Coo&RIKUに関して、昨今は週刊誌の告発記事などでお店や会社の対応などに疑問や批判の声も少なからず聞かれます。当サイト宛てにも「Coo&RIKUの内部告発について何かご意見や考えがあれば教えてください」といったメールをいただくくらいです。(たくさん問い合わせがあったとかではなく、一通です)
管理人も週刊誌の記事は目を通させていただきましたが、双方の言い分が詳しく書かれているわけではないため記事の内容だけで判断するのは難しく思いました。
ただ、ここ最近Coo&RIKUの記事をいくつか投稿させていただいた経緯もあり問い合わせもあり、少し書いてみたいと思っています。ヤフコメ(ヤフーニュースのコメント欄)みたいな個人の感想を綴るような内容になると思いますが、お時間あれば目を通す程度にご覧いただければ幸いです。
※本記事は、以下の週刊誌の記事についての見解や感想になります。記事内の引用などはつけずに「これは」と思う部分について書き綴っていきますので、詳しい内容は週刊誌をご確認いただけると分かると思います。
デイリー新潮「ペットショップ「Coo&RIKU」(クーアンドリク)特集」https://www.dailyshincho.jp/spe/petshop/
AERA dot.(アエラドット)「Coo&RIKU社長の取材記事」https://dot.asahi.com/articles/-/207044https://dot.asahi.com/articles/-/207045
▼目次
- 店側の主張「治療費は払えない」はおかしい
- ご契約チェックリストの不備=契約が杜撰とは言い切れない
- 非情な対応とまでは言えないのでは?
- 元従業員が刑事告発を起こさないのが残念
- クーリクの顧客の約7割がアニコムの保険
- Coo&RIKU社長大久保氏のインタビューについて
店側の主張「治療費は払えない」はおかしい
デイリー新潮の以下の記事などで見受けられる店側の「治療費は払えない」という対応をされたという話がいくつか出てきます。
-> ペットショップ「クーアンドリク」の客が怒りの告発 買ったばかりの子犬が瀕死で入院中なのに…店長は「治療費は払えない、交換ならできます」
こちらで取り上げられている話では、購入後すぐに体調を崩して病院にかかったり、亡くなったりすることが綴られております。飼い主の立場からすると事前に病気に関して説明を受けていれば、承知の上で治療に臨んだりや気持ちの整理はできるかもしれませんが、病気の説明はなく元気な状態で迎え入れたと考えていれば店側の対応に不満を持つのは当然でしょう。
法律的観点からするとペットは物として扱われますが、一般的に人に商品を売るときは欠陥のない品物を売る義務があります。しかし、Coo&RIKUの『ご契約チェックリスト』には以下の項目があります。
「潜伏している可能性のある病気などについては現状でのお渡しとなり、お迎え後に出るリスク、また当社での治療費の負担は出来かねる説明はありましたか?」
といった内容ですが、契約書類に書かれていたとしても消費者に一方的に不利な条項は消費者契約法(第10条)によって無効となります。ただし、お迎えしたペットの病気が販売前に起因するものなのか、販売後に起因するものなのかで変わってきます。だから記事内でもあるように「うちにいた時は元気でした」といった店側の話が出てくるわけですね(暗に販売後に起きた問題と言っている)。たしかに与えていたエサが変わったり、生活環境の変化によって体調を崩すことはあります。それも飼い主がきちんと面倒を見なければ悪化する場合も考えられるので、一方的にお店側が全て補償するのはおかしな話というのもわかります。
このため、飼い主側としては購入した時からすでに病気を患っていた事実を提示する必要があるので、獣医師の診断書を取ってお店に購入代金の返還や治療費などの支払いを求めることになります。それでもお店側が応じない場合は、自治体の消費生活センターに相談したり、弁護士さんに間に入って対応してもらうことになると思います。
おそらくお店側もこうしたトラブルは年間何件も対応されていると思いますので、対応マニュアル的なものがあってもおかしくありません。契約書類に「病気があっても責任を負わない」といった条項を盛り込んでおき、それを盾に支払いを避けつつ、亡くなってしまっていれば生命保障制度で返金や交換といった対応を行っているのだと思います。
飼い主の中には納得できず泣き寝入りのような感じで引き下がる方もおられるのかもしれませんが、消費生活センターに相談して間に入ってもらったり獣医師の診断書をもって元々病気だった事実を突きつけられた場合には、否応なしに個別の対応を行っているのが現実だと思われます。
