野良犬、野良猫の「野良」。「野」はなんとなくわかるとして、「良」はなぜ良いという字を使うのでしょう。もちろん「野原にいる良い猫」という意味ではありません。
普段、なにげなく使っていて、当サイトも至る所で使っています。管理人的にも気になったところ。詳しく調べてみました。
「野良」という言葉の定義
「野」は、田んぼや畑のこと。
この「野」が複数形になったものが「野ら」。「彼ら」、「これら」の「ら」と同じ働き。
「良」の漢字は、当て字。良いという意味ではない。
なぜ「良」という字を使うのか
「良」の漢字は、当て字です。では、なぜ「良」という漢字を当て字に使ったのか。
「野」の複数形で、「野ら」という言葉になり、「良」という字を用いて「野良」となっています。
「ら」という平仮名の字源は、「良」です。ですので、当て字で使うなら「良」が使われるのは自然なことですね。
一方、「彼ら」や「我ら」を漢字にすると「彼等」「我等」。「等」という漢字を用いるわけです。とすると、「野等」でもいいような気もします。
また、「野良仕事」という言葉があります。田んぼや畑仕事のことです。昔の野良仕事をしていた人々は、「野(田んぼや畑)で、良い作物」を。という意味を込めていたかもしれません。
「良」は当て字ですが、このような思いも含まれて「良」の漢字が用いられたかもしれませんね。
野良猫も分類上は「イエネコ」
一般的には、家畜の猫を「イエネコ」と呼びます。野良猫も元は飼い猫、分類上は「イエネコ」になります。
飼い猫、野良猫、野猫、野生の猫の違い
飼い猫 | 人の生活圏で生活し、人に飼われている。 |
野良猫 | 人の生活圏で生活し、人に飼われていない。 |
野猫 | 人の生活圏外で生活し、イエネコが野生化した猫。しかし、元は家畜の猫である。野生そのものの猫ではない。 |
野生の猫 | 人の生活圏外で生活し、元来野生の猫。西表山猫や対馬山猫など。人の生活圏には入ってこない。 |
野良猫は、人の生活圏で生活していますが、西表山猫は人の生活圏には入ってきません。だから西表山猫の野良猫はいないわけです。キツネやタヌキ、クマも同じ。人の生活圏では生活をしません。そういったわけで、野良キツネ、野良タヌキ、野良クマとは言わないのです。
童謡「待ちぼうけ」
待ちぼうけ 待ちぼうけ
ある日せっせと 野良かせぎ
北原白秋作詞の童謡。「野良かせぎ」という言葉が出て来ます。畑仕事をしている描写です。元々は、中国の春秋時代の法家「韓非」の著書「韓非子」五蠹篇に出てくる逸話を元に北原白秋が歌詞を作りました。
野良仕事をしていたらウサギが木にぶつかって死んでいた。こんなに簡単にウサギが獲れるなら畑仕事なんかしなくていいじゃないか。そして、毎日ウサギを待つ農夫。待てど暮らせどウサギは現れず、待ちぼうけ。ってわけです。
ゲームで使う言葉「野良パーティー」
オンラインゲームをやったことがある方はご存知だと思います。
「野良パーティー」
適当に集まった人達でパーティーを組むこと。
よく言えば一期一会で集まったパーティー。しかし、知らない人同士の集まりであるため、協力プレイがしにくく、装備がしょぼい、アイテムを出し惜しみするなど地雷がある可能性もある。
FF13では、ホープが「ノラ作戦」だ。なんて言ってましたね。(ノラはホープの母の名)※全く関係ありません。
以上になります。犬と猫だけにノラが付きますが、東日本大震災の折には、非難区域に指定された家畜の牛なども多くおり、取り残された牛達を「野良牛」、「野良べこ」と呼んでいたことがあったそうです。