高いところから降りられなくなった猫を大勢の人が見守る中、救出される。このような救出劇は、テレビなどで観たことがある方もおられると思います。他にもご近所で野良猫をよく見かけるような地域では、木やフェンス、屋根上に上っている姿を見かけるかもしれません。(降りられなくなることは稀ですが)
管理人も子猫が家の外構に登ってしまい、1.5m程度の所でしたが降りられないというか、じっと固まって身動きとれなくなっているのは見かけたことがあります。(少し足場が悪く、狭い場所で硬直してるような感じ)その時は、怖がらせないように後ろからそっと抱えてあげて、下ろしてあげようと思ったのですが、手を伸ばしたら自分でジャンプしてしまいました。怪我はなく元気よく走り去って行きましたが、後ろから忍び寄るような近付き方が逆に怖がらせてしまったようです。(無事で何より)
近所の野良猫達の様子を見ていると、成猫はよっぽどのハプニングがなければあえて危険な高さの場所までは上っていきません。それこそ寝ていた所に突然車が走ってきて、びっくりして近くの木の上にダッシュで駆け上るとかそれくらいです。むしろ、子猫の方が心配になることが多く、外構もそうですが、屋根上に上ってしまった子猫はちゃんと降りられるのかと思うところです。行動範囲が広がり、好奇心旺盛な時期の子猫の方がありそうなケースだと思います。
猫はなぜ高いところから降りられなくなるのかをまとめてみました。
▼目次
- 猫は高い所が好き、だから登る
- なぜそんな高い所まで登ってしまうのか?
- 余談、犬は高いところが苦手
- 降りられなくなった猫を放置したらどうなるのか?
- 猫は高い所から降りるのは苦手
- 自分で降りるのと、落ちるのは違う
- 飼い猫は、自分で降りられないことを学習しない
- 高いところから降りられない猫を見つけた時にやるべきこと
猫は高い所が好き、だから登る
猫にとって高い所は、自分の縄張りを見張れるし、地上の外敵から身を守りやすいし、ケンカになれば高い所を取った方が有利。鳥などの獲物を捕まえようと思ったら高い所から狙うことも必要です。また、猫の祖先であるリビアヤマネコが薄暗い穴の中や木の上で生活していた名残もあり、今でも猫にとって高い所は安心できる場所と言えるのかもしれません。
高い所が好きかどうかは本当のところわかりませんが、そういった場所に利点を感じての行動を取っているのは確かなんだと思います。
なぜそんな高い所まで登ってしまうのか?
猫の普段の生活の中で、自分で降りられなくなる程の高さまで上ることはありません。おそらく、何かに夢中で気付いたら自分でも降りられなくなるような高さまで来てしまった・・・というところでは?野良猫であれば、蝶々を一所懸命捕まえようとあっちに行ったり、こっちに行ったりってやっています。トカゲにしても前足をバッと伸ばして捕まえようとしていますが、逃げられてしまえばその繰り返し。気付いたらちょっと普段では行かないような場所まで入り込んでいたなんてこともあります。
木の上に上るにしても「降りられるか?」はあまり考えていないと思います。アクシデントやハプニング、何かに夢中になって高い所まで来てしまい、あれれ?これは降りられそうにないぞ。。ということがありそうです。
余談、犬は高いところが苦手
ワンちゃんを飼っている方ならわかると思うのですが、毛をカットするにしろ、診察をするにしろ、高い所に乗せてあげた方がおとなしくなります。トリマーさんなんかがカットする時、高い台に乗せてあげているのはこのためですね。
犬は、進化の過程で前足の鎖骨がなくなり、前足を上に上げられません。飼い主の方はご存知だと思いますが、前足だけを持って持ち上げたりすると痛がって嫌がりますよね。
犬自身も自分の身体能力はよくわかっているので、高い所から降りたら怪我をするかもしれないことをよくわかっています。もし、高いところから落ちようものなら、可動域が狭い前足は着地の衝撃を上手く逃がしてあげることができません。前足が耐えられなければ足を広げて胴体から着地することになります。かなり痛い思いをするし、怪我をする危険性もあるので犬は高い所が苦手です。
降りられなくなった猫を放置したらどうなるのか?