また、治療費に関しては全額補償は難しいのかもしれません。治療内容によっては高額な場合もあり購入代金の数倍になってしまうケースもあるでしょう。その金額を全てお店側が持つのが通例になれば潰れるまではなくとも全く儲からない商売になってもおかしくありません。誰もやりたがらなくなるかペットの販売価格が跳ね上がるものと思われます。(治療費請求の上限は、ペットの購入代金までが現実的だと思います)
ご契約チェックリストの不備=契約が杜撰とは言い切れない
前述に続き同じ記事内で、ご契約チェックリストの不備も指摘されていました。お店側の説明がなくチェックリストにチェックがないまま契約されたという内容です。
Coo&RIKUによれば「チェックシートの記載漏れは、弊社スタッフの記入ミスであると思われます」と回答されているので店側の主張が正しければ、説明はしていたがチェックするのを忘れていたというような話です。飼い主側は、説明がなかったので空欄にしておいたままだったと主張しているので噛み合いません。
飼い主側は、契約が杜撰だったことを示す証拠としてチェックリストに漏れがあったことを指摘していますが、記入ミスの可能性はありえます。このため記入ミスだけで契約が杜撰とまでは言い切れないかもしれません。(本当に記入ミスの話が正しければ)
もし、チェックリストにチェックがなかったことで説明義務を怠っていたと判断されてしまう事態になれば、店側はチェックリストを止めるでしょう。署名とサインを以ってご説明済みとする方式に変えると思います。
何より自分達が迎え入れるペットについての説明です。お店から説明が本当になかったとしたら契約完了する前に確認しないといけないと思います。別の記事でも「断ったはずの生命保障制度に加入させられていた」という話もありましたが、サインをしているのは自分です。お店が後から文言を追加して勝手に契約させているわけではありません。見ていなかった聞いてないで済まされないのはペットに限らず日常で起こることだと思います。
非情な対応とまでは言えないのでは?
Coo&RIKUの肩を持つわけではありませんが、非情とまでは言えないのでは。
-> ペットショップ「クーアンドリク」で買った子犬が「恐怖のウイルス」に感染して4日後に死んだ 飼い主の悲しみを踏みにじった店側の「非情な対応」
店員の対応が無責任だったと指摘されていますが、文脈を見ると責任者が不在でその場にいた店員が対応をされていたように読み取れます。店員は「僕たちじゃよくわからないんで」「お店では元気だった」「うちで罹ったとは言えない」とのお話ですが、たしかに応対がいいとは言えません。ただ、責任者がいない中でうかつなことを言えない店員の立場を考えると場当たり的な対応になっても仕方ないようにも思います。
トラブルやクレーム対応をされたことがある方ならわかるかもしれませんが、店員の立場だとできることが限られているんですよね。権限を持ってるわけではないですし。むしろ出来もしないことをその場で約束してしまったら取り返しのつかないことになります。余計なことは言えません。自分でできる範疇を超えていたら上席に確認して判断を仰ぐことしかできないと思います。
文中を見ると飼い主が怒り狂っている姿が目に浮かびますが、余計なことを言わなかった店員の対応はお店側にとっては無難な対応であったのかもしれません。
それから、店員と言ってもパートさんやアルバイトさんかもしれません。客からしたらパートだろうがバイトだろうが関係ないかもしれませんが、求めすぎるのも酷だと思います。
飼い主側からすれば、呆然としているだけ。責任を感じているようには全く見えない。と感じられたかもしれませんが、強い言葉を使い大声で怒り狂っている相手に対して上手く応対できる人の方が少ないと思います。それを非情な対応と題するのは少し誇張した表現ではないでしょうか。
元従業員が刑事告発を起こさないのが残念
元従業員の告発記事もありました。
-> 元従業員が告発 ペットショップ「クーアンドリク」の「ゴキブリだらけの繁殖場」で死んでいく子犬たち 杉本彩氏は「大量生産ありきで命を軽視している」
個人的にはこちらの内容が正しければ、動物虐待と判断されてもおかしくない状況だと思いました。
しかし、週刊誌に取り上げられておりますが動物虐待として刑事告訴、刑事告発をされているわけではないんですよね?なぜ元従業員の方は、紙面上ではなく本当の意味で告発を行わないのでしょうか?
