犬猫にネギ類はダメ。というのは飼い主でなくても耳にされたことがある方は多いかもしれません。
ネギ類は犬猫にとっては毒で、血液がぶっ壊れるので食べさせてはいけないというものです。
野良猫の被害に遭われている方の中には、この作用を悪用して野良猫の駆除に用いたり、猫よけに使うことができないか、と考えてしまう方もおられるかもしれません。加えて、こういった行為は動物愛護法における虐待にあたりますし、世間一般の目から理解されないもの、というのはわかっていると思います。それでも、野良猫による被害がその人にとって苦痛であり、それが継続的である場合、普段では思いもつかない悪い事が頭によぎってしまうことがあるのだと思っております。
いい悪いの話ではなく、客観的に見て猫よけや駆除に使えるのかをまとめました。
※玉ねぎを使っての駆除や猫よけを、推奨したり作り方を指南するようなものではありません。※不適切で問題のある内容が散見される場合、その箇所をご指摘いただけると助かります。
▼目次
- 玉ねぎ中毒について
- 玉ねぎは猫よけに使えるか?
- 玉ねぎを少量食べさせても問題がない
- 獲物を捕らえてありつく時の行動を考える
- 玉ねぎを野良猫の駆除に使うのは、倫理的にも法令的にも現実的でもない
- もし玉ねぎ入り毒団子を作ったとして、ご近所に知られずできますか?
症状
どのくらいの量が危険か
症状が出るまでの時間
誤飲させてしまったらやるべき事
玉ねぎ中毒について
玉ねぎ(長ねぎ、にんにく、にらなど)に含まれるアリルプロピルジスルファイドという成分が、赤血球を破壊することによって貧血や血尿を引き起こすと言われています。
症状
一般的に言われる症状は以下の通りです。
- 貧血(息切れ、ふらつき)
- 血尿や褐色尿
- 目の結膜や歯茎が白くなる
- 嘔吐
- 下痢
玉ねぎに含まれる一部の成分により、赤血球が破壊(溶血)されてしまうことで、赤血球が身体から少なくなります。赤血球は、酸素を運ぶ役割を担っているのでこの機能が落ちることになります。
その結果、体中に酸素が十分に行き渡らなければ、息切れや動悸、ふらつきを起こします。(貧血の症状)
破壊された赤血球は、循環する血液から除去しないといけなくなりますが、これは老化した赤血球の分解と同様に必要なことです。一時的にそれらが増えれば、血尿や血色尿に繋がるし、赤血球が過剰に喪失されれば貧血となり目の結膜や歯茎が白くなることにもつながります。加えて、減ってしまった赤血球は、新たに作らなければいけなくなるわけですが、免疫が急激に働くような体内の大きな変化は、疲労やめまい、嘔吐や下痢にもつながりかねません。このような理屈から症状があらわれるということです。
※詳しい情報は、医学系の情報サイトや文献にてご確認ください。※あくまで、管理人が理解したことを整理したものです。
どのくらいの量が危険か
1kgあたり、15~20g程度で中毒症状を引き起こすと言われています。大人の猫の体重は、4kg程度なので、70、80gの量が危険と考えることができます。
ただし、個体差が大きいとも言われており、一欠片食べてもダメな子もいるし、かじりついてしまっても大丈夫な子もいるようです。
※詳しくは、大学等の研究論文や獣医師による見解をご確認ください。あくまで一般的に言われている数値です。
症状が出るまでの時間
前述の通り、赤血球の破壊に伴う症状なので、体内に吸収されてから起こります。
急性的な症状であれば、半日以内。一般的な症状であれば、1日から数日内。
誤飲させてしまったらやるべき事
それ以上は食べさせないこと。少量の誤飲であれば様子を見てあげて、血尿や褐色尿の疑いがなければ食事に気を付けてあげればいいようです。
また、誤飲後すぐに発見ができた場合、吐き出させることやまだ体内に吸収されていないと分かれば胃洗浄といった処置があるようです。
野良猫の場合、様子を見てあげること自体が難しいかもしれませんが、明らかに不調をきたしている様子が見受けられたら獣医師の判断の元、治療にあたるのがいいのだと思います。
玉ねぎは猫よけに使えるか?
玉ねぎを猫よけに・・・と考えた場合、猫が玉ねぎの匂いや味を嫌がるかという話です。
しかし、玉ねぎを誤飲する場合もあるくらいですし、生ゴミなどの残飯にも玉ねぎを含んだものはありえます。でもそれ、食べちゃうんですよね。玉ねぎが含まれているから、玉ねぎの匂いが嫌だから、味が苦手だからという理由では避けていないと思うのが普通です。
仮によく居座られてしまう場所に玉ねぎをまるっと置いといたとして、逃げ出す光景を思い浮かべる方が難しいのでは?
