お隣さん家がどうやら猫屋敷化しているらしい。敷地内で飼っているらしいが、庭には仔猫がうじゃうじゃ、出入り自由だし、放し飼いと何も変わらない。そんな様子だから悪臭、鳴き声、庭をうろつかれる、糞や尿もされるしはた迷惑。
でも、注意してトラブルになるのも困るし、怖いし。
以前、注意をしてみたことはあるけど、
「猫は自由にさせてあげるのがいいでしょ」「うちで飼っている猫じゃない」「勝手に居付いちゃって。可哀想だからエサだけあげてるだけだから」「去勢避妊はしてあげたいけどお金がないの」
と、聞き入れてはもらえないことが往々に。
こういった場合、どんなアプローチをしていくのがいいものか、考えてみました。
▼目次
- 多頭飼育の実情を知る①
- 多頭飼育の実情を知る②
- 困っている人達はどういった対応を取られているか?
- 管理人のケース
最寄りの保健所、動物愛護センターに相談する
自治体に相談する
地域ぐるみでなんとかする
動物愛護団体に相談する
ご近所付き合いの中でなんとかしようとするなら
多頭飼育の実情を知る①
環境省が都道府県、政令指定都市、中核市を対象として、平成18年度~19年度の2ヵ年における多頭飼育に関する苦情と対策の状況についてアンケートを行った結果があります。
その調査結果の苦情の部分を見てみると、全体で1775件。以下のような内訳でした。(複数回答)
- 1195件「不衛生・悪臭」
- 660件「逸走・徘徊」
- 616件「鳴き声・騒音」
- 268件「不適切な動物取扱業・獣医師」
- 146件「その他・不明」
- 47件「のらねこ問題」
- 15件「動物虐待」
上位の3つの回答で大半を占めており、生活環境の悪化による苦情がほとんどです。また、10年程前に行われたアンケートの為、今現在ではさらに苦情が増えているかもしれません。
環境省「多頭飼育の現状(都道府県等アンケート)」(PDF)
多頭飼育の実情を知る②
多頭飼育崩壊に関するニュースが時折取り上げられます。崩壊に至る気になるキーワードとして以下が見受けられます。
- 独居の高齢者が目立つ。
- こんなに増えると思わなかった。(最初は2匹から飼い始め、みるみるうちに増えてしまった)
- 去勢・不妊手術は知っていたが、忘れていた、お金がなかった。
- 飼い主が地域で孤立している。
- 猫を集めてきてしまう人は、アニマルホーダー※である可能性が高い。※アニマルホーダーとは、飼育不可能な数の動物を集め、それをやめられない状態の人
困っている人達はどういった対応を取られているか?
最寄りの保健所、動物愛護センターに相談する
保健所や動物愛護センターの職員に現状をお伝えし、多頭飼育の飼い主の方に指導していただくのが一つの手です。
飼い主の方に直接注意することもできますが、トラブルにもなり兼ねません。また、注意を聞き入れてもらえないことも往々にしてあることです。
やはり自分だけでどうにかなる問題ではないため、第三者の然るべき対応を取ってもらえる所に頼るのがいいのだと思います。
保健所、動物愛護センターの方からの指導で、事態が収拾されることもありますし、全く聞く耳持たずで改善が一向にされない場合もあります。
自治体に相談する
自治体には「市民課」「生活課」など住民の相談を受け付ける窓口があります。近隣トラブルももちろん受け付けてくれます。
多頭飼育、動物の事の問題であれば、保健所、動物愛護センターに相談した方が早いかと思いますが、その飼い主の方との問題の方が大きければ、自治体に相談するという手も一つです。
ただし、自治体も一人一人の住民の相談を全て解決するまで責任を持って対処することは難しいので、相談を受けて良い対応方法がないかアドバイスをする。ということになります。
そして、アドバイスはケースバイケース、様々かと思いますが、保健所や動物愛護センター、猫ボランティアの紹介をしていただけたり、法的な面でアドバイスをいただけたりもします。
