月極駐車場って、野良猫が居着く場合が結構ありますよね。
駐車場の近くが餌場になっていたり、駐車場で餌やりをやられてしまったり。そのような状況であれば、居着くのも当然。
車のボンネットは、良い日向ぼっこ、休憩場所。運転後なら暖もとれる。車の下は、雨よけに。暗くて狭い所も好みの場所。高低差のある場所、外壁や車の上も好みの場所です。
人の出入りや車の出入りもそれなりにあるはずなのですが、それでも居着く利点があるんですね。
駐車場に関する対策については、マンションの駐車場の野良猫に困った場合の別記事でまとめました。
以下の辺りの内容は、上記記事をご参照いただければと思います。
- なぜか自分の車のボンネットばかりに乗られてしまう
- ボンネットの上に乗らせないようにしたい場合
- 居着いて居着いてしょうがない場合
- 糞が落ちているのがなぜかうちの駐車スペースの付近ばかり
- 糞をされて困る。なんとかしたい場合
- 置き餌、餌やりをされてしまう場合の対策
- 【補足】野良猫の餌付けに関する法的な観点
本記事では、月極駐車場特有のケースにフォーカスして記載いたします。
▼目次
駐車場を借りる契約は、民法上の賃貸借契約
先に法律の観点からどのような扱いになるのか触れておきます。
(賃貸借)民法第601条賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
駐車場なので、「駐車場を一ヵ月〇〇円で借りる」という契約を結んでいる。ということになります。ですので、その借りた場所は、駐車場として利用できる必要があるということになりますね。
借主の義務
こちらは契約書を交わしていると思いますので、大筋はその内容通りでしょう。そして、借主には善管注意義務を負うような条文を設けられていないでしょうか?
この善管注意義務って言葉がよくわかりづらいのですが、簡単に言えば、
「普通に使ってね」
ということです。
車を駐車する場所として使う(他の目的では利用しないでね)というのもそうですし、余計なものを置いちゃダメだよ。区画内が汚れたら清掃しましょうね。ということです。
例えば、野良猫の糞が自分の駐車スペースに落ちていた場合は、自分で清掃を行う。ということです。
貸主の義務
駐車場の貸主は、駐車場として貸していますので、普通に駐車ができる場所として管理する必要があります。
車が止められる状態でないといけないので、路面が陥没するなど破損していたら修繕しなければいけませんし、車を止める時に邪魔になるようなゴミや物が置かれていれば、対処しなければいけません。
もし、車を止められない、車を止める妨げになるものを放置し、事故が起きたとしたら・・・。
その責任は、貸主(または、管理を委託している管理会社)が負うことになるのです。以下、民法717条ご参考。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)民法第717条土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。
野良猫の糞の掃除は貸主か借主か
自分の駐車スペースは、基本的にはご自分で掃除する必要があります。共用スペースの清掃は、貸主が掃除をする必要があります。
基本的な考えは、これでいいかと思いますが、共用スペースの野良猫の糞の掃除を都度してくれるのか?というと微妙なところです。
野良猫の糞が共用スペースに落ちていたからといって、車を止められない程のことではない。と判断されたら通常清掃のついでに糞を片付けてくれるかもしれませんが、落ちてる都度、頻繁にはしてくれない場合があるかもしれません。ここは、貸主や管理会社の判断によるところが大きいと思います。(管理費や共益費を駐車料の他に別途支払うような契約なら都度掃除をしてくれるかもしれませんが、駐車場の契約に管理費や共益費を別途取るようなところは少ないと思います。)
ただ、清掃を都度してくれないからといって、糞が落ちている連絡を何もしないと駐車場の実情を分かってもらえませんので、連絡をこまめに入れるだけでも意味はあると思います。野良猫が原因で、利用者が減ってしまうのは、貸主にとっても都合の良いことではありませんから。連絡をしていくことで何らかの対応を取ってもらえるかもしれません。
月極駐車場の清掃の頻度
貸主(大家)が自らやっているか、清掃業者に委託しているかで清掃の頻度は変わると思いますが、多くて週1回。少ない場合は月1回。例えば清掃業者に委託する場合、お金がかかります。駐車スペース10台程度の広さであれば、1回の清掃で3,000~5,000円程度が相場です。費用面を考えると月に何度もできないのが実情だと思われます。
野良猫を何とかして欲しい。貸主に対策をお願いできるか
野良猫に困っている場合、貸主に対策をお願いすることはもちろんできるでしょう。後はどこまで対応してくださるか。ですよね。
相談をする際に、
「糞やボンネットに乗られて困っている」
と伝えるより、
「野良猫が駐車場内にうろついていて、車を止められない、事故になる危険がある」
と伝えた方が動いてくれるかもしれません。
貸主には、駐車場を車が止められる状態に保つ義務がありますので、車が止められない、止めにくい、事故になる危険もある。ということを訴えていく方が効果的だと思います。
また、話をする前に動画や写真で野良猫がいる様子や糞の被害などを撮っておくと話が伝わりやすいと思います。
それから、野良猫が駐車場に居着いてしまっている場合、困っているのは一人ではないと思います。他の利用者と協力して、貸主や管理会社に対策をお願いすることで、動いてくれやすい状況を作れると思います。
貸主が何もしてくれないなら・・・
現実問題、利用者の多くから声が上がらない限りはほとんど貸主が対処してくれることって少ないと思います。そうなると自分で対処するしかありませんが、何かするにしても貸主の許可が必要ですし、できるのは自分の駐車スペースだけです。自衛をするか自治体や保健所に相談をするか、さほどいい手がないのが実態ですが、お住まいの地域によっては野良猫を保護して保健所に持ち込むということもできなくはありません。事前に保健所へ確認が必要です。行動に移す場合、捕獲器を設置して保護するなら貸主の設置の許可を得ておきましょう。また、保健所では野良猫の保護は行いませんが、怪我をしていたら別です。保健所は保護する義務があるので怪我をしていることを伝えて保護をしてもらってください。(負傷動物の発見に関しては、動物愛護法の第三十六条をご確認ください)
以上になります。糞が落ちているのって困りますよね。帰宅する時間が遅い方は、足元が見えず、思わず踏んでしまうことがあると思います。仕事帰りに踏んでしまうなんて最悪な気分になりますから。少しでも改善したいですよね。(管理人)