保護犬カフェ・保護猫カフェに雑種がいない理由

 一般家庭による飼育放棄や繁殖業者の繁殖引退、捨て犬、捨て猫、野良犬や野良猫など様々な背景から保護された犬猫がいます。そして、身勝手な人の行動で行き場を失った犬猫達を譲渡へつなげる活動に「保護犬・保護猫カフェ」があります。

保護された犬猫達はカフェで新しい飼い主を待っていたり、譲渡会などを経て里親の元へ迎えられます。

厳しい状況に置かれた犬猫達が新しい家族の元で暮らしていける健全な活動だと思いますが、一部の保護犬カフェ、保護猫カフェでは雑種は見かけないこともあります。もちろんその時に保護された犬猫がたまたま血統種ばかりであるかもしれませんし、ブリーダーの崩壊現場からまとめて保護されたため雑種はいなかったのかもしれません。雑種がいないからといって不思議なことではないのかもしれませんが、様々な理由で保護される犬猫が血統種に偏ってしまっているのは疑問に感じられる方も少なくないと思います。

本記事では全国複数店舗を持つ保護犬猫カフェについて、募集中の保護犬猫の犬種と猫種を調べた上で、雑種がいない保護犬猫カフェに対して「なぜ雑種がいないのか?」を問い合わせ、まとめました。

▼目次

  1. 複数店舗を展開する保護犬猫カフェについて
  2. ANELLA CAFE(アネラカフェ)募集中の犬種と猫種まとめ
  3. HOGOKEN CAFE(保護犬カフェ)募集中の犬種と猫種まとめ
  4. 「雑種の犬猫もいますか?」の問い合わせ結果

複数店舗を展開する保護犬猫カフェについて

保護犬・保護猫がいるカフェは、動物愛護団体やボランティアなどのコミュニティ主催で全国各地に点在はするものの、チェーン展開のように全国複数店舗を持つ保護犬・保護猫カフェというのは多くはありません。
しかしながら少なからず存在しており、よく知られるお店としては、

保護犬・保護猫カフェ
  1. ANELLA CAFE(アネラカフェ)
  2. HOGOKEN CAFE(保護犬カフェ)
  3. ネコリパブリック

などがあげられます。
中でも幅広く店舗展開されているのがアネラカフェで公式HPの店舗リストには、25店舗を運営されているようです。(2025年9月7日調べ)

また、HOGOKEN CAFEが11店舗、ネコリパブリックが8店舗(直営店4・フレンドリーシップ店3・共同運営店1)と複数のお店を運営されています。

カフェを運営する都合上、保護犬・保護猫の使役が条件であるため、保護の必要な犬猫がいなければ立ち行かなくなります。一般的な猫カフェなどと異なるのは動物の仕入れに制限があり、店舗運営上の課題と言えるでしょう。

以下では、アネラカフェ、HOGOKEN CAFEで募集中※の犬種や猫種、性別などを集計しました。

※公式ホームページ掲載の犬猫について確認した結果を集計しています。

ANELLA CAFE(アネラカフェ)募集中の犬種と猫種まとめ

アネラカフェの公式ホームページに掲載中(調査日:8月29日)の保護犬猫について、以下の分類で集計し、まとめました。

集計方法
  1. オスメスの割合
  2. 成犬と子犬(成猫と子猫)の割合
  3. 犬種と猫種別頭数

※調査日は、8月29日
※掲載中の保護犬は、109頭
※掲載中の保護猫は、52頭

保護犬のオスメス割合

性別 頭数
オス 36
メス 73

成犬と子犬の割合

成犬/子犬 頭数
成犬 97
子犬 12

犬種別頭数

犬種 頭数 割合
トイプードル 27 24.8%
ポメラニアン 13 11.9%
ミックス 10 9.2%
ロングコートチワワ 6 5.5%
フレンチブルドッグ 5 4.6%
イタリアングレイハウンド 4 3.7%
ペキニーズ 4 3.7%
ボストンテリア 4 3.7%
シーズー 3 2.8%
ミニチュアダックスフンド 3 2.8%
柴犬 3 2.8%
キャバリアキングチャールズスパニエル 2 1.8%
ゴールデンレトリバー 2 1.8%
スムースチワワ 2 1.8%
パグ 2 1.8%
ビーグル 2 1.8%
ブリュッセル・グリフォン 2 1.8%
マルチーズ 2 1.8%
ミニチュアピンシャー 2 1.8%
表記無し 2 1.8%
カニヘンダックス 1 0.9%
グレートピレニーズ 1 0.9%
シベリアンハスキー 1 0.9%
スタンダードプードル 1 0.9%
チャウチャウ 1 0.9%
チワワ 1 0.9%
パピヨン 1 0.9%
ミニチュア・シュナウザー 1 0.9%
ラブラドールレトリバー 1 0.9%

※表記無しは、ホームページ掲載上は「カテゴリなし」となっていました。設定漏れの可能性もあります。(外見からは血統種もしくはミックスだと見受けられました)

保護猫のオスメス割合

性別 頭数
オス 5
メス 47

成猫と子猫の割合

成猫/子猫 頭数
成猫 52
子猫 0

猫種別頭数

猫種 頭数 割合
スコティッシュフォールド 11 21.2%
サイベリアン 9 17.3%
ベンガル 8 15.4%
マンチカン 5 9.6%
ミヌエット 4 7.7%
ブリティッシュショートヘア 3 5.8%
ラガマフィン 3 5.8%
ミックス 2 3.8%
ラグドール 2 3.8%
アメリカンカール 1 1.9%
アメリカンショートヘア 1 1.9%
シャルトリュー 1 1.9%
ペルシャ 1 1.9%
日本猫 1 1.9%

