ペットショップの犬猫販売は悪か?生体販売の問題点と考察

「ほんっっっと可愛くって、めっっっちゃ迷ったけどお迎えしました」
「ペットショップで一目惚れして家族にお迎えしましたっ!」

最近はどうでしょう。少し前ならSNSにこのようなメッセージを写真付きで投稿される方も少なくなかったと思いますが、今では減ってきているかもしれません。
タレントなどの有名人も新しく犬猫を飼い始めたことを公表すると「保護犬ですか?」「保護猫ですか?」とリプライがきてしまうくらいです。当然、好意的なものではなく批判的な目で見られているのがわかります。

飼い主ご本人からすれば余計なお世話だと思いますが、世間に公表すれば様々な人から見られてしまいます。
昨今、批判的な目で見られるようになったきっかけを考てみると、その一つに『その一目惚れ、迷惑です』のCMの影響も大きかったと思います。(ACジャパンのCM。日本動物愛護協会の活動支援の一環)

とは言えペットの入手経路で言えば、ペットショップから入手したと答える飼い主は、犬が51.8%、猫が21.6% と特に犬に関してはペットショップからの入手が主流です。
※一般社団法人ペットフード協会の「令和4年 全国犬猫飼育実態調査」の資料掲載のペット入手時の情報源より -> https://petfood.or.jp/data/chart2022/index.html

ペットショップの生体販売を疑問視する人の中には、まだまだ多い殺処分、捨てられるペット、無責任な飼い主、悪質な繁殖業者など様々な思いがあるのだと思います。

こちらの記事では、生体販売の問題点を整理し、問題の背景や諸事情を考察いたします。

▼目次

  1. 幼すぎる子を欲しがる消費者の嗜好
  2. 美観や見た目を優先した犬猫の繁殖
  3. 外見重視だからこその展示販売
  4. ペットショップの“抱っこ商法”
  5. その日のうちに連れて帰れる
  6. ペット購入後にキャンセルできない仕組み
  7. ショップ店員は売るのが仕事。売れば売るほど給料アップ
  8. 飼育環境の問題や流通過程で落とす命
  9. 需用に合わせることになる繁殖
  10. 売れ残った犬猫の処分方法
  11. 海外では生体販売規制の流れ
  12. 国内におけるペットショップ・生体販売の規制(動物愛護管理法の改正)
  13. 生体販売規制によるブリーダー、ペットショップへの影響
  14. ペットショップとブリーダーから購入することの違い
  15. 大半のペットショップやブリーダーは適切な飼育や法令を守っている
  16. ペットショップの犬猫販売に反対の方はどの程度反対ですか?

幼すぎる子を欲しがる消費者の嗜好

幼犬や幼猫が消費者の好み。売りやすいし高く売れる。大人になってしまったら買い手がつかなくなるのが実情です。

ペットを求める人達は小さくて可愛いぬいぐるみのような子が欲しがりますが、その嗜好によって幼いうちに親から引き離されることになります。
現在は動物愛護法が改正され生後56日(8週齢)を超えるまでは販売および展示をできなくなりましたが、2016年8月までは45日齢、2021年5月までは49日齢の制限でした。

社会化期(生後1ヶ月~3ヶ月頃)を待たずして親から引き離されてしまった場合、母乳から得られるはずの免疫力、親兄妹など他の動物との関わり方や生きていくために必要な学習、様々な物事に慣れる機会が失われます。成長後の問題行動や病気のリスクにもつながると考えられています。

なお、販売の週齢規制は以前から求められており、2012年の改正動物愛護法で生後56日(8週齢)の販売規制は盛り込みずみでした。しかし、すぐにの全面施行とはならず前述の通り段階的な導入となりました。

販売側からすれば幼犬、幼猫である方が売れる、消費者もそれを求める。子犬や子猫にとって社会化期の必要性を理解していても販売側は法改正されるまで幼すぎる子を販売します。自主規制をするペットショップはほとんどありませんでした。

