殺鼠剤を食べたネズミを猫が食べたらどうなるか?

 自宅やご近所で殺鼠剤が撒かれていて、その近くで飼い猫や野良猫がネズミを食べてしまっていたら・・・

おそらく大丈夫だろう。と漠然と考えながらもネズミが死んでしまうような有害な物。毒性に詳しくなくても心配になります。

 先に結論からいきますと、殺鼠剤を食べたネズミを誤って猫が食べてしまったとして、中毒症状を起こしたり中毒死することはありません
ただし、そのようなネズミを何十匹も食べてしまうことがあったら、殺鼠剤の種類によっては、中毒症状を起こすことがありえます。
ですので、中毒死することがないというのは、ネズミの体内に蓄積されている毒物では、中毒症状を起こしたり、中毒死する程の量がないということです。

恒常的に殺鼠剤が撒かれ、そのネズミを毎日のように捕食するような猫でない限り、中毒症状を起こし、中毒死に至るケースはほぼないと思います。

それにもし、殺鼠剤を食べたネズミを猫やカラス、イタチやキツネなどが捕食したとして、それらの動物が変死をするようなことがあれば、ニュースや事件として取り上げられているのではないでしょうか。
そういったニュースや事件は耳にしませんし、二次汚染に繋がるような事例は数少ないのではないかと思います。(イタチに二次毒性が生じたケースはあるようです)

ネズミを捕獲するネコ

殺鼠剤の種類

殺鼠剤には、即効性の毒と遅効性の毒があります。

即効性の毒は、ネズミが食べた後、体内で猛毒な物質に変化し、その毒性で死滅させるもの。
駆除剤に含まれる成分の代表的なものは、リン化亜鉛。

遅効性の毒は、ネズミが何度も食べることで、徐々にその毒が体内に蓄積され、やがて死をもたらすというもの。
駆除剤に含まれる成分の代表的なものは、クマリン、ワルファリン。

即効性の毒(リン化亜鉛)

リン化亜鉛は、体内で水と反応し、リン化水素を発生させます。このリン化水素が猛毒で、中枢神経を犯し呼吸困難にさせます。
ネズミの致死量は、わずか数ミリg。ヒトの最小致死量も4~5gと言われており、製剤では劇物の扱い。

殺鼠剤に含まれるリン化亜鉛の含有量は、0.8%~1.2%程度。ネズミであれば殺鼠剤を1g食べてしまえば致死量となる。
(ヒトの場合、致死量となるには約300gの殺鼠剤が必要)

また、ネズミの体内で分解されるため、二次中毒は起こりにくい。リン化亜鉛系の殺鼠剤を食べたネズミであれば、猫が食べてしまったとしても問題が起きることはないでしょう。

 市販品のメジャーどころは、メリーネコリン化亜鉛、スーパーラットバスター(PCO用メリーネコP)、ダンクローデン。
致死量についてダンクローデンの製品説明に以下があります。

[ダンクローデンGAの各種動物への最小致死量]
ドブネズミ
(200g)
クマネズミ
(150g)
ハツカネズミ
(20g)
イヌ
(10kg)
ネコ
(2.5kg)
ニワトリ
(1.5kg)
0.6g 0.4g 0.1g以下 40g 10g 4g

※()内の数字は動物の体重
※リン化亜鉛の含有量1%と記載

出展元:大丸合成薬品株式会社「ダンクローデンGA製品説明(PDF)」 大丸合成薬品株式会社

遅効性の毒(クマリン、ワルファリン)

クマリン系(ワルファリン)は、血液凝固阻止作用、毛細血管損傷作用があり、蓄積することで中毒症状が発症する。摂食開始後、2~3日程度は特に変化はなく、4~5日で内出血を起こし、貧血症状に似たような症状を起こす。

殺鼠剤に含まれるクマリン系の含有量は、0.05%~1%と製品によって様々(0.1~0.2%の含有量の物が多い)
0.1%の含有量の殺鼠剤の場合、ネズミであれば10g程度を5日間連続して食べさせれば致死量となる
(ヒトの場合、致死量となるには含有量0.1%の殺鼠剤で約3000gが必要)

※厳密に言えば、オス、メスの違いやネズミの種類によっても差異がある。

市販品のメジャーどころは、デスモア、メリーネコPC2。デスモアは500円程度(30g×4)、メリーネコPC2は3000円程度(1kg)で販売されています。

また、ネズミの体内に吸収されるため、二次中毒の可能性がある

ネズミを捕獲するネコ2

二次中毒の可能性(遅効性の毒)

殺鼠剤を食べてしまったネズミの体内にどれくらいの量の毒物が残っているかがわかれば、どのくらいの量のネズミを食べたら中毒症状を起こすのかわかる。

が、どれくらいの量の毒物が残っているのか、おおよそでも把握するのが難しい。

殺鼠剤の摂取量 ←致死量から見積もれる
消化後、体内に吸収した量 ←蓄積系の為、100%吸収と仮定すれば見積もれる
代謝・排泄した量 ←把握困難
時間経過による毒性の減退 ←把握困難

例えば、極めて乱暴に、5日間毎日10gの殺鼠剤(毒物含有量0.1%)を摂食したとして、全て体内に蓄積されていたと仮定すると、

殺鼠剤を食べた量
10g×5日間=50g

10gに含まれる毒物の含有量
1g=1000mg
50g=50000mg
(殺鼠剤を食べた量)

食べた殺鼠剤に含まれる毒物の量(毒物含有量0.1%)
50000mg×0.1%=50mg

殺鼠剤を食べたネズミの体内に含まれる毒物の量は、50mgと仮定できる。(極めて乱暴な計算ではあるが)

そして、これまた乱暴な計算にはなるが、ネズミと猫の体重差は、20倍~30倍程度。(ネズミ100g~300gに対して、猫は3.5kg~4.5kg)

猫の蓄積による致死量を体重で比例すると仮定したならば、殺鼠剤を食べたネズミを毎日1匹、継続して20日~30日食べないと致死量に達しないことになる。

もちろん、極めて乱暴に仮定した結果であることから、実際は、ネズミ1匹を食べたところで毒物の蓄積量は足りないかもしれない。

こういった仮定から考えてみても、殺鼠剤を食べたネズミを猫が食べてしまったとして、中毒症状に至ることはかなりの低確率であることが分かる。

追いつめられるネズミ


殺鼠剤を食べてしまったネズミを他の動物が食べてしまったところで、中毒症状になることは考えにくく、毒劇法や農薬取締法の法規制もあり、二次汚染はしづらいように製品化されていると思われる。
やはり、殺鼠剤を直接摂食しない限りは、中毒症状を引き起こすことは考えにくいと言えるようです。


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