ペットショップの展示販売が反対される理由と問題点の考察

 昨今、ペットショップの生体販売に関して反対の考えを持つ方も多くなってきたと思います。とりわけ狭いショーケースに入れられ、さらされるように展示される販売方法には疑問を呈する方も少なくないのではないでしょうか。

たしかに、狭い箱に入れられ人目にさらされ、明るい店内の中で長時間過ごさざるを得ないことを考えると動物の気持ちは察するに余りあります。

欧米の一部の国や州では、ペットショップの展示販売は禁止されているところもあります。
外国の動物愛護に関連する法律ついては、動物福祉の観点や流通過程の問題などを契機に法整備が行われてきた背景がありました。
一方、日本国内ではペットショップの展示販売の規制はされていませんが、動物愛護法の改正に伴い生体販売の規制を強化しているのが昨今の流れです。

動物愛護家の間では、展示販売に反対される方は多いと思います。動物のストレスのことや衝動買いの助長、ペット流通の事情なども踏まえ様々なご意見があると思います。
本記事では、ペットショップの展示販売が反対される理由を整理し、展示販売の疑問や倫理的問題点などをまとめて考察をしてみました。

▼目次

  1. ショーケースに安定供給するため過密繁殖(パピーミル)を助長
  2. 流通過程で死亡する動物は少なくない
  3. 幼齢個体の販売における健康と行動のリスク
  4. 衝動買いの助長と不適切飼育や遺棄の問題
  5. 売れ残った動物の扱い、処分方法の不透明さ
  6. 狭い環境下でのストレスと発育への悪影響
  7. 散歩も躾もしてもらえない?
  8. 狭い場所に閉じ込められて可哀想?
  9. 命ある動物が値札をつけてさらされることへの倫理的な問題
  10. ペットショップの展示販売はダメで愛護団体の展示譲渡は良いの?
  11. 犬猫サイドは、狭い場所が嫌なのか餌の心配や外敵のいない安全な場所に満足なのか?

ショーケースに安定供給するため過密繁殖(パピーミル)を助長

ショーケースに展示して販売することを考えると犬猫が不在では成り立ちません。売れたら補充をしないといけません。販売側は在庫を抱えていないといけません。

仮にゴールデンウィークや夏休み、冬休みといった大型連休がペットショップにとって繁忙期だったとしましょう。この場合、この時期はいつもより多く犬猫の在庫を抱えておいた方がいいわけです。このためブリーダーもペットショップの需要に合わせて繁殖を行うことになります。ブリーダーにとっても売れる時期に商品を多く抱えておくことは商売を考えたら当然の話なわけです。

このように展示販売の方式だと少なからず余剰在庫を抱える必要が出てきます。在庫を確保しておくために繁殖業者も必要以上の生産、余剰生産が求められることになります。

そして、必要以上の生産、余剰生産が行き過ぎれば過密繁殖(パピーミル)のような劣悪環境の中での繁殖を行う業者も少なからず出て来てしまうということです。

流通過程で死亡する動物は少なくない

流通過程で亡くなる犬猫も少なくありません。
2018年の朝日新聞の調査では、国内で繁殖・販売されていた犬猫のうち約2万6千匹が、繁殖業者やペットショップのもとにいるうちに死んでいたとのこと。(流通量の約3%)
昨今も犬猫の飼育頭数に大きな増減はないため、2018年と近い頭数が亡くなっているものと思われます。
また、環境省公表の令和6年度の犬猫の殺処分数は、2,950頭。現在は流通過程で亡くなる数の方が上回っていると考えられます。

このように流通過程で亡くなる犬猫の数が約2万6千匹もいるのを聞くと大変な数だと感じます。加えて悪質な業者が死亡数の報告義務を怠っている可能性も考え出したら最低でも約2万6千匹(2018年時)と考えても差し支えないでしょう。

しかしながら繁殖業者も商売です。ロスばかり出していたら成り立たないのも事実です。流通過程で亡くなってしまう多すぎる数を聞いてしまうと穿った見方をしたくなりますが、一部の悪徳業者を除き多くの繁殖業者はルールを守りロスを出さないように繁殖や販売を行っていると考えるのが自然だと思われます。

