福岡市の野良猫10万匹!?多すぎ・・新聞記事の信憑性を確かめた

「福岡市では野良猫の数が増え続けて推定10万匹に上り・・・」

上記は、西日本新聞の2018年9月22日付の一部の内容になります。

https://www.nishinippon.co.jp/nnp/f_toshiken/article/451582/
2018年09月22日 西日本新聞

福岡市で、推定10万匹も野良猫がいるということですが、ちょっと多すぎるような・・・。

明らかに多い、多すぎると思います。
最初にこの記事を見かけた時、かなり疑って見てました。

この数、推計とは言うものの信憑性はあるのでしょうか?
実際にいたとしたらどのくらいの多さなのか?
10万匹って言ったらペットの数より多いんじゃ?
地域猫活動のことも書いてあったけど、どれくらいの数を管理してるんだろう?
実際のところ多いのか普通にこれくらいいるものなのか

とにかく疑問だらけです。これらに関して色々と調べてみました。

  1. 人口密度ならぬ猫密度を求める
  2. 10万匹の数の信憑性
  3. 福岡市のペット(猫)の数との比較
  4. 地域猫活動で、どのくらいの数を面倒見ているのか?
  5. 猫の路上死の件数から数の多さを推察する
  6. 【参考値】一体どのくらいの数がいるのか推察する

人口密度ならぬ猫密度を求める

本当に10万匹いたらどのくらいの多さなのか・・・猫密度を求めて数の多さを検証します。

まずは、福岡市の人口・面積・人口密度を見てみます。

人口  :1,583,101人
面積  :343.39km2
人口密度:4,610人/km2

※平成31年3月1日現在

人口密度は、1平方キロメートル(1km2)の面積中に何人いるか示しているもの。
福岡市の場合、1km2の面積に「4,610人」となります。

次に、福岡市の野良猫の数が10万匹として猫密度を見てみます。

野良猫 :100,000匹
面積  :343.39km2
猫密度 :291匹/km2

10万匹いると仮定すると、1km2の面積に「291匹」の野良猫がいることになります。

1㎞2に「291匹」という数は、多いのか少ないのか?

1平方キロメートルは、一辺が1kmの正方形の面積。
東京ドームであれば、21.4個分。
ディズニーランドとディズニーシーを合わせた面積が、約1平方キロメートルです。

また、普段の生活で歩いて行ける範囲は、500~1000メートルと答える人が最も多いです。
(内閣府調査「歩いて暮らせるまちづくりに関する世論調査」(2009年))

これらを踏まえ、普段、歩いて生活できる範囲に「291匹」の野良猫がいたらと考えると・・・

もの凄く多いと思いませんか?
ご近所さんに合うよりも野良猫に出会う方が多そうです。

管理人の近所も野良猫は多いですが、半径500mくらいで考えると20~30匹ってところです。
このくらいの数がいると少し出歩くと2、3匹見かけるのはざらです。5、6匹見かけることも難しくないくらいです。

管理人の地域の数倍いると思うと、改めて異常な数だと思いました。

10万匹の数の信憑性

この数字、どのように推計したものか、根拠となるものはあるのか、福岡市に確認しました。(動物愛護担当の職員の方と話しています)

まず、推計する上で元にした数字というものは、

北九州市の一部の市街地で計測した野良猫の数

ということです。

そして、推計の方法ですが、

北九州市の一部の市街地で計測した野良猫の数を福岡市の規模に換算して出した

というものです。

詳しい換算方法まではお聞きできませんでしたが、推計10万匹。の出どころは、このようなところです。

管理人の所管になりますが、野良猫の数を計測できる地域という場所は、野良猫がいる場所。ということになります。
野良猫というものは、広範囲に散らばるように居着いているものではなく、餌場を中心に居着くものです。
公園には野良猫が多くいるけど、少し離れた場所にはほとんどいない、見かけない。野良猫の行動範囲は、500m程度。広くても1kmくらいです。こんな様子が当然のようにあります。

北九州市の野良猫がいる一部の地域を、推計の元の数値に使う場合、
「一部の地域」は広範囲でないと偏った推計値になってしまうことが考えられます。

博多や天神など旅行で訪れた方は、分かるかと思いますが、野良猫が多い街。という印象はないと思います。
もし、10万匹の野良猫がいたとしたら、滞在期間に何度も出くわすことでしょう。

これらを踏まえると、推計の元の数値は精度の高いものなのかもしれませんが、換算方法に疑問が残るということです。

福岡市のペット(猫)の数との比較

ペットフード協会
平成30年(2018年)全国犬猫飼育実態調査 結果
2018年12月25日一般社団法人 ペットフード協会

一般社団法人 ペットフード協会の全国犬猫飼育実態調査によると

犬:890万3千頭
猫:964万9千頭

が推計の飼育頭数になります。

こちらは全国の数値になりますが、福岡市の人口と日本の総人口比から換算すると、

福岡市の推計飼育数(猫)は、121,021頭

になります。

※日本総人口:126,220,000人
※福岡市人口:1,583,101人
※平成31年3月1日現在の人口
※日本総人口は、総務省統計局の数値より(概算値)
※福岡市は、福岡市推計・登録人口の数値より(公表値)

もし、福岡市の野良猫の数が10万匹だとすると、飼い猫の数と近い数が存在することになります。

地域猫活動で、どのくらいの数を面倒見ているのか?

