猫が交通事故に遭ってしまうことって、見たり聞いたりすることが少なからずあります。悲しいことですが外で生活する猫の数はそれなりに多く、車の往来が多くなった現代社会ではその犠牲になる猫の数も多いんだと思います。
猫の交通事故の件数や遭いやすい理由、もし出くわしてしまった時の対応方法などをまとめました。
▼目次
- 猫の交通事故、路上死件数(自治体資料)
- 猫が交通事故に遭いやすい理由
- 交通事故で怪我している猫を見つけた時
- 交通事故で亡くなっている猫を見つけた時
- 猫が交通事故に遭わないためにどうしたらいいか
放し飼い・野良猫・地域猫、外で生活する猫の数が多い
車が急に迫ると驚いて身体が硬直してしまう
夜間は車のライトで目が眩んでしまう
子猫は好奇心旺盛で事故に遭いやすい
「猫(動物)が飛び出してきたら迷わず轢け」
動物愛護法における負傷動物の通報措置
猫の交通事故、路上死件数(自治体資料)
猫が交通事故に遭いやすいかは、自治体が公表している資料から客観的に確認するのがいいでしょう。
大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン
大分県大分市「大分市猫の適正飼養・管理ガイドライン」(PDF)
平成25年度で、2,631件 発生しています。大分市では、1日に7匹以上が交通事故などで亡くなっていることになり、とても多く発生していることが分かります。
東京都江戸川区「都会での飼い方」
東京都江戸川区「都会での飼い方~室内飼育のすすめ~」(PDF)
該当年は不明ですが、東京都内で年間24,000匹もの猫が交通事故で亡くなっているとされています。
この他、栃木県の資料「それでも自由に外に出しますか?」※1、神奈川県の資料「神奈川県飼い主のいない猫対策ガイドライン」の3ページ目※2、路上死の件数も参考になります。殺処分の数と比較してもいかに交通事故による犠牲が多いというのがわかると思います。
※1 栃木県「それでも自由に外に出しますか?」-> https://www.pref.tochigi.lg.jp/e53/system/desaki/desaki/documents/2020tadasiineko.pdf
※2 神奈川県「神奈川県飼い主のいない猫対策ガイドライン」-> https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/1594/awc/assets/pdf/ownerless-cat/nekogaidorainn.pdf
猫が交通事故に遭いやすい理由
放し飼い・野良猫・地域猫、外で生活する猫の数が多い
外で生活する猫の数が多ければ、必然的に交通事故に遭う確率が高まります。
いまだに放し飼いをされる飼い主もいますし、捨て猫や野良猫、地域猫活動をされている地域でも外で生活する猫がいるわけです。一方、犬の交通事故は多くありません。野良犬はほとんどいませんし、いても通報があれば保健所で捕獲します。また、飼い主は放し飼いはできません。リードやハーネスで係留が必要です。
飼い方や扱われ方に違いがあり、猫が外での生活を許容されている一面が外で生活する猫の数の多さにつながっていると思います。
車が急に迫ると驚いて身体が硬直してしまう
管理人の経験上では、子猫に多いように思います。例えば、猫の目の前に急に、ばっと飛び出した時に驚いて身体が硬直しているかのように動かない猫がたまにいます。車でなくても人が急に飛び出してきた場合でも同じような状態です。
猫は慎重な性格で警戒心が強いと言われますが、外で生活をする猫は身の危険に備えて常に周囲を警戒するため、この傾向がより強いです。このため些細なことで驚くことも多く、パニックになる猫もいます。ヘビに睨まれたカエルではありませんが、急な状況の変化に身体を追い付いていかないことが考えられます。
動物の中にはヤギのように、驚いた時に身体が硬直する習性を持つ動物もいます(肉食獣に群れが襲われた際に他の仲間を逃がす為に一頭がおとりになるという種の保全の習性)。猫にはこうした習性はありませんが、中には驚いた時にパタリと倒れ込むような猫もいるようです。これは先天的な遺伝子異常でミオトニー症候群と呼ばれているそうですが、面白がって動画にしている飼い主もいます。
夜間は車のライトで目が眩んでしまう
猫は夜行性で、夜目がきく。というのはなんとなく知っている人が多いと思います。これは、夜でも視界を保つため僅かな光でも取り込めるように目が発達しているというもの。光を取り込むためには反射をしてはいけないので、だから瞳孔は黒い。夜目がきく動物は黒目であることが多いですね。
そんな夜目がきく猫に真夜中、車のライトを急に浴びせられたら眩しすぎます。目が眩んだような状態になってしまうというものです。
