野良猫駆除、捕獲、保健所送りは合法か違法か

 野良猫の被害に遭われている一部の過激派の間では、野良猫駆除に毒餌、保健所送りを推奨する方がいらっしゃいます。
毒餌については、ネズミ駆除を目的として野良猫に誤飲させ、事故死に見せかけた方法を薦める等。

また、もう一つの駆除方法として、捕獲して保健所送りが上がっています。
こちらの保健所に送る方法ですが、動物愛護の方々や自治体の見解で捕獲自体が動物を傷付ける行為に当たる(可能性がある)として、動物愛護法違反だとする意見もあります。

はたして、捕獲、保健所送りは合法なのか違法なのかを整理します。
※毒餌による駆除についてはこちらでは記載致しません。

▼目次

  1. 弁護士の見解
  2. 捕獲行為は違法か、動物虐待になるか
  3. 保健所に持ち込んだ猫を引き取ってもらえるか
  4. 保健所には飼い主への返還、譲渡の努力義務が設けられている

弁護士の見解 →罪には問われない。

弁護士の見解が以下のホームページで記載があります。罪にはならない。という回答です。

Legalus「野良猫を捕まえて保健所に連れて行くと違法?」, 2014年4月23日, Legalus
(最終閲覧日:2017年9月24日)

捕獲行為は違法か、動物虐待になるか →合法、虐待にならない。

  • 弁護士の方の見解にあるように、捕獲するだけなら「みだりに」殺したり、傷付けるわけではない。
  • 捕獲規制は特になく、捕獲を禁止する法律がない。※

※鳥獣保護法では狩猟鳥獣の捕獲について規定があります。野生の猫は適用されますが、仮に野良猫を野猫と同じ扱いにした場合でも私有地での捕獲は資格、申請が必要ありません。

環境省「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」(鳥獣保護法第十一条一項二号-ロ), 2014年5月30日, 環境省

  • 「みだりに」傷付けなければ動物虐待には当たらないため、以下のようなことをしない限り問題ない。
    • 捕獲後、給餌をしないで弱らせる。
    • 捕獲後、劣悪な環境下において弱らせる。
    • 捕獲後、暴力を振るうなどして虐待を行う。
    • 捕獲後、負傷、疾病している場合に適切な保護をしないで放置する。

よって、捕獲行為は違法でなく、動物虐待にも該当しない。

保健所に持ち込んだ猫を引き取ってもらえるか →引取りの義務がある。

  • 駆除(=処分)目的の場合は、引き取らない。
    ※駆除(=処分)目的の場合は、「みだりに」殺すことに該当する為、引取りを拒否
  • 保護(捕獲)した猫、迷い猫は、引取り依頼があれば引き取る。(引取る必要がある)

捕獲された野良猫について、県に引取りの依頼があった場合には、所有者の判明しない猫として、県はこれを引き取らなければなりません。

出展:「動物の愛護及び管理に関する法律」(第三十五条第二項)

ただし、自治体によっては、成猫の野良猫は引取りしていないところもあります。

出展:松山市「成猫の引取りについて」, 2015年11月19日

出展:長野市「ペットを保護した方へ」, 2017年2月22日

出展:高崎市「迷い動物について」, 更新日不明

保健所には飼い主への返還、譲渡の努力義務が設けられている

ここまでで保健所に持ち込むこと自体は特に違法性がないことがわかりました。

ですが、SNSで保健所に持ち込むことを呟けば、袋叩きにあいかねない世の中です。

保健所に連れていくなっ、ガスで殺処分になる、猫が殺される!と。

管理人としては意見するからには代案をもって然るべきで、猫を助けたいなら里親募集でも呼び掛ければいいのに。と思ってしまいます。スマホをタップして非難のメッセージは簡単に送れるものですが、実際に自分が行動を起こすとなると腰が重いものです。

さて、保健所に持ち込むと殺処分されてしまう。実際のところどうなのか?
確かに環境省が公表している統計資料「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」では、多くの猫が殺処分されていることがわかります。

しかし、動物の愛護及び管理に関する法律では、以下のような条文があります。

動物の愛護及び管理に関する法律

(犬及び猫の引取り)
第三十五条
4 都道府県知事等は、第一項本文(前項において準用する場合を含む。次項、第七項及び第八項において同じ。)の規定により引取りを行つた犬又は猫について、殺処分がなくなることを目指して、所有者がいると推測されるものについてはその所有者を発見し、当該所有者に返還するよう努めるとともに、所有者がいないと推測されるもの、所有者から引取りを求められたもの又は所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるものとする。


引用元:動物の愛護及び管理に関する法律

殺処分がなくなることを目指して
所有者に返還するよう努める
所有者の発見ができないものについてはその飼養を希望する者を募集し、当該希望する者に譲り渡すよう努めるもの

このような努力義務が設けられています。
一般の多くの方が保健所に持ち込むと殺処分されると思っており、実際に殺処分される数が多いということは、自治体の努力義務に疑問を持たざる負えないものと思います。

また、保健所に持ち込んだ猫はどのくらいの割合が殺処分されてしまうか、殺処分率をまとめた記事もご参考ください。


以上になります。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

対策グッズのほとんどは、実際に買って・試した結果をまとめたものです。
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