そのまま降りられずにひっそりと・・・は、ないと思います。だって、木の上で死んでいる猫っていませんよね。
なかなか降りてこない様子を見かけても本当に危機的状況でなければ、焦らなくてもいいのかもしれません。猫は猫なりにゆっくり時間を掛けて、なんとかうまいことやって降りているのだと思います。
何時間も降りられない、鳴き声で助けを呼び続けている状況でなければ、なんとか自分で降りてくるものなのだと思います。(人がたまたま見つけただけで、人に見られず困っている時でも猫は自分でなんとかしているので)
猫は高い所から降りるのは苦手
人や猿は、高い所から降りる場合、足から降りる(登った時と同じ姿勢で降りる)ことができます。しかし、猫の場合はこれができません。後ろ足からゆっくり一歩ずつ降りていくができません。
猫の視力は、はっきりと物が見えるのが、2~7m。動体視力には優れていますが、視力自体は人間の10分の1程度と言われます。近距離や遠くのものはあまりよく見えていないと考えられていますが、じっと対象を見ることで20m程度のものは距離感をかなり正確に測ることができると言われています。この辺りは狩りの上手な猫の特性とも言えますね。
自分の足元を見ながら安全と思われる場所に後ろ足を置いて、一歩ずつゆっくり降りるという動作ができないので、お尻からではなく頭から。幹を伝って滑り落ちるような降り方をします。意気揚々と上った時は、前足のかぎ爪でしっかりグリップすることができますが、降りる時はかぎ爪も役に立ちません。高い所からずり落ちるような降り方になるので、降りられなくなることが多いようです。
自分で降りるのと、落ちるのは違う
猫はかなり高いところジャンプして飛び降りることができます。ビルの3階くらいの高さなら猫は怪我せず降りることができると言われたりするので、およそ5~6メートル前後の高さは大丈夫なんでしょう。(猫の体重や年齢、条件はあると思いますが)
ただし、自分の意思で降りるのと、予期せず落ちるのは違います。自分でジャンプすれば着地もうまくいくような高さでも、足を踏み外して落ちるとか、角を上手く曲がれずに落ちるとかだと上手く着地ができず、骨折したりお腹を強打して内臓を損傷するようなことがあります。
猫は夜目は効くと言われていますが、夜中であればなおさら上手く着地できないことがあるかもしれません。
飼い猫は、自分で降りられないことを学習しない
例えば室内飼いの飼い猫でも、カーテンレールの上に上って降りられなくなる。それも何度も。
こうした場合、猫がどうするかと言えば、鳴いて飼い主を呼ぶ。そうすると、飼い主は手を伸ばすか脚立でも使って安全に下ろしてあげるのですが、これを学習しているので自分で危険を冒してまで降りません。
その場所に上ると自分で降りられないことの学習はしませんが、降りられなくなったら助けてくれる事を学習しているので、その猫はその上に上ることをやめません。
高いところから降りられない猫を見つけた時にやるべきこと
手を伸ばして助けてあげられる高さであればいいのですが、ある程度の高さとなると自分も危ないですし、上手く助けてあげられるかはわかりません。
近くに脚立があればいいのですが、上手い具合になければ誰かの助けを呼ぶのがいいのだと思います。
テレビなどで取り上げられる猫の救出劇だと地元の警察や消防の方が手助けしてくださっているのを見かけますが、それもどこまでやってくださるものなのかはその時々によりそうですね。
助けを呼ぶにしても、110番119番は人命優先の緊急番号なので控えた方がいいです。身近なところだと消防署の方がいいと思うのですが、消防の任務も消火活動、救助活動、救急業務、火災予防、危険物規制、その他の災害への対応です。救助活動と言っても人命の救助活動なので、動物の救助はそれこそその時々の状況によると思います。(動物を救助していて、人命救助が出来なかったなんてことがあれば責任問題になりますからね)
ご近所に動物愛護のボランティアの方がいれば、協力をお願いするのも良さそうですし、町内会などの自治会があればそちらに相談をするのもいいかもしれません。救助が難しい状況でも地面にマットを敷いておいてあげるとか、ダンボールなどを積み上げて着地できるような台を作っておいてあげるとかでも少しは助けになるかもしれません。(人が集まっている状況に怖がって降りてこれなくなる場合もありますので)
高さや状況によって異なるとは思いますが、自分ひとりで難しければ身近な人に相談をして、助ける方法を考えることになるのだと思います。
以上になります。昨今では、救出劇を動画で撮影し、動画投稿サイトやSNSにアップする人もいるため、動物の救出劇の映像を目にすることも増えました。でも、これらを見ていて思うのは、撮影している人は手助けしていないんですよね。誰しもが救助行動を取れるかは難しいと思いますが、情報発信者(撮影者)が救助行動をしていないことは事実だと思います。撮影の目的に注目されたり、お金の目的が含まれているかもしれないことを考えると複雑な気持ちになるものです。