これは幼犬や幼猫を求めすぎる消費者の嗜好にも原因があるのだと思います。

美観や見た目を優先した犬猫の繁殖

見た目が可愛い方が売りやすい、高く売れる。このため人間の都合による見た目優先の繁殖が行われます。

遺伝的に問題のあるスコティッシュやコーギー、ブルドッグ、ペルシャ猫など。折れ耳、短足、平らな鼻。遺伝性疾患にかかるリスクの大きい品種が存在します。

販売側は利益のために繁殖させ、消費者側は見た目の好みで購入していきます。

海外ではデザイン犬猫と呼ばれ繁殖の規制を行っている地域もありますが、未だ問題意識が低いのが国内の状況かもしれません。

外見重視だからこその展示販売

幼犬や幼猫、外見の好みや美しさ、動く姿や仕草の愛らしさ。健康面や個体の特性、性格より外見を重視する飼い主の嗜好があるため、ペットショップにとって展示販売は重要です。

一方でショーケースに展示販売するには、犬猫が不在では成り立ちません。売れたら補充をしないといけません。販売側は在庫を抱えていないといけません。
展示販売の方式だと少なからず余剰在庫を抱える必要が出てきます。在庫を確保しておくために繁殖業者も必要以上の生産、余剰生産が求められるわけです。買い手が見つかればいいのかもしれませんが、当然ロスも起こるでしょう。コンビニのような陳列棚に商品を置いて販売する形式であれば、売れない商品の廃棄は少なからず出てきます。

消費者側からすればお迎えしたい子の見た目や仕草や愛嬌などを見てわかるメリットがありますが、その裏側では必要以上の犬猫の生産が行われてしまっているのかもしれません。

ペットショップの“抱っこ商法”

抱っこさせたら勝ち。

可愛いなぁと思ってショーケース越しに見ていた子を実際に抱っこしてしまったら・・・連れて帰りたくなる気持ちになるのもよくわかります。

犬猫の可愛いを体感させて衝動的に買わせてしまおうという方法ですが、消費者の弱点を突いた巧妙なやり口であるのは確かでしょう。

小さな子犬や子猫を抱っこすると個体の体温から温もりを感じることができます。また、大人しく抱かれていたり、甘噛みするように懐いてきたりすれば、どこか許されている、受け入れられている、癒されている感覚に陥ってしまいます。

お世話の大変さや生涯にかかる費用など十分に理解している飼い主であれば問題はないかもしれませんが、安易に衝動買いした結果、飼育放棄につながるケースが少なからずあることは問題視されています。

その日のうちに連れて帰れる

お店によって異なりますが、必要な検査や健康診断が済んでいる子であれば即日持ち帰りOKのお店もあります。

その日のうちに連れて帰れること自体が悪い事ではありませんが、迎え入れる準備が出来ていない、家族の了承を得られていなければ問題が起こるかもしれません。また、衝動的に欲した飼い主に対しては衝動買いを助長するケースになりえると考えられます。

ペット購入後にキャンセルできない仕組み

ペットの購入は基本的にキャンセルできません。やっぱり飼うのが難しいと思っても基本的にはお店側が返却に応じることはないでしょう。あるとすれば、お店側に瑕疵があった場合、例えば先天的な病気を隠して販売したなどであれば契約解除、賠償請求が可能だと思います。ただしそうしたケースでも動物の返却は必要になると思われます。
また、クーリングオフもできませんので、飼いはじめて大変さに気付いても飼い主が責任を持ってなんとかしないといけません。動物の知識がなく飼育能力のない方が飼い主となってしまった場合、人にとっても動物にとっても不幸なことになりかねません。

ショップ店員は売るのが仕事。売れば売るほど給料アップ

動物を売れば売るほど儲かるのがペットショップです。お店にノルマがなかったとしても売上目標はあります。もちろん個人にもあります。

ペットが売れればショップ店員の評価が上がります。もしくはインセンティブが支給される会社もあるかもしれません。場合によってはノルマが課せられているお店もあるかもしれません。

