実際に便利屋などの業者のいくつかに電話で確認したところ、
「今はやっていないんですよ」
もちろん、ホームページ上では「野良猫の捕獲・回収・里親探し」といったサービスがある記載はあったのですが、今はやっていないという結果でした。
結論はこんなところですが、捕獲をやっていない理由などをまとめてみましたので、お時間あればお付き合いください。
▼目次
- 便利屋などの業者が野良猫の捕獲をやらない理由
- 捕獲は、動物愛護法違反?
- 保健所に持ち込むにも業者からの引き取りは拒否される
- 捕獲は簡単でも里親、譲渡先探しは大変
- 遠くの野山に放すというのはダメ、遺棄に該当
- 捕獲はできないけど、猫よけ対策は請け負ってくれる
- 野良猫の捕獲を行う業者はあるかもしれないが、数少ないと思われる
便利屋などの業者が野良猫の捕獲をやらない理由
A社の場合
「うちは地元の不動産会社の依頼しか受けてないんですよ」「ホームページに記載はしているんですけど、一般からの依頼は受けてないんですよね」
B社の場合
「動物愛護法の関係で、捕獲は難しくやっていないんですよ」
C社の場合
「今は家具関連のサービスしかやっていません」
以上のようなお話でした。なお、上記3社のホームページ上は、「野良猫の捕獲・回収・里親探し」といったサービスの記載がありました。しかし、今は引き受けていないというのが実情のようです。
捕獲は、動物愛護法違反?
B社の場合は、動物愛護法の関係で出来ない旨、回答をいただきました。
ですが、動物愛護法では、捕獲の禁止、規制をする条文はありません。
というのも、捕獲に禁止、規制があった場合、逸走してしまった飼い猫を捕まえる場合、野良猫を保護する場合、TNRのため捕獲が必要な場合、これらの行為ができなくなってしまいます。
仮に駆除のための捕獲はNG、保護のための捕獲はOK。とした場合でも捕獲の時点で、駆除するためか保護するためか判断をするのは難しいでしょう。いくらでも言い逃れできますから。
このため、捕獲後の扱いで問題があれば、動物虐待として、罰則規定を設けています。これらのことから捕獲自体に法的縛りはないのです。
捕獲後の動物の扱いついては、
- 怪我をさせた
- 餌を適切に与えない
- 劣悪な環境下での飼育
状況によっては、動物虐待に該当します。
しかし、法律上問題がないやり方で捕獲を行った場合、もしくは依頼主がすでに保護しており、その後の対応を依頼された場合、なぜ業者は引き受けないか疑問です。少し捕獲後のことを考えてみます。
保健所に持ち込むにも業者からの引き取りは拒否される
動物愛護法(動物の愛護及び管理に関する法律)では、犬及び猫の引取りについて第三十五条に記載があります。
第三十五条 都道府県等(都道府県及び指定都市、地方自治法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)その他政令で定める市(特別区を含む。以下同じ。)をいう。以下同じ。)は、犬又は猫の引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。ただし、犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして引取りを求める相当の事由がないと認められる場合として環境省令で定める場合には、その引取りを拒否することができる。
『犬猫等販売業者から引取りは、相当の事由がないと認められる場合、引取りを拒否することができる。』
とあります。便利屋などの業者を犬猫等販売業者と同一視はできませんが、商売としている便利屋などの業者からの持ち込みを保健所が引取りを拒否することは容易に考えられます。
となると、捕獲後にできることと言えば・・・里親などの譲渡先を探す必要が出て来ます。
捕獲は簡単でも里親、譲渡先探しは大変
例えば、庭で産まれてしまった子猫の捕獲はそれほど大変ではないと思います。また、糞尿被害をもたらす野良猫についても、箱罠をしかけて捕まったら依頼者から連絡を受けて回収に伺えばいいわけで途方もない労力がかかるというわけではありません。
しかし、捕獲の後に里親探しするとなると一気に大変な作業になります。野良猫を一時的に保護するスペースの確保が必要ですし、日々の餌代、糞尿の始末など毎日のことになるので大変な労力がかかるわけです。それに、里親探しはすぐに見つからない場合もあるわけで、その間の費用を依頼主に請求するにしても多額の費用がかかることになり、現実的ではないでしょう。
おそらくですが、里親探しまで面倒を見てくれる業者は、里親になってくれる方を事前に見つけておいて、捕獲後に速やかに引き渡せるようしてから作業を開始していると思います。
たしかに、里親が決まっていれば、捕獲して引き渡すだけなので、そこまで大変じゃなさそうだな。とも思うのですが、人馴れしていない野良猫を飼うのってとても大変です。夜鳴きはすさまじいですし、シャーの威嚇は長く止まないことだってあります。それから引き取った後に重大な病気が見つかった場合、多額な治療費がかかれば、お金の面でも何かしらトラブルがあってもおかしくはありません。
もし、捕獲した後に里親を探すにしても、里親を見つけてから捕獲→引き渡しとするにしても、簡単な話ではないのがわかるかと思います。ちょっと割に合わないな。という感じかもしれません。
遠くの野山に放すというのはダメ、遺棄に該当
里親探し、譲渡先探しが面倒ならその辺の野山に放してしまえばいいのでは?
という考えもあるかもしれませんが、動物愛護法の第四十四条 愛護動物の遺棄に該当し、違法行為となります。
たとえ野良猫であっても、生命・身体に対する危険に直面するような場所への移動はダメです。野山に放てば餌の確保ができるかわかりませんし、野生動物に狙われるかもしれません。車道が側にあるような場所は、車に轢かれてしまう危険があるかもしれません。そういった場所に野良猫を放すことはダメだと言っています。
それこそ昔は悪さをする猫を裏山に捨てるようなことはあったのかもしれませんが、現在の動物愛護法では動物の遺棄は虐待と考えられているので、できません。
捕獲はできないけど、猫よけ対策は請け負ってくれる
便利屋などの業者は、生活でのお困りごとを請け負ってくれるところが多いです。その一環で、猫よけの対策を請け負ってくれるところもあります。
対策方法については、
- 寝床や餌場の撤去と清掃
- 侵入防止のネット設置
- 超音波装置の設置
これらを行ってくれるようです。
費用については、大体1万円くらいが相場のようです。※広さや被害状況によって価格は前後します。
また、業者によっては、超音波装置の貸し出し費用を取る場合もあります。(月額1,000円など)
野良猫の捕獲を行う業者はあるかもしれないが、数少ないと思われる
以上のことから野良猫の捕獲、里親探しを行ってくれる業者は数少ないと思われます。管理人の推測になってしまいますが、ホームページを構えて運営してらっしゃる業者は、あまりやっていないんじゃないかな。どちらかというと、個人でやっていて、本当に「何でもやります!」くらいの業者じゃないとやっていないと思います。
とは言え、箱罠を使った捕獲ならそう難しくないし、里親も見つかっていれば容易いように思います(例えば近所の人が飼い主になってくれるなど)。ネズミ駆除よりよっぽど楽な気もします。猫は愛玩動物であり、動物愛護法のこともあるので、安請け合いをする業者はいないのが実情だと思います。