ある程度大きくなった子猫なら
『この子にもご飯ちょうだい』
餌やりしていなかったら
『餌くれないかね?』
が多いケースだと思います。
母猫に餌やりをしていたり、したことがある場合は餌目当てが濃厚ですね。うちの近所の野良猫達も親子連れが家に来るお宅は何かしら面倒を見ていたり、(過去に)可哀想だから餌をあげてしまったお宅が多いです。
では、なぜ餌目的で子猫を連れてくるかと言えば、子猫のご飯事情を考えるとわかります。
子猫のご飯は、生後二か月くらいまでは母猫から母乳をもらいます。その後、少しずつ大きくなると歯が生えそろい始め、授乳時に乳首を噛まれて痛い思いをするようになると母猫は離乳を促すようになります。
そして、餌を自分で確保しているなら捕食動物を捕えて子猫の元に持っていくということもありますが、人里に住む野良猫の多くは人から餌を与えてもらっています。
そうなると、対象物を捕獲するという方法ではなく、その餌場に出向くことで餌を確保することになります。このため、離乳が進んできた頃、生後三、四カ月くらいと思われるまだ身体の小さい子猫を連れてやってくることがあるというわけです。
母猫も子猫を守っている気持ちは強いので、連れてきたにも関わらず近付こうとすると「シャーッ!」とやられることがあるのですが、それも子猫を守る警戒心からなんだと思います。
餌をもらえるのか、量は足りるのか、本当に安全なのかという見極めも少し入っているんじゃないかと思います。
うちは餌をあげたことなんてない
そんな場合は・・・こればっかりは明確な理由は難しいような気がします。
管理人の体験談だと実家にいた頃、それこそ20年以上前の話ですが、ほとんど野良猫がいない地域で家にも来たのを見たことがなかったのに、ある日突然庭に野良猫親子がいた。なんてことがありました。その時はすぐに居なくなってしまったのでなぜいたのかはわかりませんでしたが、近所の家が可愛がっていたのか、迷い込んだのか、ひと休みしてただけなのか。と振り返るくらいです。
また、考えられるところでは、近くに餌やりされているところはあるけど待つのにいい場所がないこともあります。(路上に餌をばら撒くような人もいますので)そうすると餌が出てくるまでどこかで待機していないといけなくなるわけですが、近くにいい所がなければやむを得ず見ず知らずのお宅の庭をお借りすることだってあるかもしれません。雨が降っていて雨宿りがてら・・・ということも。
なかなか野良猫達の事情をくみ取るのは難しいところですが、毎日通ったり、長く居付いてしまうわけでなければ、その時の都合による。なんてこともありそうです。
生後間もない子猫の場合
生後一ヵ月も経っていないような本当によちよち歩きの子猫を連れてくる場合もあります。
飼い猫であれば、信頼している飼い主さんに育児を手伝って欲しいなんて思いもあるかもしれませんが、野良猫だと思うと不思議です。
野良猫は警戒心が強く、子猫を守るために人目につかないような場所を子育て場所に選びますが、子育て期間中に何度か移動をすることがあります。
子育て場所を移動する理由は諸説ありますが、主には外敵から身を守るため。長く同じ場所に居続けると自分達の匂いが残ってしまい、敵に気取られるかもしれません。また、子猫の中に病気の子がいれば他の子にうつるのを嫌ってその場を離れることもあるでしょう。この他、たまたま通りがかった人に見つかってしまうことで移動をすることもあります。
管理人のご近所さんのケースでは、春先必ずと言っていい程、子育て場所に使われるお宅があります。そのお宅は平日ほとんど家におらず、週末に家族で過ごしているような感じですが、平日のいない間に子育て場所として使われることが多いです。
外構で敷地が囲われていて、門扉もちゃんと閉ざされているお宅は、人の気配もなく子育てするには最適な場所なんだと思います。
もし、子猫が小さい場合は、新たな子育て場所を探し求めて連れてきたのかもしれません。
母猫が子猫を置いていってしまう
そりゃあ、母猫にも色々な事情があるんでしょうけど・・・。
近くにご飯を食べに行くことだってありますし、何かの不安を感じて辺りの様子を窺っているだけかもしれません。母猫も授乳中であれば自分の餌の確保も大事なので、乳を垂らしながら足早に餌をくれるお宅を歩き回っていたりします。子猫の安全を確保できたらその場を離れることも普通にあるわけです。