いかにお客様の目にペットを魅力的に映せるか、清潔で健全そうに見えるか、どうすれば虜にできるか、衝動買いさせられるか。
ペット保険も保険会社からマージンがあるので、健康リスクの不安を掻き立て、お金がかかると大変だから入った方がいいですよとセールストークをします。

飼い主と動物のことを思うなら、お住まいの環境や動物アレルギーのこと、お金のこと、お世話に体力も必要なこと、個体の特性や病気のことなど。ペット保険にしても保険に入らせるよりも代表的な病気があるのなら未然に防ぐ食生活や運動のことなど飼育方法を伝える方が建設的でしょう。

一部のお店や店員に限った話かもしれませんが、ペットショップは商売なので売ることが一番になっていてもおかしくありません。

飼育環境の問題や流通過程で落とす命

パピーミル(子犬工場)とは、劣悪環境で乱繁殖を行う悪質なブリーダーのことを指します。飼育施設は最低限、医療費はかけず、餌も粗悪、糞尿の始末も最低限。親犬は子犬を産み出すマシーンのような扱いです。
ペットショップは、こうした悪質な業者に支えられている面があるため、生体販売が問題視されます。

また、流通過程で亡くなる犬猫も少なくありません。
2018年の朝日新聞の調査では、国内で繁殖・販売されていた犬猫のうち約2万6千匹が、繁殖業者やペットショップのもとにいるうちに死んでいたとのこと。(流通量の約3%)
昨今も犬猫の飼育頭数に大きな増減はないため、2018年と近い頭数が亡くなっているものと思われます。
環境省公表の令和3年度犬猫の殺処分数は、14,457頭。流通過程で亡くなる数の方が上回っている可能性が高いと考えられます。

どちらも問題があるのは誰の目にも明らかですが、パピーミルに関しては一部の悪徳業者の問題です。多くの繁殖業者はルールを守られていると思います。
また、流通過程で亡くなる数は、約2万6千匹と聞いてしまうと多すぎる感じがしますが、流通量の約3%ということを考えるとむしろかなり高い生存率とも言えます。(隠蔽された数がなければですが)
例えば、野良子猫の生存率はかなり低いです。数匹のうち一匹が成猫になれるかなれないかと言われます。個人的にも近所の野良子猫の生存率は同じくらいの体感ですので、4、5匹産まれても1匹ないし2匹程度しか成猫になれないのは誤りではないと思っております。

一定数の違法な業者がいても仕方ない、流通過程の多少の犠牲はやむを得ないというわけではなく、違法な業者をチェックする行政の対応や大量生産されるペットの流通に問題があるということです。

需用に合わせることになる繁殖

例えば、猫の自然な繁殖を考えると1月過ぎから発情が始まり、3月までには交尾を終えて妊娠。4、5月くらいに出産。この期間に妊娠が出来なかった猫は、5月過ぎに再度発情期を迎える。
猫の発情は日の長さが関係しており、日の一番短い冬至を過ぎて日が長くなり始めるとその刺激を受けて発情します。季節繁殖動物と言われるもので、日光を一定時間浴びると発情するというものです。
また、飼い猫や都会に住む野良猫など栄養状態が良い場合は、年に2、3回発情期が来ることが多く、発情期が春と秋に多いことから春子(はるご)と秋子(あきご)と言われたりもします。

さて、ペットショップには常に一定数の子犬や子猫が展示されていると思います。いつでも子犬や子猫がいるのは不自然ですよね。当然、自然に任せた繁殖ではありません。

仮にゴールデンウィークや夏休み、冬休みといった大型連休がペットショップにとって繁忙期だったとしましょう。この場合、この時期はいつもより多く犬猫の在庫を抱えておいた方がいいわけです。このためブリーダーもペットショップの発注に合わせて繁殖を行うことになります。
おそらく、ペット業界の受発注にも生産リードタイム(発注してから納品されるまでの日数)の概念があると思いますが、ペットショップが半年以上前からブリーダーに発注を行い、ブリーダーは発注を元に繁殖計画を進められていると推測されます。