幼齢個体の販売における健康と行動のリスク

ペットを求める消費者は幼犬や幼猫が好みです。小さくて可愛いぬいぐるみのような子を欲しがります。
このためペットショップに展示される犬猫は、幼犬や幼猫ばかりです。現在は動物愛護法が改正され生後56日(8週齢)を超えるまでは販売および展示をできなくなりましたが、2016年8月までは45日齢、2021年5月までは49日齢の販売・展示が可能でした。

ペットショップで買い求める飼い主からすれば幼犬や幼猫は可愛らしく、一から育てられる感覚も求める動機の一つかもしれません。
しかし、社会化期(生後1ヶ月~3ヶ月頃)を待たずして親から引き離されてしまった場合、母乳から得られるはずの免疫力、親兄妹など他の動物との関わり方や生きていくために必要な学習、この時期に必要な様々な物事に慣れる機会が失われます。成長後の問題行動や病気のリスクにもつながると考えられているのも事実です。

ペットショップの中には社会化トレーニングを行うお店もありますが、現状は一部のお店に限られると思います。

ペットショップ「ペットStep」の社会化トレーニング
https://www.petstep.jp/petlife.htm

衝動買いの助長と不適切飼育や遺棄の問題

ショーケースでぬいぐるみのように可愛らしい仕草で動き回る子犬や子猫に、愛おしさを感じてしまうことはありますよね。気になって店員さんにお話を伺えば「抱っこしてみますか?」ということもあったりします。そして、抱っこしてみて温もりを感じ子犬や子猫も自分に懐いているような感じがしたら・・・連れて帰りたくなる気持ちになってしまいます。

もちろん、お世話の大変さや生涯にかかる費用など十分に理解している飼い主であれば問題はありません。
しかし、飼育に関する十分な知識がない方が衝動的に欲して購入してしまった場合、飼育放棄につながるケースが少なからずあるわけです。

衝動買い自体が悪いという話ではありません。責任を持って最後まで飼うことができない人が少なからずいることが問題です。

衝動買い -> 不適切飼育、遺棄に直結するのであれば展示販売が元凶ということになりますが、基本的には販売側の問題というよりも飼う側の問題です。また、衝動買いが大多数というわけでもありません。
ペットが飼われた後の問題は、ペット購入に何らかの制限をかけたり飼育するには講習を受けるなどの免許制といった縛りを設けないと問題は減らしにくいのかもしれません。

売れ残った動物の扱い、処分方法の不透明さ

前述のように展示販売の方式だと少なからず余剰在庫を抱える必要が出てきます。当然、全ての子犬や子猫に買い手が見つかればいいのかもしれませんが、中にはロスも起こるでしょう。コンビニのような陳列棚に商品を置いて販売する形式であれば、売れない商品の廃棄は少なからず出てきます。

ペットショップで売れ残ってしまう子の扱いは、一般的なお店では普通のことをしています。

大きくなったら値下げして販売する。

売れやすいお店に移される。

赤字覚悟で値下げ販売する。

(ここまででほぼ売り切れる)

それでも売り切れなかった場合は、店員の方が社員割引で購入したり(その後、知人へ譲る)、ブリーダーに返されたり、お客様にワクチン代の実費だけもらい差し上げるなどです。トリマーなどのペット専門学校に引き取られるケースもあるかもしれませんが、普通のペットショップでは法律や条令、慣行を守って動物を販売しています。

勝手に殺処分すれば、動物虐待。
保健所は、生体販売の業者からの引き取りを拒否。
動物実験の施設の引き取りはとっくの昔に禁止。
引取り業者※に引き取られるケースも時折ニュースなどで見聞きしますが、多くのペットショップでは処分にお金がかかってしまうような方法は取っていないのが実態です。

※引取り業者は、ペットショップで余ってしまったペットを有料で引き取る業者です。

狭い環境下でのストレスと発育への悪影響

狭い環境に閉じ込められることで、発育等に悪影響を及ぼすリスクがあります。
犬は平面の広い範囲でよく動き、猫は上下を含めた運動が必要です。狭い環境での生活が長くなれば運動不足につながり、筋肉の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
加えて、狭い空間に長時間いると精神的ストレスにもつながります。

昨今は、動物取扱業における犬猫の飼養管理基準が設けられており、連続展示時間を決められていたり一日の運動時間も決められています。休憩や運動もきちんと基準を守られていれば、発育への悪影響を及ぼすまでには至らないのかもしれません。

この他、子犬や子猫同士で遊ぶ機会が少ないことも社会化を促す上で問題とされています。独りぼっちでいる時間が長いということが好ましくないのは想像に難くないと思います。

例えば、ドイツでは「犬を毎日最低2回・合計1時間以上散歩させる」ことが義務化されていたりします。ペットを飼っている人向けの規則ではありますが、それだけ動物に合わせた生活環境が求められるということだと思います。

散歩も躾もしてもらえない?