目が眩んだ猫は、動きが止まるか前ダッシュか暗がりに走り込む
目が眩んでしまった猫がどういった行動を取るか・・・というより取れる行動は限られると思います。思考停止してしまい動きが止まってしまうか、前に走り抜けるか、暗がりに逃げ込むか。
後ずさったり、反転して走り去るのもできそうなものですが、目が眩み驚いている状況下では冷静な判断は難しいでしょう。また、動物の本能的に、捕食者に出くわすなどの危険に直面した際、相手に背を見せることは死につながります。背を向けて走って逃げるにしても安全な距離感を保ってからです。それまでは相手の目を見て隙を見せないように膠着状態を作ります。
こうしたことを踏まえると前ダッシュか暗がりに走りこむくらいになるわけですが、中には車に吸い寄せられるように当たりに来る動物もいたりします。これは、車の下の暗がりに逃げ込んでいると言われたりします。
子猫は好奇心旺盛で事故に遭いやすい
子猫の場合は、車の危険性を十分に理解せず、道路の渡り方も慣れていない。それに加えて行動範囲が広がってくる時期でもあるため事故に遭いやすいです。
「猫(動物)が飛び出してきたら迷わず轢け」
教習所でこんなことを教わった。なんて話も聞きます。もちろん教本に書かれた話ではなく、時と場合によっては急ブレーキや急ハンドルをせずにそのまま進め。という話だと思います。
いやこれ、動物愛護を考えるとどうなんだ?とも思いますが、道路には後続車もいるし対向車もいます。無謀な運転よりも安全運転が大事だという話をしているんだと思います。また、教官が根拠もなく勝手なことを言っているわけではないのは、道路交通法を確認するといいのでしょう。
(急ブレーキの禁止)車両等の運転者は、危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない。
道路交通法第24条では「危険を防止するためやむを得ない場合を除き」というところがミソですが、急ブレーキは、危険運転とみなされる場合が多いと思います。(事故になった場合、急ブレーキした側と車間距離保持不足の相手側との間で過失の割合が決まるでしょう。動物が居たと証明できなければ、危険運転と取られ兼ねません)
交通事故で怪我している猫を見つけた時
- 安全な場所に移動してあげる。
- 保健所・役所・動物愛護センターなどに連絡する。
- 私有地の場合は、所有者に連絡。
- もしくは、自分で動物病院に連れていく。
動物愛護法における負傷動物の通報措置
なお、動物愛護法にも負傷動物等の発見者の通報措置が規定されております。
動物の愛護及び管理に関する法律
第三十六条 道路、公園、広場その他の公共の場所において、疾病にかかり、若しくは負傷した犬、猫等の動物又は犬、猫等の動物の死体を発見した者は、速やかに、その所有者が判明しているときは所有者に、その所有者が判明しないときは都道府県知事等に通報するように努めなければならない。
出展元:環境省(e-GOV 法令検索)動物の愛護及び管理に関する法律
努力義務にはなりますが、動物愛護の観点からも負傷動物等の発見者の通報措置が明記されております。
交通事故で亡くなっている猫を見つけた時
二次事故防止の為、できれば道路の保全を。また、亡骸をそのままにしておくと可哀想と思われた方は救いの手を。
- 亡骸を路肩などに移動。(危険がある場合や素手の作業は控える)
- 道路の管轄先への連絡。
- 事故になり兼ねない場合は、110番通報する。
猫が交通事故に遭わないためにどうしたらいいか
難しい話ではなく、外で生活する猫がいなくなればいいわけです。野良猫や地域猫に限って言えば、外で生活したくてしているわけではありません。そのためには捨て猫をなくす必要があるし、飼い主も室内飼いをするべきなんだと思います。捨て猫に関しては、動物の遺棄に関する罰則規定の強化が改正動物愛護法であったところですし、マイクロチップの装着義務化もありました。こちらは逸走猫の飼い主への返還に役立ってくるものと思います。
また、猫に関しては、自治体への登録制度は設けられておりませんが、犬のように登録制にすることでより捨て猫の抑止に繋がると思われます。
地域猫に関しては昨今、自治体が推進して地域に導入する動きが見られますので、減るどころか増えてくるのが実際のところだと思います。外で生活させるのが地域猫なのでその行動を抑制するのは難しいと思いますが、車通りの少ない地域に誘導(餌やり場所を配慮)することや譲渡に力を入れることで減らすことはできるかもしれません。むろん、一代限りの生を全うさせてあげるのが地域猫の主旨でもあると思いますので、地域猫活動を行っている地域では年を重ねるごとに地域猫の数も減り、交通事故に遭う猫の数も減るものと願っています。