うんちが出たらニオイを嗅いで前足で砂をかける。またニオイを嗅いで砂をかける。神経質な子はこれを何度も繰り返したりもしますが、猫によってはひとかきしたらすぐ立ち去る子もいて十猫十色だと思います。
昔から「ネコババ」(ババは糞の意味)という言葉があるように、フンをしたら砂をかけて隠す猫の習性です。ネコババは悪い意味で使われるので猫もちょっと可哀想ですが、フンをしたのに隠して素知らぬ顔でその辺を歩いているところからなんでしょう。
猫がうんちを隠す理由は、習性だから・・・と言えばそれまでですが、なぜ隠すのかには諸説あります。
諸説①外敵から身を守る為
ホカホカのうんちがあれば、その動物はまだ付近にいるということ。こんな分かりやすい行動を取ってしまえば、外敵から身を守ることはできません。
基本的には単独行動で生活する猫の生態より、外敵から身を守るための行動という説。
諸説②獲物に気付かれない為
うんちのニオイで獲物に気付かれて逃してしまう、そんなオマヌケな猫はなかなかいないと思いますが、そうした説。
猫の狩りは待ち伏せ型のため、ネズミを狩るにしても巣穴から出てくるのをじっと待ちます。それなのにうんちのニオイで警戒されて一向にネズミが姿を現さないとなると死活問題という話。
獲物に気付かれないためではありますが、獲物の側でうんちをすることはあまりないような。うんちをする時は無防備になるので木陰など身を隠せるような場所でしていると考えるとこの説はあまりしっくりこないと思います。
隠さないうんち。縄張りの主張
一方で、うんちを隠さない時もあります。
猫は自分の縄張りを持っていますが、野良猫であれば住処から半径200~300メートル。広くても500メートルくらいの範囲で生活しています。縄張りには、寝場所、休憩場所、見張り場所を持ち、また、餌場・狩場、身を隠せる場所、暖まれる場所、など様々な理由で定期的に訪れる場所があります。この生活圏が他の猫に荒らされると自分の餌を確保できなくなるので、自分の縄張りであることをうんちのブツでニオイと共に主張するというわけです。
肉食獣の糞は臭い。草食動物と比べて肉を喰らう動物のうんちは臭いです。主張するのには持ってこいという理由で隠さないうんちもあると考えられています。
うんち隠しと縄張りの主張の矛盾
しかし、外敵や獲物に気付かれないために糞を隠すのと縄張りの主張のために糞を隠さない行為は、矛盾しているとも言えます。
例えば、野良猫が可愛がられている地域では、外敵らしい外敵はいないと思われます。(子猫を狙うカラスくらい?)また、獲物に気付かれる気付かれないは、ネズミや野鳥を捕まえている野良猫ならいざ知らず、近所の餌やりする人からもらっていれば関係ありません。こうした環境下では、うんちを隠さないと命取りということもなく、獲物を逃すといったこともないため、マーキングや爪あと以外にも縄張りを主張するためにうんちを隠さずそのままにしておく場合もあると考えられています。
飼い猫はうんちを隠さない子も多い
前述の説のつながりで、飼い猫もうんちを隠さない場合があります。
これはこれで飼い主的には糞の処理が楽でいいのですが、猫的習性はどこに行ってしまったんだと。おそらく、家の中は安全な場所と認識しており、うんちを隠す隠さないがルーズになっているのかもしれません。
全く隠さない近所の野良猫
うちの近所の野良猫達は、どの猫もほとんどうんちは隠しません。前足でかく様子もたまに見るか見ない程度です。(やっていてもほとんど隠せていない)ごく稀に花壇や畑に進入した猫が隠していることもありますが、これも近所の人も猫が入ってきてしまうのはよくわかっているのでネットを張ったりして対策しているのであまり見られる光景でもありません。
なぜ隠さないのかを考えると、現代の住環境や道路事情によって柔らかい土や砂など糞を隠しやすい環境自体が少ないのは確かです。それでもいくらかは隠せそうな場所はある地域です。
近所の野良猫の生活環境を考えると、外敵はいない、餌は人からもらえる、猫が多すぎることもなく餌の取り合いする必要もない。他地域からの流入猫はいくらかおりますが、その逆で少し離れた場所に移動する猫もいるので、数が増えすぎる自体には陥っておらず、20匹前後の数で安定している状況です。
野良猫からしたら雨風や寒い季節は厳しいところだと思いますが、それ以外はパラダイスみたいなもんです。寝床も共有して使っている子達もいますし、ケンカはたまにありますが発情期など特定の時期に見られる程度。過度に縄張りの主張をしているわけでもなく、外敵や獲物に気付かれるといった心配もしていなく、ありのままにって感じで生活しているのだと思います。自由ですね。
隠さないけど道路や歩道のど真ん中にはしない
とは言え、そんな野良猫達も糞をする場所はわきまえている。隠すことはしないけど、道路や歩道のど真ん中にするようなことはしませんね。そこまでは厚かましくないというか。
道路や歩道は車も通るし人も自転車も通ります。落ち着いてうんちをできる場所ではないと思います。近所の野良猫達の多くは、人の出入りの少ない民家の庭や電柱の側、草むら、道路の脇など少しでも身を隠せるような場所でしているようです。
それと、隠さないけど柔らかい土の場所でしたい気持ちはあるような気がします。というのも、一時期花壇を作ろうと庭の土を入れ替えて均してあげていたのですが、しばらくしてそこに何度もやられました。砂利の場所にはよくやられていたんですが、柔らかい土の場所ができたらそっちにもするようになってしまう。
路面は、アスファルトなど舗装されている場所が多い現代ですが、野良猫的にもできれば柔らかい土や砂の場所でうんちをしたいのは山々なんだろうなと思います。
近所の方の被害談としては、芝生の上でされてしまうこともあるようです。発見できれば処理はできるのですが、知らず知らずに芝刈り機で一緒に刈ってしまった場合、地獄を見るそうです。糞の被害に遭われているご家庭からすると、隠されているのがいいのか見えてしまっていた方がいいのかわからなくなるような話ですが、されないことに越したことはありません。下痢便だけは勘弁してくれというのは共通の想いだと思います。