飼い主が猫を捨てるとんでもない理由

 無責任で身勝手。飼い猫を捨てる人間はクズ野郎だと思う方も多いかもしれませんが、少なからず罪悪感を持っている事の方が多いと思います。

例えばですが、日本動物愛護協会の動物の遺棄に関する啓発広告が少し前に話題になりました。

広告の内容としては、
水彩画のようなやわらかいタッチとパステルカラーの色使いの絵で、
しゃがみ込む母親と小さな娘が箱の中でお座りする子犬に語りかける様子です。

親切な人に見つけてもらってね。
いままでありがと。

この親子は言葉をかけます。そして、この絵の下に、

!優しそうに聞こえても、これは犯罪者のセリフです。

と続きます。
罪悪感を持ちつつも犯罪意識の希薄さを表現した一幕ではないでしょうか。

2020年6月1日に改正動物愛護法が施行され、動物を遺棄もしくは虐待した場合の罰則にも【1年以下の懲役】が加わっております。
(愛護動物をみだりに虐待した者・愛護動物を遺棄した者:100万円以下の罰金(第44条第2項、3項))

しかし、安易に捨てる選択をする飼い主の中では、犯罪意識は少ないのかもしれません。

▼目次

  1. 飼い主が猫を捨てる、よくある理由
  2. 飼い主が猫を捨てる、とんでも理由
  3. 猫を捨てる事は、どういった身近な犯罪と同等か?
  4. コロナ禍で心配される捨て猫

飼い主が猫を捨てる、よくある理由

動物を飼う前に考えるべきことがほとんどです。

理由
  1. 引っ越しで飼えなくなった。
  2. 子どもにアレルギーが出た。
  3. 先住のペットと相性があわない。
  4. 思っていたよりも大きくなった。
  5. 仕事が忙しくなった。
  6. 子どもが生まれたので世話をする時間がなくなった。
  7. 近所から苦情がきた。
  8. 経済的な理由で飼い続けることができなくなった。
  9. 病気で世話ができなくなった。
  10. 飼い主が亡くなった。

上記は、環境省のホームページ、動物の愛護と適切な管理の「捨てず 増やさず 飼うなら一生」に紹介されている実例です。以下、URL参照。
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h2706f.html

飼い主が猫を捨てる、とんでも理由

手放す理由というより言い訳だと思います。

理由
  1. 思ってたより手間がかかった。
  2. 想像してたのと違った。
  3. 言うことを聞かない。
  4. 懐かない。
  5. うるさくて眠れない。
  6. こんなすぐに大きくなると思わなかった(子猫がよかった)。
  7. 子どもが受験で勉強の妨げになるから。
  8. 気付いたら増えてしまって面倒を見切れない。
  9. 妊娠したから。(産まれたら困る)
  10. ペット不可の物件で飼ってしまい苦情がきた。
  11. 猫は綺麗好きって聞いてたのに全然綺麗じゃない。(粗相ばっかりする)
  12. 家の中がボロボロになって家族が嫌がった。
  13. 学校が休校になったし、子どもの思い出づくりになればと思ったんだけど・・・。
  14. スコティッシュフォールドのはずなのに垂れ耳じゃなくなった。

どれを取っても身勝手で、怒りを込み上げるようなものばかりです。

猫を捨てる事は、どういった身近な犯罪と同等か?

改正動物愛護法において、
愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金刑に処されることがあります。(第44条第2項、3項)

この刑罰の重みは、他の犯罪と比べてどの程度の罪になるでしょうか?
よく知られる主要な犯罪との比較が以下の通りです。(法定刑が比較的近いものを抜粋)

罪名 法令・条項 法定刑
動物虐待罪
動物愛護法 第44条第2項、3項 1年以下の懲役または100万円以下の罰金
暴行罪 刑法 第208条 1年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料
脅迫罪 刑法 第222条 2年以下の懲役または30万円以下の罰金
窃盗罪 刑法 第235条 10年以下の懲役または50万円以下の罰金
公然わいせつ罪 刑法 第174条 6月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料
売春勧誘等罪 売春防止法 第5条 6月以下の懲役又は1万円以下の罰金
ストーカー行為 ストーカー規制法 第13条 6月以下の懲役又は50万円以下の罰金

動物虐待罪と同じ刑罰である犯罪は以下のものがありました。
(法定刑:1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)

罪名 法令・条項
児童ポルノ所持 児童買春・児童ポルノ禁止法 第7条
保護命令違反 DV防止法 第29条
ストーカー行為禁止命令等違反 ストーカー規制法 第14条

いかがでしょうか?身近に起こり得る犯罪と比べても決して軽くはない犯罪だと思います。

また、暴行罪、脅迫罪、窃盗罪などはごく普通に生活をされている方は、まずされないと思います。でも、猫を捨てる人は少なからずいます。

本来、命の重みを学び、動物を捨てる行為の愚かさを考えるべきだと思いますが、安易な選択を考えてしまう人には、罪の重さからその行為の汚さを痛感してもらうのでもいいかもしれません。

コロナ禍で心配される捨て猫

これを書いているのは、2021年9月です。秋の季節は、捨て猫や保健所に持ち込むケースが増える時期です。(猫の出産シーズンが春と秋なのでこの時期に多い)

加えて、コロナ禍のご時世のため在宅時間が増えました。ペットを飼う余暇が増えた事や子どもの遊び相手として飼い始める方もいらっしゃいます。
コロナが収束し、元の生活に戻った時、世話をする時間がなくなったなどの理由で捨てられるケースもあるかもしれません。
他にもコロナの影響で仕事が上手くいかず、経済的に困窮する家庭が増えれば、ペットを手放すことを考える方もおられるかもしれません。

また、間接的要因を考えてみると、コロナ禍では動物愛護の活動や犬猫の適正飼育の市民講座などは人を集めて行うのが難しく、思うような啓蒙はできなかったかもしれません。

そして、ペットショップでは需要が増えるのであれば商機です。子犬や子猫の可愛らしさを前面に、「大人しい子ですよ」「人懐っこい性格ですよ」「人気の猫種ですよ」といった売り文句。本当は「運動量が多い猫種」「毛量が多く掃除が大変」「今は小さいけど大人になると結構な大きさ」「よく鳴く」などは、商売優先でろくな説明をしない。飼い方への理解が不十分であれば不幸な飼い方になることがあります。

様々な理由がありますが、コロナ禍以前の状態より懸念されることが増えている気がしてなりません。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

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