子犬や子猫を欲しい時期に産ませるため、ホルモン剤の投与や常に明るい環境で飼育するなどして妊娠時期をコントロールしていると思われますが、あくまで人間の都合で子供を産ませられているのが実態でしょう。人間の都合を優先すれば親犬猫の体の負担を考えずに繁殖が行われてしまうこともありえるということです。

売れ残った犬猫の処分方法

売れ残った犬猫は殺処分されてしまう。というのは一昔前であればあったかもしれませんが、現在はほぼないでしょう。血統種やミックスの犬猫が野良犬、野良猫になっていたり、保健所で保護されていることがほぼない実情を踏まえれば、売れ残った犬猫を遺棄したり保健所に持ち込むことはされていないと考えて差し支えないものと思います。
また、悪徳業者が殺処分しているケースもあると考える方もおられるかもしれませんが、周囲の住民に知られずに殺処分をし続けるのは難しいと思われます。遺体はゴミとして出すか、焼却するか、土葬するか、山や川に投棄するくらいしか方法がないのですから。バレずに続けるには相応の条件が整っていないと困難だと思います。

現状は、売れ残らないように値引きをしたりして売り切る、それでも売れ残るようなら店員が買い取ったり引き取る、もしくは繁殖業者に返却する、繁殖に回す、トリマーなどのペット専門学校に引き取られる。この辺りだと思います。

問題があるとすれば、引取り業者に引き取られるケース。狭いケージに閉じ込められ、最低限の水と餌を与えられ、病気になっても放っておかれ、時期に亡くなってしまいます。ペットショップの売れ残りに限らず繁殖後に健康リスクがあり売り物にならないと判断された犬猫も含まれると思います。引取り業者に(薬剤などで)殺されるわけではないかもしれませんが、死ぬまで飼われることが問題です。

なお、引取り業者に引取りを依頼するとお金がかかります。それならタダで譲ってしまった方がいいんじゃないか?と思われるかもしれませんが、売れ残りをタダにすると値崩れします。半年、1年待てばタダになるのであれば、わざわざ高いお金を出して買う人が少なくなります。賞味期限切れの弁当をタダで配らないのと同じ理屈です。

海外では生体販売規制の流れ

海外では生体販売規制の流れはありますが、生体販売の全面禁止ではなく規制の強化をされています。

例を挙げると

イギリスのペット販売業者は、ライセンス制。ライセンスを取得しないと販売できません。
フランスは、ペットショップでの犬猫の販売を禁止の法案が可決し、施行は2024年からです。ただし、優良ブリーダーからの直接購入やオンラインショップでの購入は可能です。
アメリカのニューヨーク州で可決されたパピーミルパイプライン法案では、ブリーダーや繁殖業者から仕入れた犬の販売が禁止です。保護犬などの展示や譲渡のみになります。(販売手数料も受け取れない)

このようなところです。他にもオランダでは遺伝性疾患のある品種の繁殖制限が設けられています。

捨て犬や捨て猫が多すぎるから、動物の犠牲を伴うビジネスは認可できないから、人の利益より動物福祉の優先からなど様々な理由から生体販売規制の流れがあるようです。

国内におけるペットショップ・生体販売の規制(動物愛護管理法の改正)

一方、日本は動物愛護後進国と考えられる愛護家もおられますが、動物愛護法の改正に伴い生体販売の規制を強化されています。

2005年改正 動物取扱業(ペットショップは販売業)の適正化。届出制から登録制へ変更。動物取扱責任者の選任及び研修の義務付け。
2012年改正 対面販売義務、生後56日齢規制(経過措置有)、夜間(20時から8時)の展示販売が禁止、犬猫等販売業者からの引取りは保健所で拒否が可能に。
2019年改正 飼養管理基準省令の制定。従業員数、飼育数、飼育施設などの数値規制が導入、犬猫の幼齢販売規制(8週齢規制)が完全施行。