HOGOKEN CAFE(保護犬カフェ)募集中の犬種と猫種まとめ

HOGOKEN CAFEの公式ホームページに掲載中(調査日:8月30日)の保護犬猫について、以下の分類で集計し、まとめました。

集計方法
  1. オスメスの割合
  2. 成犬と子犬(成猫と子猫)の割合
  3. 犬種と猫種別頭数

※調査日は、8月30日
※掲載中の保護犬は、16頭
※掲載中の保護猫は、6頭

保護犬のオスメス割合

性別 頭数
オス 6
メス 10

成犬と子犬の割合

成犬/子犬 頭数
成犬 16
子犬 0

※掲載されている表記は生年月日ですが、一番若い生年が2020年でした。このため全て成犬としました。

犬種別頭数

犬種 頭数 割合
トイプードル 6 37.5%
ポメラニアン 2 12.5%
ミニチュアダックスフンド 2 12.5%
ロングコートチワワ 2 12.5%
パピヨン 1 6.3%
ビジョンフリーゼ 1 6.3%
マルチーズ 1 6.3%
ミックス 1 6.3%

保護猫のオスメス割合

性別 頭数
オス 2
メス 4

成猫と子猫の割合

成猫/子猫 頭数
成猫 6
子猫 0

※掲載されている表記は生年月日ですが、一番若い生年が2020年でした。このため全て成猫としました。

猫種別頭数

猫種 頭数 割合
スコティッシュフォールド 2 40.0%
アメリカンショートヘア 1 20.0%
ブリティッシュショートヘア 1 20.0%
ベンガル 1 20.0%
ラガマフィン 1 20.0%

「雑種の犬猫もいますか?」の問い合わせ結果

上記の調査結果では、募集中の犬猫達の中に雑種の犬猫はほぼおりません。この結果に違和感を覚えてしまいます。
今時は雑種があまりいないという考えもあるかもしれませんが、例えば一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査で純血種、雑種の割合を見てみると以下の通りです。

純血種、雑種の割合
純血種、雑種の割合(ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査より引用)

一般社団法人ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査
https://petfood.or.jp/data-chart/

特に猫の場合は、雑種もしくはわからないの割合が80%程度あります。保護される対象に一般家庭の飼育放棄や飼育困難のケースも含まれると思います(アネラカフェ、HOGOKEN CAFEの保護経緯の説明では含まれている)。
加えて、野良猫であればほとんどが雑種です。野良猫が保護されるケースもあるでしょうし、保健所に収容されている雑種の犬猫というのも少なくないと思います。

では、なぜ募集中の犬猫達は血統種ばかりなのか?疑問に思うのは自然なことで穿った見方をされる方もおられると思います。

可能であれば、血統種ばかりを扱っている保護犬猫カフェの運営元に「なぜ、血統種ばかりなんですか?」とストレートに聞いてみたいところですが、おそらく回答はないと思いましたので「雑種の犬猫もいますか?」と問い合わせしてみました。

なお、問い合わせした団体名は伏せさせていただきますが、Aカフェ、Kカフェ、Nカフェの三つに問い合わせしてみました。回答の有無は、以下の通りです。

Aカフェ 回答無し
Kカフェ 回答有り
Nカフェ 回答無し

Aカフェ、Nカフェは未回答ですが、後日回答があった場合は追記いたします。(問い合わせから二週間程経っていますので未回答扱いとしています)

Kカフェは、回答をいただいており要約すると以下のような回答です。

繁殖業者からの保護が多いので雑種の犬猫は多くありませんが、保健所からの保護も行っているため雑種の犬猫はその時々で在籍することもあります。

とのことでした。
この回答を鵜呑みにすれば、野良猫を保護することは基本的にはなく、TNR(※)の現場から引き取るようなケースもないと考えられます。野犬も同様です。
また、一般家庭の飼育放棄も猫であれば雑種は少なからずいると思われますが、こちらも保護するケースは多くないのだと思われます。

※TNRは「トラップ(捕獲)、ニューター(不妊・去勢手術)、リターン(元に戻す)」の頭文字を取った、野良猫の繁殖を抑え、数を減らす活動です。
※TNRを行う場合、子猫は月齢が若すぎると不妊去勢手術ができません。野放しにすると繁殖し数が減らずに増えてしまうことがあるため、そのまま保護して里親を探すことがあります。
※草の根活動的なことも行っている団体は、TNR活動にも参加されリターン困難な子や不妊去勢手術ができなかった子を保護して里親募集するといったことをされています。

繁殖業者からの保護がメインであれば血統種が多いのは納得ですが、繁殖業者をターゲットにした保護活動という点で腑に落ちないと感じる方もおられるでしょう。


以上になります。
保護を必要とする犬猫達の為の活動であればどんな理由でも構わず、ただ目の前にいる犬猫達を助ければいいのかもしれません。
しかし、動物の福祉の観点で活動を考えると保護犬、保護猫といった動物達をなくす活動も必要になってきます。保護犬猫の居場所を作ること、里親を探すことは保護犬・保護猫カフェで行われています。もしくは団体によっては保護シェルターを運営されているところもあるでしょう。
また、保護犬猫の現状を知ってもらうことも大切です。里親になっていただく方を増やしたり、チャリティーや企業の協力も必要なこともあることを考えれば広報的な活動も必要でしょう。
加えて、猫に限っては日本は野良猫が多すぎると思います。昨今はTNRや地域猫活動が広まっていますが、元より飼い主のいない犬猫を増やさない・作らない活動もあります。
こうした幅広い活動の一つとして「保護犬・保護猫カフェ」を運営されている団体もあります。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

対策グッズのほとんどは、実際に買って・試した結果をまとめたものです。
当サイトの情報が皆様の野良猫対策の助けになれば幸いです。
詳しいプロフィールは、こちら

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