該当はしないと思われます。(管理人の見解)なぜなら、仮に子猫を広場で放して動画撮影をしていたとしても、投稿主が近くにいて様子を見ていれば、動物虐待や遺棄には該当しないからです。一時的に広場に放して遊ばせてあげていたと言われればそれまでです。仮に、他の動物に襲われる可能性のある場所に放していたとしても、投稿主が近くにいて見守っているとすれば、虐待を受けたと判断するのは難しいと思います。(動物に過大なストレスがかかっていたとしても)
しかしながら、youtubeの動物虐待に関するポリシー(禁止事項)である「わざと危険な状況下に置いた」と考えられる可能性はあり得ると思います。
以上になります。ベルとスノーの動画は、今でも多くの方が見られている人気のあるコンテンツだと思います。視聴者の中には、癒しや安らぎを感じ楽しまれている方も多いと思いますので、外野がとやかく言うことではないのだと思います。しかし、意図的に作られた感動場面で感情を煽られているように感じられた方は、そっと閉じて関わらないのが良さそうです。(管理人)