ペットショップにいる犬猫って散歩や躾はどうしているんだろう?

ちょっとした疑問ですが、お店が開店している間はほとんど展示されていて、お店が閉まったら大体夜です。あれ?散歩ってする時間すらないのでは?というよりペットショップから集団でペットを散歩に連れだすようなお店なんて見たことないし聞いたこともないような気がします。

ペットショップの展示動物は、基本的に散歩には出しません。展示されている動物は幼齢個体が多いためワクチン接種が未完了です。このため感染症リスクを避ける目的で屋外散歩は控えています。

犬猫の自由を考えたらドッグランのような広い場所で好きなように過ごす形式で販売が行われるのがいいのかもしれませんが、ショーケースで一匹ずつ展示していることにもメリットはあり、ウィルスや感染性の病気の蔓延を防ぐ意味合いもあります。

また、躾についても基本的にはお店ではしていません。飼い主が行うものです。
犬猫の躾といえば、トイレトレーニングとおすわりや噛み癖になると思いますが、躾を行うためには覚えてくれるまでつきっきりでしなければなりません。
トイレトレーニングはお店の展示スペース内のトイレでできるように習慣つけられていたりしますが、自宅に連れ帰った後は環境が変わるため再トレーニングが必要になります。

狭い場所に閉じ込められて可哀想?

ペットショップのショーケースで犬猫を見てどんな風に感じるでしょうか?

「かわいい~お家で飼ってみたいなぁ」
「かわいそう・・・こんな狭い箱に入れられて」

おそらくペットショップを訪れる多くの方は、前者だと思います。
もし、後者のように狭い箱に閉じ込められている印象を受けてしまう展示販売であれば、売れるものも売れません。ペットショップを訪れる客が動物に対して窮屈さや不自由さを感じさせない絶妙な空間になっているのが現状の販売形式なんだと思います。

では、別の観点から考えてみましょう。
例えば、動物園や水族館に行った際に、狭い場所に閉じ込められて可哀想だと思うでしょうか?特に子供は、ぞうさんだ、きりんさんだ、ライオンさんだと言って喜ぶのが普通だと思います。
ペットショップと違いがあるとすれば広さかもしれませんが、閉じ込められていることに変わりありません。でも、閉じ込めれていて可哀想だと思う方はいたとしても少数派だと分かるでしょう。

もしかすると狭い場所に閉じ込められて可哀想と感じる方の中には、動物のストレスのことや衝動買いの助長、ペット流通の事情を知っており、それらを踏まえて『可哀想』と感じられているのではないでしょうか。
そう考えると動物園や水族館では飼育員の方が動物の手入れや給餌や健康管理をしっかりされているイメージをどこかで持っているのも違いとして大きいのかもしれません。

命ある動物が値札をつけてさらされることへの倫理的な問題

小さな檻に入れられてプライスカードを掲げられ展示されていることを考えると何だか奴隷の売買でもされているかのようにも思えてきますね。もちろん店内は明るく小綺麗にまとまっていると思いますが。

お店のスタッフも売り文句、謳い文句で興味を示した客にセールストークをします。その子のことを考えて少しでも良い環境で飼われて欲しいなどといった考えは思いこそあれど客の前で出すことはしないでしょう。売れると分かったら誰であろうと売るのが基本姿勢だと思います。

そう考えると商売の形式としては何とも品のないやり口に思えてきてしまいます。ましてやこれから家族に迎えようとする場にも関わらず。
だからと言って店頭販売する場合に他にどんな売り方があるんだ?と言われたら言葉に詰まってしまいます。