徐々にではありますが、規制強化に踏み切られています。
特に大きなものは2019年改正の飼養管理基準省令。従業員一人当たりの飼育数の規定、ケージの大きさの基準設定、繁殖制限(生涯出産回数の規定)などが含まれます。これらの具体的な法令は、動物の愛護及び管理に関する法律における第21条第2項、『第一種動物取扱業者及び第二種動物取扱業者が取り扱う動物の管理の方法等の基準を定める省令』により定められています。
当然これまではなかった規定のため、ペット業界からは反対の意見があがります。このため猶予期間を設けられることになり、2024年6月(令和6年6月)に完全施行予定となりました。

例:従業員一人当たりの犬の飼育頭数制限

R4.6 R5.6 R6.6 R7.6
ブリーダー(繁殖) 25頭 20頭 15頭
ペットショップ(販売) 30頭 25頭 20頭
保護団体 30頭 25頭 20頭

上記は犬の例になりますが、猫は+10頭の頭数制限になります。
また、わかりやすくブリーダーとペットショップを分けて表記しましたが、正確にはどちらも第一種動物取扱業。保護団体は第二種動物取扱業のことを指します。繁殖用の上限と総数の上限の区分けがあるため便宜上ブリーダーとペットショップを分けました。

生体販売規制によるブリーダー、ペットショップへの影響

国内の生体販売の規制は販売を禁止するまでの内容ではありませんが、ブリーダーやペットショップへの影響は大きいです。このためペット業界は反対の立場です。

ペット業界から特に反対意見が大きかったのは、飼育者一人当たりの飼育頭数。
「13万匹以上のペットが行き場を失う」「犬猫の殺処分が増える」「業者が廃業に追い込まれる」などの反対意見が上がったようです。

これまでが基準を設けず動物の負担を省みずに行ってきたことがおかしいのかもしれませんが、ブリーダーもペットショップの経営者も従業員もこれを商売にしており生活があるのも事実です。もちろん国への納税もされています。ペット業界の雇用を脅かすことなく飼養管理の改善を進めていくことは大きな課題なのだと思います。

ペットショップとブリーダーから購入することの違い

例えばですが、ペットショップで生体販売が禁止になった場合、新しく犬猫を飼いたいと思ったらどこから入手すればいいでしょう?

動物愛護家からしたら保護犬、保護猫を飼えばいいと思われるかもしれませんが、保護犬は野良犬がほぼいない日本だと数は限られています。ではどこから?と言えば、ブリーダーから直接購入すればいいという話になります。

そこでちょっとした疑問が湧くのは、

ブリーダーから直接購入するのって、ブリーダーが犬猫をペットショップに渡すか、直接飼い主に渡すかだけの違いなのでは?

飼い主からすればペットショップを挟まないだけで、街中にお店がない分、ブリーダーを探したり引取りにいくのが面倒だなって思うくらいとか。

ただこれも渡すだけの違いではなくて、対面販売が義務付けられているところにミソがあったりします。
対面販売が必要なため飼い主になりたい人は、ブリーダーの所まで足を運ぶ必要があります。その場所の多くは犬舎だったり猫舎といった場所になりますが、飼育環境を人に見られることになるので劣悪な環境で飼育なんてできなくなるということ。仮にパピーミルのような劣悪な環境を見られてしまったら通報されてもおかしくないし、悪徳な繁殖業者は淘汰されていくという理屈です。
もちろん、悪徳ブリーダーであれば引渡す時だけいい感じの飼育場所を用意しておくなどできると思いますが、引き渡した犬猫の健康に深刻な問題があった場合、摘発されるリスクは高まります。これまで通りの商売が難しくなると考えられます。