どういった対応が取れるものか、色々な手段をお持ちだと思いますので、一度相談をしてみるのはありだと思います。
地域ぐるみでなんとかする
町内会やマンションの理事会など、地域住民のコミュニティを頼るのもいいかもしれません。
町内会やマンションの理事会が動いてくれれば、回覧板を回してくれたり、ペット飼育の注意事項のチラシをポスティングしてくれるなど、何かしらアクションを取ってくれると思います。
また、被害が甚大であったり、複数の方が迷惑しているような実態があれば、会則にペット飼育の条項を設けるなどルール化する場合もあるでしょう。
地域によっては、町内会や理事会の方の腰が重いところもあるかもしれません。何度も何度も訴えかけたり、迷惑されている方々と一緒になって申し立ててみることも必要かもしれません。
動物愛護団体に相談する
どうにも個人や地域では対応が難しい場合は、動物愛護団体に相談するのも一つの手です。多頭飼育崩壊でニュースになる程の酷い状況であれば、猫達の劣悪な飼育環境にも大きな問題があるため、動物愛護団体が動いてくれるケースもあります。
もし、地域に活動をされている愛護家などの方がおられれば相談をしてみるのもいいでしょう。
なお、管理人はそういった愛護家を知らなかったので、保健所の職員にそういった方を紹介していただけないかを聞いてみたところ、愛護家や愛護団体の斡旋のようなことはしていないと言われ、教えてもらえませんでした。
また、町内会でも第三者に協力を仰ぐことも議題にあがりましたが、よその人間を入れるのは好ましくないということで却下でした。(動物愛護団体など第三者を地域の問題に巻き込むのを嫌がるところも多いと思います)
現実的な話をすると多頭飼育崩壊と言えるような状況の場合、この問題をなんとかするにも人手とかなりのお金がかかります。猫達の飼育環境は劣悪と言えるので、病気にかかっている子がほとんどです。数多くいる猫達を救うには、医療費、不妊去勢手術費、食費やトイレなどの飼育費(里親が見つかるまでにかかる費用)が必要です。猫の数にもよりますが数十万円の費用がかかることもありますので、相談すればすぐ対応は難しいのが実情だと思われます。
ご近所付き合いの中でなんとかしようとするなら
事を荒立てたくない、穏便に済ませたい、今なら飼育環境の改善ができそう、まだ間に合う。で、あるならば、飼い主の方とコミュニケーションを取ってみて関係性を築くところから始めてみるのもいいかもしれません。
これで何が解決するのか?と言えば、しないのかもしれませんが、解決の糸口になったり、少なくとも事情を伺い知ることができるのではないでしょうか。事情を知っていれば、対処の仕方も違ってきます。
持ち家で今後もご近所付き合いが続く、良い関係性でありたい。と思われるならコミュニケーションを取るところから始めてみるのもいいかもしれません。
管理人のケース
管理人の近所にも猫屋敷があります。その方は野良猫にエサを上げている方で、いつも家の周りに猫達がたむろしているようなお宅です。管理人の家はその近くにあり、糞尿の被害にもれなくあってしまっています。
そして、その方とのコミュニケーションと言えば・・・全く取れていないのが現状です。
その方は、水道局員や電力会社の方が点検に来たとしても居留守を使い、家から出てこないような方なので、ほとんど出くわすことがないのです。
町内会に回覧がありますが、管理人とその方とは受け渡しを直接していないので、そういう時にお話をすることもできず。
こういった状況なので、管理人の場合は、町内会長に野良猫状況をお伝えして、町内会長や役所、福祉職員が訪問の際にお話を間接的に聞いてもらったり伝えてもらったりしているような状況ですね。
以下では、自治会や自治体、保健所に相談した管理人の体験談をまとめています。
以上になります。多頭飼育の猫達は、人が考える想像以上の恐怖とストレスと苦痛を受けていることでしょう。自分自身の生活環境を守るための行動が結果的に猫達を救うことになることもあります。