では、すりおろした玉ねぎを撒いておけば、玉ねぎを水に溶かしてスプレーしておけば、と考える方もいるかもしれませんが、一時的な猫よけになる可能性はあるにせよ、慣れてしまえば気にしない猫の方が多そうです。(地面が濡れているのを嫌がる子はいそう)
それから、ネットに玉ねぎを入れてよく来る場所付近に置いておいたとして、しばらくして腐っていてその腐臭を嫌がり寄り付かないということがあるかもしれないくらいです。
もし本当に試すとすればを考えると、
玉ねぎの茶色皮も中毒症状を引き起こす成分は含まれているようです。皮なら腐りにくいでしょうし、私達も食べない部分なので再利用に良さそう。それらをネットにでも入れて、ぶら下げておくなどの手はあるかもしれません。
玉ねぎを少量食べさせても問題がない
猫好きの間では、絶対に食べさせちゃダメ!と言われており、玉ねぎは水分に溶けやすいし、熱しても毒になる成分はなくならないので、玉ねぎを含んだ食べ物も注意が必要と言われます。玉ねぎは、ハンバーグ、シチュー、肉じゃが、味噌汁などに使われたりしますので、注意を払う飼い主は多いです。
一方、野良猫と言えば、餌やりする人が猫の健康を気遣って食材を選ぶかと言えば、全員がそんな考えは持っていないと思いますし、残飯を与えてもらっている野良猫も多いと思います。管理人の近所の餌やりする人達は、キャットフードもありますが、食パンやおにぎり、肉まんをちぎったもの、ねこまんま的な味噌汁かけなどバラエティーに富んでいます。おそらくその中には、玉ねぎや長ねぎ、にんにくが一切含まれていないということはなく、少量であれば普通に食べてしまっていると思います。(目立った症状を見かけることもなく普通に生活しています)
それに野良猫ってヤワじゃありません。野良猫は出産すると4、5匹産まれたりしますが、その中で成猫まで生き延びれるのは1匹程度です。弱い個体は淘汰されています。免疫もそれなりに備わってなければ生きていけません。
玉ねぎを少量与えたくらいでは、多少の不調があったとしてもしばらくすれば元気に歩き回ります。玉ねぎで心配するくらいなら除草剤や害虫駆除剤、交通事故の方がよっぽど深刻で心配だったりします。
玉ねぎを野良猫の駆除に使うのは、倫理的にも法令的にも現実的でもない
さて、玉ねぎを野良猫の駆除に使うことを考えた場合、駆除=その場からいなくする。ということだと思います。玉ねぎを食べさせて、重篤な症状を引き起こさせ、不審死させるという方法になると思いますが、現実的でしょうか。
中毒症状を起こさせるとして、玉ねぎ半個くらい必要です。(1個200gとして、その半分の100g)ただ、それも中毒症状が起きるかもしれない量で、重篤な症状を引き起こさせようとしたらもっと必要かもしれません。
玉ねぎ単体で考えたら、猫の食いつきがいいはずもなく、目の前に置いておいても手を付けない猫の方が多いと思います。そうなると猫が好む食べ物に混ぜ込むことになるわけですが、それだと玉ねぎは少量しかいれられません。玉ねぎ半個の量を食べさせようとすると相当な量を食べさせることになるわけですが、そこまで空腹でがっつく野良猫自体が少ないと思われます。(餌をある程度確保できている野良猫だと平気で餌を残します。キャットフードだって少し食べて残りは放置なんてよく見かけます)
本気でこの方法の駆除を考えたら、玉ねぎ入りの餌を毎日、継続して食べさせる必要がありそうです。
また、倫理的には言わなくてもわかりますが、おかしい事ですし、周りの人からしたら怖い事です。もちろん、動物虐待は犯罪です。犯罪者が近所に住んでいるのは、付近の住民の方からしたら恐怖しかありません。
もし玉ねぎ入り毒団子を作ったとして、ご近所に知られずできますか?
仮にですが、玉ねぎ入り毒団子を自分の敷地内に、ネズミの駆除と称して置いていたとします。それを野良猫が誤飲して、中毒症状を引き起こしてしまったとすれば、それは罪に問われないかもしれません。(猫を駆除するために意図的に毒団子を設置していたかの証明が難しければ、動物虐待で立件するのは難しいと思われます)
しかし、敷地内とはいえ、継続的に毒団子を設置していた場合、野良猫の出入りが多くなります。例えば、お隣さんが気になって猫の様子を見ているかもしれません。
もし、警察の捜査が行われるくらい問題が大きくなってしまった場合、住民からの情報提供にあなたの名前が上がる可能性は十分に考えられます。あなたが捜査対象になり、結果、嫌疑不十分だったとして、その後、今お住まいの地域で色目で見られ、住みづらく過ごすことになるかもしれません。
ご近所さんに知られずに行う必要があると思いますが、そんなこと可能でしょうか?お隣さん、犬の散歩をする方、通勤、通学で家の前を通る人。目撃情報は、いくらでもありそうです。
玉ねぎを使った猫よけは現実的でなく、駆除にしても致死量を食べさせることは難しいと思われます。また、少しずつ食べさせて弱らせようと考えたところで、猫の不調がご近所さんに知れたら疑いの目で見られる可能性も高いです。倫理的にも受け入れられる事でもなく、法令的にも許される事でもありません。それでも・・・というならば引き留めるのは難しいかもしれませんが、周囲に配慮した方法を考えるのがいいのでしょう。(管理人)