令和元年6月12日に、改正動物愛護法が参議院本会議で可決されました。
報道の内容は、
- 犬猫へのマイクロチップの装着義務化(販売業者)
- 生後56日以下の犬、猫の販売を禁止
- 動物虐待罪を罰則強化
といったものでした。
この投稿を書いている段階では、改正動物愛護法の原文を読むことができていませんでしたので、参議院のホームページで議案情報を確認してみました。
参議院ホームページ
議案情報第198回国会(常会)動物の愛護及び管理に関する法律等の一部を改正する法律案
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/gian/198/meisai/m198090198014.htm
上記のページ下部に議案等のファイルがあります。ここから成立法律の詳細を目にすることができます。
こちらを見ていて気付いたこと
所有者不明の犬猫の引取り拒否が強化されている
改正動物愛護法の条文に付け加えられる条項は、以下の内容です。(改正前の内容)
第四章 都道府県等の措置等(犬及び猫の引取り)第三十五条 3 第一項本文及び前項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。
この内容に後段として次のように加えられるようです。(一部抜粋)
『周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合』(その引取りを拒否することができる。)
という但し書きのようなものが加えられ、生活環境が損なわれる事態でなければ “引取りを拒否” できる。ことになりました。
要は、ただ単に野良猫を保健所に持ち寄っても、保健所は引取りを拒否できるように明確になったことを示しています。
生活環境が損なわれる事態とは?
では、保健所で野良猫を引き取る場合は、周辺の生活環境が損なわれる事態が生じているということになりますが、これはどのように証明すべきでしょうか?
相当な数の住民から生活被害の声が上がる、町内会等自治会の相違として持ち込む、事前に保健所に相談をしていたが全く解決しない、生活環境がより悪化してしまっている。
など、生活環境が損なわれている事実を明らかにしないといけなくなったと考えられます。
加えて、「周辺の」生活環境とありますので、個人が損なわれていると感じているだけでは難しいでしょう。
今回の改正動物愛護法にさりげなく追加されていますが、かなり影響の大きい内容になると思われます。
元々、野良猫の引取り拒否は検討されていました
元々、動物愛護管理に関する検討会(環境省の審議会)では、行政機関の果たすべき役割として、所有者の判明しない犬猫の引き取り義務の廃止を検討している経緯がありました。
駆除目的で持ち込まれたり、飼い主が拾得を装って持ち込む場合も少なからずあり、その判断が保健所では難しかったことからの議論でした。
今回の改正で考えられる悪影響
今回の引取り拒否の悪影響として考えられるのは、負傷動物を装った持ち込み。故意に怪我をさせて持ち込むというもの。
今後、保健所での健常な犬猫の引取り数が減少し、負傷した犬猫の引取りが増加した場合、今回の改正の悪影響が出てしまっていると考える見方も出てきそうです。
※動物虐待は、犯罪です。今回の改正で罰則強化も行われています。
以上になります。引取り拒否強化よりも譲渡強化を行うべきだと思うのですが、保健所の譲渡業務に関しては努力義務のまま変更なしのようですね。