youtubeのポリシー変更自体は、2021年7月くらいだったと思いますが、9月に入り、実際に収益化停止されるyoutuberの方もいて注目が集まりました。
youtubeの動物虐待に関するポリシー(禁止事項)
- 狩猟や食材にするといった伝統的または一般的な目的ではなく、動物に悪意をもって苦痛を与えている人物を含むコンテンツ。
- 準備された危ない状況にわざと動物を置いて救助するコンテンツ。
- 人間が動物同士の戦いをけしかけたり、強制したりするコンテンツ。
引用元:youtube「暴力的で生々しいコンテンツに関するポリシー」
おそらく、揶揄する意味で捨て猫系youtuberなどと呼ばれていると思うのですが、捨て猫を偶然見つけて保護するような動画自体はかなり以前からありました。また、その類の動画の再生数はもの凄く、1000万再生を超えるようなものまであるくらいでした。
今回、youtubeがポリシー変更を行った部分は、
「準備された危ない状況にわざと動物を置いて救助するコンテンツ」
になりますが、捨て猫に限らず、高所から降りられない、川で溺れかけている、何かに体や足が挟まって身動きが取れない、怪我をしている、衰弱しているなど様々な状況下で動画投稿者が救助を行う動画を対象としていると思われます。これを「わざと」そのような状況下に置いて、動画にしたものは投稿を禁止するということですね。
むろん「わざと」そのような状況下に見せかける動画投稿者は巧みでありますので、それが「わざと」かどうかの判断は難しい所があると思いますが、そこはyoutube側の判断によるものということでしょう。
「あれ、捨て猫かな?保護するところを動画にしたろ」
例えば、あなたが捨て猫を見つけて保護しようと考えた時、
「この様子を録画しとこ」
なんて思いますか?
撮影環境が万全
捨て猫の保護する様子を動画に収めたい場合、他の人に先に見つけられては困ります。だから、撮影環境の準備をする暇はなく、手持ちの撮れるもので行うことになるはずです。自宅の庭先や家の目の前ならいざ知らず、公園や道路沿い、林道、河川敷、こういった場所で見つけたとしたら余計に撮影機材は限られるでしょう。もちろん、常日頃から撮影機材を持ち歩いているような方もいるかもしれませんが、そう都合よくあるものではないと思ってしまうところです。
また、よくあるパターンとして猫を家に連れ帰り身体を拭いてあげたり、ミルクやご飯を食べさせてあげる様子もありますが、その場面も録画する前提で撮られていますよね。加えて、その様子を撮るカメラマンまでいたとしたら・・・おかしいなぁ..ずいぶん用意周到だなぁ..動画にはテロップもあるかぁ..見やすいけど、なんだかなぁ..。
『【保護1日目】捨て猫を保護することになりました。』
こんな風に保護した様子を1日目から毎日投稿するようなチャンネルまでもがありますが、「偶然見つけた捨て猫を保護することにしたから毎日動画投稿しよ」そうはなかなかならないんじゃないかと思うんですけどね。
やらせと思われる動画にありがちな「子猫が一匹だけ」
穿った見方だとは思いますけど、こういった動画を見ているとダンボールに入れられた子猫は一匹だけが多い。
猫は一度の出産で数匹の子猫を生みます。多い時には6、7匹などもありますね。だから、不妊・去勢手術をしないと野良猫があっという間に増えてしまうとも言われたりします。
では仮に、飼い主が産まれた子猫に困って捨てたものとして、他の子猫達はどうしたんでしょう?
捨て猫をするような飼い主だけど、捨てた一匹以外の子猫達は自分で育てているんでしょうか?それとも、別の人が先に見つけて一匹ずつ引き取っていった後の最後の一匹なのでしょうか?
それならそれで良かったと思いたいところですが、ちょっと不自然さが残りますよね。
撮影しやすいように?ダンボールが綺麗に開いている
もし、ダンボールに入れて猫を捨てようと思ったら、ダンボールの上部は開けたままですか?閉めておきますか?
止むに止まれず捨てることになった場合、少なからず罪悪感を感じるものです。捨てる人の心理を考えると、猫の姿を見るのは辛いし、鳴き声を聞くのも後ろ髪を引かれる思いかもしれません。また、雨に濡れるのが可哀想だと思えば、ダンボールの上部は閉めておくのがいいかもしれない。
youtubeの捨て猫動画は、数十のチャンネルを拝見させていただきましたが、ダンボールの上部が綺麗にカットされているようなものもありました。
それから、なぜか深めのダンボールに入れられているケースも多かったのですが、なぜそんなに深いのか?捨てる人からしたら大きすぎる箱は持ち運びしにくいと思います。小さすぎても窮屈な思いをさせて可哀想だと思う心理が働いたとしても、ミカン箱のようなある程度の大きさのダンボールになるのでは?
そうですね、動画の流れで言えば、ぽつんと置かれたダンボールを見つけて、おもむろに近付いて中を覗き込む。そうすると小さな子猫が顔をのぞかせる。
動画としての演出を考えれば、箱を開ける様子を流してもスマートじゃないですものね。開けにくくて手間取った様子なんて流したくないし、編集してもいいけどドキュメンタリーっぽさ(臨場感)が薄れます。また、ダンボールが深めでないと、カメラをダンボールに向けたらすぐに子猫が顔を出しちゃうかもしれない。「どんな様子?」「子猫は無事だろうか?」「何匹いるのかな?」視聴者の想像力をかき立てることができません。
もし、ダンボールのふたが閉まっていたとしても、開ける様子も撮影して保護した時の臨場感を伝えたいからカメラを回すわけです。チャンネルによっては、あたかも中に何が入っているかわからないような様子で箱を開けてみる人もいるくらいです。(撮影前に鳴き声を聞いていて、中に猫がいるとわかっているのにも関わらず)
捨て猫を見つけるのって、昼間なんですね。
まあ、当たり前なんですけど。夜間に捨て猫されてそうな所をうろつくような人の方が珍しいですから。
でも、捨て猫拾った動画って、ほぼ昼間。夜に拾った様子の動画はまずありませんね。暗いし、映りもよくないし、見づらくわかりにくくなるから当然と言えば当然ですけど。
たまたま見つけたのが昼間なんですね。ついでに言えば雨の日もありませんね。
大人の猫は拾わないのかい?
大人の猫でも捨て猫されることはあると思いますけど、子猫に比べると動画にされることが少ないようですね。大人の猫が捨てられたことを考えると捨てられた場所にじっとしているより自分で動き回ってその付近を探索すると思われます。そうすると端から見れば放し飼いの猫か野良猫にしか見えないからかもしれませんが、もし、本当に困っているように見える猫ならば、保護してあげてもいいのでは?
でも、大人の猫は保護しない(保護して動画にしない)ですよね。あまり。やっぱり大人の野良猫だと人馴れしてないこともあるし、懐かないし、可愛い仕草なんて見せない、成長の過程も見せられませんので動画になりませんか?
多くは善意。中にはやらせ。
人によっては、金に目が眩んで動物愛護の気持ちがおかしくなってしまっている。
やらせである場合は、動物達は危険な状況に置かれてしまい、一時的にであるにせよ肉体的、精神的苦痛を受けています。
動物愛護管理法の第四十四条には、以下のような条文があります。
『愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。』『愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。』
捨て猫のやらせ動画が直ちに動物虐待に該当すると判断されるかはわかりませんが、抵触する恐れがある行為であることは間違いないでしょう。
日本は動物愛護の後進国とも言われており、海外での規制の方がより厳しいものと思います。日本でもこうした動画に対する批判は今後も大きくなっていくものと思われます。