猫は多産で放っておくとあっという間に数が増えてしまうと言われますが、野良猫に関して言えば爆発的に増えて社会問題になる程の事例はほとんどないと思います。
管理人の住む地域でも野良猫の数は多く、不妊去勢手術もほぼされていない野良猫達です。爆発的に増えてもおかしくありませんがそこまでの増加はしていません。
出産する子猫の数こそ多いのですが、成猫まで成長できる子の数が少なく、野良猫自体の寿命の短さも相まって異常な増え方をしていない状況になります。
野良子猫のよく言われている生存率や管理人の近所の子猫の生存率、死因などをまとめました。
▼目次
野良子猫の生存率は、よくて20%
定説のように言われる生存率が
10%~20%
猫は一度の出産で4、5匹程(多ければ7、8匹)子猫を生みますが、その中で成猫まで生きられるのがよくて1匹ということになります。
しかし、野良猫の生活環境の違いはその土地により異なります。雪国では外で生活する子猫が越冬するのは難しいでしょうし、餌が十分になければ育てることも難しいです。天敵の多い少ないも生存率に大きく影響を及ぼすでしょう。
一概には言えるものではありませんが、おおよその目安として「10%~20%」と言われているものになります。
※野良子猫の生存率は、40~50%と考えている方もおられるようですが、そこまで高いと野良猫がものすごく増えてきます。詳しくは以下に記載した、10匹の野良猫の10年の増え方を検証したものをご参考ください。
近所の野良子猫の生存率
うちの近所には猫屋敷がありますが、メス猫は少なくても3匹は棲みついています。そのうちよく妊娠しているメス猫が2匹。3シーズン観察していますので管理人が把握している範疇で生存率をまとめました。
産まれた数 | 成猫になれた数 | 生存率 | |
---|---|---|---|
2017年 | 5匹 | 1匹 | 20% |
2018年 | 6匹 | 2匹 | 33% |
2019年 | 7匹 | 2匹 | 28% |
管理人が子猫を目視で確認できた数が上記の数字になります。
これらは産まれたてを確認できたわけではなく、生後1ヵ月以上経った後に発見したものがほとんどです。出産場所は人目につかない場所を選んでおり、巧妙に子猫を隠して母猫が育てますので簡単には目に付くところに現れません。
おそらくですが、実際産まれた数はもっと多く、生後1ヵ月以内で亡くなっている子猫も多数いると考えています。姿は見えないながら子猫の声はよく聞こえたりしますし、それも複数の鳴き声ということもよくあります。またその声が一晩経つとぱったり聞こえなくなるようなこともありました。
よく言われている野良仔猫の生存率「10%~20%」より超えてはいますが、管理人が把握できなかった子猫の数がいるものと考えると、おそらく10%~20%の範囲に入ってくるものだと思われます。
10匹の野良猫がいたら10年でどれくらい増えるかシミュレーション
仮に、不妊去勢をしておらず、地域に10匹の野良猫がいたとして、10年でどれくらい増えるかを生存率を変えて見てみます。
条件
- 元からいる猫の数は、10匹。オスメス5匹ずつ※成猫。出産可能
- 一年の出産回数は、1回
- 一度に出産する数は、4匹(10匹5組のペア、初年度であれば20匹出産)
- 産まれた猫の性別は、オスメス半々
- 出産は、満1歳から可能とする(1年目に生まれた子は3年目から出産可)
- 生存率は、20%刻みで検証
- 期間は、10年とする
- 寿命は、5年とする(5年目から数が減る)
10匹の野良猫の10年後の推定数
生存率 | 20% | 40% | 60% | 80% | 100% |
---|---|---|---|---|---|
1年目 | 14匹 | 18匹 | 22匹 | 26匹 | 30匹 |
2年目 | 18匹 | 26匹 | 34匹 | 42匹 | 50匹 |
3年目 | 24匹 | 40匹 | 60匹 | 84匹 | 110匹 |
4年目 | 21匹 | 51匹 | 91匹 | 141匹 | 200匹 |
5年目 | 22匹 | 68匹 | 140匹 | 243匹 | 380匹 | 6年目 | 25匹 | 94匹 | 223匹 | 426匹 | 720匹 | 7年目 | 27匹 | 127匹 | 350匹 | 747匹 | 1,380匹 | 8年目 | 27匹 | 170匹 | 544匹 | 1,295匹 | 2,600匹 | 9年目 | 30匹 | 231匹 | 854匹 | 2,265匹 | 4,960匹 | 10年目 | 32匹 | 313匹 | 1,340匹 | 3,950匹 | 9,400匹 |
上記のようなシミュレーション結果となりました。
お住まいの地域で、不妊去勢をせずに爆発的に増えていない(ある一定数が長年棲みついている)場合、子猫の生存率は20%前後にとどまっている可能性があります。
もちろん、仮の結果です。オス猫は移動する場合もありますし、地域外からの流入もあります。加えて、毎年出産しないかもしれませんし、逆に年2回出産することもあるかもしれません。また、愛護家が人知れず不妊去勢手術を行うこともあるでしょう。一概には言えないのも確かですが、野良子猫の生存率はそれほど高くないと言える結果だと思います。
野良子猫の死因
- 病死
- 育児放棄による衰弱死
- 雨や寒さで低体温になり衰弱死
- カラスやヘビ、タヌキなどに食べられる
- 木など高所からの落下死
- 交通事故死
- 保健所での殺処分
この他、長くその土地に野良猫が居着いているとどうしても近親相姦が起きてしまいます。1代くらいでは何も問題は起きないものと思いますが、2代、3代と重ねると健康に問題がある子猫が生まれる確率も上がります。
管理人の地域の野良猫達もここ数年で棲みついたものではなく、10年以上前から棲みついているものなので近親相姦もそれなりに起きてしまっていると思われます。その結果、餌は猫屋敷の住民からもらえて十分にありますし、寝床や子育て場所も確保できているのにも関わらず、生存率が高くないのは身体の弱い個体が多いのも原因の一つのような気がしています。
(流れ猫もたまに来ますので、流れ猫と交尾した猫は健康面で問題なく生存率が高いのでは?と勘ぐっています)
成猫になってからも生存率は低い
子猫の時代を経て、1年もすれば体の大きさは立派な成猫のものとなります。成猫になった野良猫は、厳しい生存競争を生き抜いてきた者たちですから生命力も強いはずです。しかし、野良猫の寿命自体も短いと言われており、短くて3~4年、長くても5年です。
行動範囲が広がれば、交通事故に遭う確率が上がります。餌が十分に確保できないこともあります。人から餌をもらっていると警戒心が薄くなり、心無い人に捕まることや毒餌の誤飲もあります。怪我や病気になっても自力で治すほかありません。
外の世界で自力で生活をしなければならない野良猫です。人と違い健康的で文化的な最低限度の生活がままならないのが野良猫です。
厳しい環境下で生活をしているため、成猫になってからの生存率も低いです。
飼い猫の寿命 -> 12年野良猫の寿命 -> 3~5年
しかし、昨今は各自治体で地域猫活動の広まりを見せていることもあり、野良猫にとっては多少なりとも環境の改善は図られているのかもしれません。もちろん環境改善の代償として生殖機能を奪われてもいますからそれが猫にとっていいことなのかは一概には言えません。