個人的な感覚ですが、日本国内のペットショップは動物を「商品」として扱っている感じが強いような気がします。そこに疑問や問題意識が生まれるような。
本来は動物のことを考えると「命」として扱う考え方が必要なはずです。

しかしながらペットショップは営利目的なので売れなければ成り立ちません。
いかにお客様の目にペットを魅力的に映せるか、清潔で健全そうに見えるか、どうすれば虜にできるか、衝動買いさせられるか。
飼い主と動物のことを思うなら、お住まいの環境や動物アレルギーのこと、お金のこと、お世話に体力も必要なこと、個体の特性や病気のことなど。代表的な病気があるのなら未然に防ぐ食生活や運動のことなど飼育方法を伝える方が建設的だと思うのですが、売ることが一番になっているような気がしてなりません。

日本の現状のペットショップの販売形式には、動物福祉の考え方が足りていないように感じられる方も少なくないかもしれません。

ペットショップの展示販売はダメで愛護団体の展示譲渡は良いの?

ここまでペットショップの展示販売の問題について考えてきました。
展示販売を反対する方の意見に、狭い箱に入れられ人目にさらされるのは良くないと考える方もいます。また、前述のように譲渡ではプライスカードに値段こそありませんが、血統種です、人気の小型犬です、小顔で人懐っこいです。のような紹介文はあったりするわけです。抱っこなど触れ合う機会も含めたら衝動的に飼いたくなる方がおられても不思議ありません。

このように販売(譲渡)形式も近しいものと感じますが、その点はどのように考えられているのでしょうか?

もちろん、展示譲渡はその場限りの一時的な手段、ペットショップのような恒常的に行われているものではない。パピーミルに加担するようなことはなくむしろそういった場から救った命、その子の特性を伝えた上で譲渡するので衝動買いなんてありません。

こうした意見は容易に考えられますが、一方のやり方は問題、展示譲渡は愛護となるとどの点に問題があるかは今一度整理した方がいいような気がしてきます。

犬猫サイドは、狭い場所が嫌なのか餌の心配や外敵のいない安全な場所に満足なのか?

ここまでペットショップの展示販売の問題についてまとめてきましたが、ペットショップも販売方式も人の都合で勝手にやっているだけです。犬猫の意見なんて聞いたことがありません。

では、犬猫サイドはガラス張りの一定のスペースしかない明るい店内で売れるまで(新しい飼い主が見つかるまで)その場にいることは嫌なのでしょうか?それとも不満はないのでしょうか?

例えば、野良猫のように自由が謳歌できる代わりに常に餌を探し続けなければならなかったり、外敵に身の危険を冒されたりする生活もあります。その点、ペットショップにいる動物は餌の心配や外敵に襲われることはありません。また、衛生面や健康管理の面でも良い状態だと思います。生存率で言えば野良になるより遥かに上だと思われます。

自由がいいのか、身の安全を確保されているのがいいのか一長一短のような気もしてきます。
でも、ペットショップにいる子の月齢が2~5ヵ月ばかりと考えると外の世界をほとんど知らない状態でショーケースにいることになるので、案外なにが良いとか悪いとかはあまりなくて不快なことがなければそれで良いところがあるかもしれません。
逆に野良だった大人の犬猫がペットショップで展示販売されることになれば子犬や子猫とは全く感じ方が違ってくると思います。

犬猫の環境の何が良いかを考えるとペットショップに居る一時的な期間より飼われてからの長い期間の方が大事なことなのかもしれません。


以上になります。
ペットの入手経路は、ペットショップから入手するのが現在でも一般的です。特に犬は約半数がペットショップからの入手であり主流な入手方法となっています。(猫のペットショップからの入手は2割程度。猫は拾ったやもらったも多いため犬に比べて低いです)
国内の法律ではペットショップの生体販売の禁止はされていないものの、規制の強化は年々行われております。夜間(20時から8時)の展示販売が禁止されたり幼齢販売規制(8週齢規制)が施行されたり飼養管理基準省令の制定などがあったりします。今後も動物福祉の観点も含みながら少しずつ変化をしていくものと思われます。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

対策グッズのほとんどは、実際に買って・試した結果をまとめたものです。
当サイトの情報が皆様の野良猫対策の助けになれば幸いです。
詳しいプロフィールは、こちら

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