記事中に
「地域猫の指定を受けている地区は現在、市内75カ所に絞られる。」
とあります。

1ヵ所で何匹の地域猫を管理しているかになりますが、以下が参考になります。

福岡市
地域猫活動地域のアンケート調査結果概要

地域猫活動の管理頭数

上記の棒グラフは、地域猫活動を行っている27地域にアンケートを行った内容の一部です。
地域猫の去勢・不妊手術済の管理頭数。
※上記は、手術済の頭数。資料には、未手術の頭数も記載があります。(当記事では省略)

手術済は、1~10頭が一番多く、12地域
未手術は、0~5頭が一番多く、10地域

上記のグラフの通り、多い地域では41~50頭の地域猫を管理しているようです。
平均するとどの程度の数かということですが、1地域で10~20頭くらいを管理していると言えそうです。(少し乱暴ではありますが)

1地域10~20頭×75ヵ所=750~1500頭

福岡市では、750~1500頭の地域猫の面倒を見ていると言えるでしょう。

※幅が大きくありますが、資料上も数値に幅があり、これ以上の精度が出せません。

猫の路上死の件数から数の多さを推察する

福岡市の路上死数

画像出展元:https://wannyan.city.fukuoka.lg.jp/yokanet/owner_cat
わんにゃんよかネット 福岡市動物愛護センター

上記は、平成27年のデータ。
福岡市では、約7,000頭の猫の死体が路上で回収されているようです。

1日あたり約19頭

が路上死している計算になります。

では、他の都市もこのくらいの数が犠牲になっているものでしょうか?
福岡市とほぼ同じ人口である神奈川県川崎市を見てみます。
(人口 -> 福岡市:158万人、川崎市:151万人)

川崎市の路上死数

画像出展元(3ページ目):http://www.pref.kanagawa.jp/docs/e8z/cnt/f6808/documents/914001.pdf
神奈川県

上記は、平成28年のデータ
川崎市では、2,218頭の猫の死体が路上で回収されています

1日あたり約6頭

が路上死している計算になります。

年間 1日あたり
福岡市 約7,000頭 約19頭
川崎市 2,218頭 約6頭

これだけを見ると
福岡市は、川崎市に比べて3倍も路上死している
ということになります。

念のため車両数も調べてみます。(車の数の違えば交通事故数も変わってくる)

登録車両+小型二輪
福岡市 536,665
川崎市 364,880

車両数が多ければ、交通事故のリスクは高まると思われます。
福岡市は、川崎に比べて1.5倍くらい車両数が多いため、交通事故のリスクも高いでしょう。

市区町村別自動車保有車両数
http://wwwtb.mlit.go.jp/kanto/jidou_gian/toukei/tiiki_betu.html

九州統計情報
http://wwwtb.mlit.go.jp/kyushu/toukei/body2.htm

とは言え、3倍も路上死が多い理由にするには、根拠が薄く、川崎市に比べて福岡市は野良猫の数が多いものと思われます。

【参考値】一体どのくらいの数がいるのか推察する

他の都道府県で野良猫の数を推計しているところはないか調べてみた。この数を元に福岡市の野良猫の数を推察するというもの。

※福岡市の野良猫10万匹は、多すぎる、当てにならない論調で書いてきていますので、他の都市の数も信憑性があるかはわかりません。
※このためあくまで「参考値」として見ていただければ。

以下は、千葉県の「地域ねこ活動に関するガイドライン」から抜粋したものです。

千葉県の野良猫の数

千葉県「地域ねこ活動に関するガイドライン」
https://www.pref.chiba.lg.jp/aigo/documents/chiikinekogaidorain.pdf

平成20年度調査のもので少し古いものになります。

ここで、飼い主のいないねこ:175,000匹

と、あります。

市ではなく、県全体の数字です。(指定都市、中核市は除くとあるので、千葉市、柏市、船橋市を除く)

まずは、見比べてみましょう。

福岡市 千葉県
※千葉市、柏市、船橋市除く
人口 1,583,101人 4,226,797人
面積 343.39km2 4685.5km2
野良猫 100,000匹 175,000匹
猫密度 291匹/km2 37匹/km2

※千葉県の人口は、2019年3月1日時点のもの。

ここから推計。千葉県の猫密度を元に福岡市の野良猫の数を求める。

猫密度37匹 × 343.39km2 = 推計12,705匹

以上は、猫密度から求めた推計値。

次に、人口比で求めてみる。人口何人に対して、野良猫が1匹いるかという値を求める。

福岡市
1,583,101人:100,000匹 / 15.8人:1匹

千葉県
4,226,797人:175,000匹 / 24.1人:1匹

千葉県の24.1人に対して、1匹。という割合を元に、福岡市の人口で換算したのが以下の推計値

1,583,101 ÷ 24.1 = 65,688匹

この推計値の精度が高いかはわかりませんが、千葉県の飼い主のいない猫の推計値を用いて求めるとこのような数字が出てくるわけです。


以上になります。野良猫が10万匹もいるかどうかは、かなり怪しいところです。ですが、福岡市の野良猫の数が他の都市に比べて多い方だということは確かだと思います。

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のらねこらむプロフィール

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のらねこらむ管理人

2017年4月に新居へ引っ越した直後から野良猫に悩まされる。
日々、野良猫との領地争いを繰り広げています。

対策グッズのほとんどは、実際に買って・試した結果をまとめたものです。
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詳しいプロフィールは、こちら

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