大半のペットショップやブリーダーは適切な飼育や法令を守っている

生体販売の問題が取り上げられる際、不適切な飼養管理の実態や動物虐待といった悪質なケースにスポットライトが当たります。最近のニュースでは、アニマル桃太郎の約1000頭に及ぶ犬の動物虐待および狂犬病予防法違反の疑いで逮捕された事件は記憶に新しいです。
こうした事件が起こる度に厳しい批判にさらされることになりますが、大半のペットショップや繁殖業者は適切な飼育や法令を守っているのも事実だと思います。動物愛護家の中にはペットショップの多くがパピーミルのような繁殖業者から仕入れをしていると考える方もおられるようですが、であれば動物虐待の摘発ニュースだらけになってしまいます。そうではないのも事実です。

ペットショップでは販売の際に生体販売説明書を作成します。
生体販売については、動物愛護法第8条および第21条4項で規定されており、対面販売、対面説明(文書)が必要です。この中には「繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(もしくは動物取扱業登録証番号)」があります。動物の入手経路が追える仕組みになっている点は犯罪の抑止につながると考えられます。
加えて、改正動物愛護法では前述の飼養管理基準を設けられ、行政の勧告及び命令の制度も整備されています。

多くのペットショップやブリーダーが法令を守られている中、一部の悪徳業者を取り上げてペット業界全体の問題のように見せるのは少し違うのかなと思うところです。

以上、生体販売に関する問題点を整理してみました。売る側も買う側も生産者側も問題は多岐に渡るのだと思います。また、あまり取り上げませんでしたが行政の対応が不十分であることも事件が起こる度に指摘されます。現状は、規制強化を進められていると思いますが、問題が多くなり深刻になれば生体販売の禁止に近いようなさらなる規制もありえるのかもしれません。

それと最後に以下の話題にふれて終わりにしたいと思います。

ペットショップの犬猫販売に反対の方はどの程度反対ですか?

少しふわっとしているかもしれませんが、生体販売に反対する方の姿勢を聞いています。大まかにいえば、全部ダメか一部ダメか改善できるなら反対ではないのか。

いくつか例を挙げてみると、

  • 生体販売するからパピーミルのような劣悪な扱いをする業者が増え、安易に飼ってしまうから捨て猫などの飼育放棄に繋がってしまう。そもそも生体販売自体に反対。
  • 動物の命に対して責任を持って販売されているなら問題なく、一部の悪徳業者が問題。
  • 犯罪行為を抑止できる仕組みができるのであれば、生体販売に反対ではない。

このような考えの方は少なからずいらっしゃると思います。

例えば、動物愛護家であり動物環境・福祉協会Evaの理事長である杉本彩氏は、生体販売は反対の立場だと思います。しかし、全面的な反対ではなく、衝動買いを誘う展示販売や大量生産が行われる現行の商取引に反対しています。犬猫が適正な管理の元販売される分には反対されていない旨の発言と見受けられます。

一方で、生体販売そのものがダメだという方は、品種改良で苦しむ犬猫を作らない、可愛いとか家族とかいう前に人間に飼われる為に生産される仕組みにしない、人の都合で強制不妊・去勢手術をしない、命をおもちゃにしない。と考える方もおられます。極論すれば人が動物を飼うこと自体を疑問視するような考えもあるくらいです。

また、ここまで犬猫を中心に取り上げてきましたが、ハムスターに文鳥や爬虫類、熱帯魚まで考えてみると、犬猫以外は反対しないのかという疑問も。ハムスターや文鳥などの入手経路はほぼペットショップからになりますから。
さらに付け加えるなら牛・豚・鶏にいたっては人に食べられる為に生産され殺されていっているわけですが、それはどうなんだ?とか。

他にも考え始めたらきりがありませんが、日本はこうだけど外国でもっと酷い状況に置かれている地域があったらそれはどう考えるのかなど。文化が違えば動物の扱いも変わるわけで、アフリカなどの一部の地域では犬猫を買った場合、飼うのか食べるのかは購入した本人次第になるわけです。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

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当サイトの情報が皆様の野良猫対策の助けになれば幸いです。
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