よく言われるのが育児放棄ですが、病気がちな子、餌不足で全員を育てきれない場合、人の匂いがついてしまった場合(母猫が危険と判断した)、初産で子育てがよくわからなかったなど理由も様々です。また、育児放棄ではないけど、子猫が一匹だけ置いていかれてしまっているようなら、他の子と一緒に移動したつもりが忘れ去られてしまっていたってことだってあります。(猫は数がかぞえられないので、子猫を咥えて移動するにも何往復かして、その場に子猫がいなくなるまでいったりきたりします。その時に姿が見えず鳴き声で呼んでも見つけられなければ諦めることもあります)
一方、ある程度大きな子猫の場合なら離乳が済んで、自分の縄張りから追い出していることも考えられます。(子猫は自分で親離れはしないので、大きくなってくると母猫が突き放して独り立ちさせます。※雌猫の場合は一緒に住み続けることもあります)
家に来てしまった猫達をどうしたらいいか
基本的には、面倒を見るつもりがなければ手を出さない方がいいです。
一度でも餌を与えてしまえば、次ももらえると思ってやってきます。その時だけ可哀想だったからあげて、次来た時はあげないというのも期待して訪れた野良猫にとっても酷な話です。また、子猫が小さい場合だと人の匂いが付いてしまうと育児放棄してしまうこともあります。(ちょっと撫でるくらいなら問題ありませんが、ミルクなどを与えてしまうと子猫の便が自分のお乳の匂いと違うのに気付いて育児放棄に繋がるケースがあるようです)
仮に面倒を見るとして、その猫達がご近所さんに迷惑をかけてしまった場合、責任は取れるでしょうか?寝床とご飯は面倒見てあげてるけど、その他は知らない。なんて都合のいい話は通用しないことが多いです。飼い主であれば自分の飼い猫が他人に迷惑をかければ飼い主が責任を取ります。その責任を一切負わずに面倒を見るというのは虫のいい話なんだと思います。
昨今、野良猫の餌やりなどでご近所トラブルになり、場合によっては事件にもなるご時世です。可哀想だったから餌をあげた、家に住まわせてあげているだけ。なんて思うかもしれませんが、迷惑だと感じている人にとってはそうは思わないので、面倒を見るつもりならきちんと飼い猫にしてあげるのがいいんだと思います。
家に居付いて欲しくない場合
家に居付かれても困る。そんな場合でも放っておけばそのうち来なくなるのがほとんどです。面倒を見なければ、その場所に訪れる理由もないので他の場所を探します。もし、子育て中だったとしてもちょくちょくその場の様子を見に行くだけで母猫が子育て場所を変えてくれたりします。
それでもよく来てしまうなどあれば、追い払うしかないのですが、手荒な真似をしたくなければ、猫がよく居る場所に水撒きをしておくだけで十分だと思います。驚かしたり、追い掛けたりして追い払うことも簡単ですが、穏便にすませたいなら水撒きがおすすめです。野良猫は濡れた場所には座りません。
また、じっと居座っている場合でも、猫のいる方へ遠目からじわっと水を流してあげればどいてくれます。水を直接かける必要もありません。
猫達には可哀想ですが、猫アレルギーや妊婦の家族がいると猫との共同生活は困難です。私達にも自分達の生活がありますので、致し方ないこともあるのだと思います。
野良猫達を保護するなら
基本的には、親猫共々保護してあげるのがいいと思います。子猫だけ保護するとかだと母猫からすれば子供を連れ去られたと一緒ですし、子供を奪い取るのは可哀想です。
また、保護するなら子猫のうちがよくて懐きやすいというのはそうなんですが、生後二か月も経っていないようなら母猫から引き離さず様子を見てあげるのが良いでしょう。生後8週間(12週間とも言われます)は、母猫の授乳により免疫を得て、母猫の教育により猫としての生き方を学びます。生きていく上での振る舞い方を躾けられる期間とも言える大事な時期でもあるので、特別な事情がない限りは保護をするにしても親子一緒に生活できる空間をきちんと整えてあげるのがいいのだと思います。
※ペット販売も生後56日以下の子犬や子猫の販売を原則禁じる「8週齢規制」を定めた改正動物愛護法が令和3年6月1日に施行するところです。犬猫の生態、習性を考慮した法令と言えるでしょう。
それから、子猫は母猫の授乳で育ち、離乳が進むと(概ね生後三ヵ月)自分で餌を食べるようになるわけですが、この完全離乳となる頃に飼い始めるといいとも言われています。これは、この頃から活動範囲が広がり始めるので、外での生活に慣れる前(自分の縄張りを持つ前)であることや餌を自分で確保しなければいけないこの時期に飼い主が餌付けすることで懐きやすいということがあるからです。
仮に母猫が帰ってこないなどあって保護する場合でも生後一ヵ月未満の子猫の場合は、3時間置きの人口授乳と排泄の手助けが必要になったりします。子猫の命を助けられる十分な知識と時間がない場合は、最寄りの動物愛護団体や動物愛護センター、動物病院などに相談するのがいいんだと思います。