なお、X氏とされる人物の発言について、Coo&RIKU側は全面的に否定されています。
腑に落ちない点として、刑事告訴、刑事告発をせずに週刊誌へ情報提供している点。証拠がないのかもしれませんが、今でも同じような状況下におかれている可能性があれば、何かしらアクションがあってもいいと思いました。X氏の発言が正しければ野放しにしておく方が問題だと思います。
さらに付け加えれば行政の動きはないのでしょうか?この話が事実であれば、行政の立ち入り検査があってもおかしくありませんし、検査の結果次第では行政指導も免れないでしょう。現状、そこまでの話は出てきていない所を鑑みると、クーリク側が行政に報告している飼育頭数や死亡頭数に異常が見られるということはないのだと思われます。
クーリクの顧客の約7割がアニコムの保険
Coo&RIKUの問題は提携先の保険会社まで波及しています。
-> クーアンドリクの動物虐待疑惑に業界内から“反旗” 「過去32人を出向」”蜜月関係”だったペット保険会社が調査を開始
個人的に驚きだったのは、クーリクの顧客の約7割がアニコムの保険に加入していること。クーリクの年間販売頭数は、50,000頭と言われていますのでその7割であれば、35,000頭。もしくは、クーリクで保険加入をされる方の7割と考えれば、それより少ない数字かもしれません。
AERA dot.(アエラドット)のCoo&RIKU社長の大久保氏のインタビューでは、パルボウイルス感染の事例について損害保険会社から取り寄せたデータをお話する一幕がありますが、その際「保険に入っていない方もいるので、3割増し程度で聞いていただければと思います」とあります。この話を裏付けにすれば、ペット購入者の7割程度は保険加入していることに。そのうちクーリクの顧客の約7割がアニコムの保険と言う話を踏まえると、クーリク経由のアニコム保険加入者は、推定年間25,000頭程度になると考えられます。(幅を持たせれば20,000頭~30,000頭くらい)
アニコムからクーリクへ多額の手数料の支払いはあると思いますが、新規の保険加入を毎年25,000頭程度を安定して増やせるのは相当なリターンが見込めるというものでしょう。まさに『蜜月関係』だと思いました。
なお、アニコムホールディングス(アニコム損害保険株式会社の親会社)の決算資料(前期)を見ると保有契約数は、1,113,144件(前期末から84,313件の増加・同8.2%増)、新規契約獲得件数が21.8万件超と記載がありました。クーリク経由の新規加入数が多く含まれているのが分かると思います。
このような状況下でアニコムホールディングスでは、子犬・子猫の販売に関するトラブルの情報提供窓口の設置、保険業界・ペット業界・獣医療業界等に精通した専門家を外部アドバイザーとして設置するなど多面的な調査・確認を始めています。どのような調査結果になるのか注目したいと思います。
Coo&RIKU社長大久保氏のインタビューについて
最初に思ったのは、よく取材に応じたなと。これまでもネット上で評判を悪く書かれてしまうことは幾度となくあったと思いますが、デイリー新潮の記事とSNS上での活発な議論、業績に影響するほどのダメージだったのはインタビューの中でも語られています。事実でない部分はきちんと反論を出さなければいけないというのは、多くの従業員を抱える経営者として忸怩たる思いだと思います。
インタビューの内容については、かなり言葉を選んでいるなというのを感じました。様々な質問を想定して誠実に答えられるように準備されてきたような印象です。いくつか気になる点はありましたが、読み手によって印象が変わる部分もあったと思いますので、気になる方は記事を読まれることをおすすめいたします。
少し違うかなと思ったのは、ペットが亡くなった際の少額短期保険の話。亡くなった場合に金額返金ができるようにしたいと語られておりますが、消費者が保険に入って保険金で購入代金を補填するという話ではなく、健康状態に問題のある犬猫を販売した側に責任があるので全額保証は店側が責任を負うべきと消費者は考えていると思います。少額短期保険に店側が自主的に加入し、その保険でおりたお金で消費者に補填するような話だったら非の打ちどころはないと思いますが、これって消費者が購入時に少額短期保険に入れるようにするって話ですよね?少しずれているような。
それから「ペットショップはなくなったらいい」という発言。2016年に100店舗、2021年に200店舗、現在は220店舗以上と出店数を増やしています。発言と出店数の増やし方は相反するように感じてしまいますが?なぜペットショップはいらないと考える経営者が出店を推し進めているか質疑があればよかったなと読んでいて思ってしまいました。
勝手な深読みをさせてもらうと、次回の動物愛護管理法の改正でペットショップの展示販売にメスが入る可能性も考慮されているのでは?だからブリーディング事業に投資をされていて繁殖場も増やし、自家生産の犬猫販売に切り替えている。仮に次回の動物愛護管理法の改正で何かしら規制が入った後でも他のペットショップにはできないペット販売の方法を取れるように準備をしている。準備を進めているからこそ、ある意味本音でこうした発言ができるのではと思いました。
以上になります。動物愛護管理法の話で言えば次回の改正に向けてそろそろ議案が出始める時期だと思います。なぜこのタイミングでCoo&RIKUの問題が持ち上がったのかも疑問ではありましたが、ペットショップの展示販売、生体販売の反対派からすれば議論を進めるいいきっかけだったとも言えるかもしれません。