犬や猫をペットショップで見ていると価格差がそれなりについていることがあります。例えば品種は同じトイプードルなのに「200,000円」であったり「300,000円」といった具合です。価格差については店員さんに尋ねれば教えてくれると思います。月齢が進んでいたり、サイズが少し大きめであったり、毛色がまだらであるとかを説明してくれます。もちろんこうした説明を受けて納得できる理由であれば問題はないと思いますが、ある程度の価格差が生じていると病気の心配や懐いてくれるのかなど心配になる飼い主も多そうです。
本記事では、ペットショップで価格が安くなっている理由やそういった子を購入する際に注意した方がよいこと、購入前に確認をしておくといいことをまとめました。
▼目次
犬猫の価格が安く販売されている理由
犬猫の販売価格が安いからといってお店も赤字で販売することはまずありません。仕入れ値が安いから販売価格も安いと言われればそれも正しい意見だと思いますが、安くなる理由は必ずあります。
例えば、仕入れに焦点をあてて考えてみると優良ブリーダーとペットオークション(競り市)の仕入れ元の違いは大きな価格差が生じるでしょう。また、ブリーダー経由の仕入れにしても契約内容次第では価格差はそれなりに出ることも考えられます。健康状態など販売に適した個体を仕入れするのが一般的だと思いますが、ブリーダーとの契約によっては、ひと腹買いなど一度に産まれた子を全て引き取るような買い方であれば安く仕入れられるかもしれません。
それから販管費、販売に関わる費用を考えてみるとペットショップのテナント代、人件費、光熱費、エサ代などが考えられます。こうした費用が上乗せされての販売価格であるためテナント代であれば立地の良し悪し、人件費であれば人員数や首都圏・地方での差、光熱費は設備や店舗の広さで異なり、エサ代も安いものからプレミアムフードと呼ばれる高価なものであります。この辺りもお店によってかなり差が出るところだと考えられます。
上記は購入する側からすると知ることが難しい情報だと思いますが、もう少し分かりやすい理由を挙げると以下のようなものがあります。
- 一般的に可愛くないとされる個体
- 先天性の疾患や身体の弱い個体
- 月齢を経ている売れ残り
- 引き取り先が見つからないような個体
- セールや在庫処分などペットショップ側の販売都合によるもの
以下、少し具体的に見てみます。
一般的に可愛くないとされる個体
可愛い、可愛くないは人の主観によるところもありますが、一般的な外見の良し悪しで価格設定が変わることがあります。
例えば、トイプードルであれば小さい個体の方が人気。猫もスコティッシュフォールドだと垂れ耳であるか、マンチカンは脚が短めかなど。種別によって好まれる外見があります。他にも、マズルの長さや目の大きさ、目の位置、歯並びや毛並みなどの良し悪しで価格差が出るところです。
加えて可愛さとは少し異なりますが人気や流行による変動もあります。犬種や猫種は人気の移り変わりがあり、流行もタヌキ顔が流行りなどその時々で変わります。また、芸能人やインフルエンサーなど有名人が飼われている犬猫が人気になることもあります。
一般的に可愛くないと考えられていたり、人気やブームが去ったなども含め市場の動向を見ながら安く販売される個体も存在します。
先天性の疾患や身体の弱い個体
先天性の疾患や身体の弱い個体は販売価格が抑えられている反面、飼われてからの状態によっては負担がとても大きいです。通院に時間を取られたり、病院代がかかったり、場合によっては手術の費用もかかるため安く買えたとしてもその後の苦労の方が大変だと思います。また、健康状態に不安のある子は、一緒に触れ合ったり出掛けたりすることも他の子よりしづらくなることも考えられます。
販売時点で判明している場合は当然価格にも反映されますので、健康な子より割安になっていると思われます。
月齢を経ている売れ残り
上記は、大手ペットショップA社のトイ・プードル、ミニチュア・ダックスフンド、チワワの月齢別販売価格の推移のグラフです。100頭から200頭の掲載がありその中で月齢別に平均価格を取りました。
トイ・プードルを参考にすると
月齢2ヵ月未満の個体の平均販売価格が、450,000円強。月齢8ヵ月までの個体の平均販売価格は、300,000円弱まで下がります。
9ヵ月、10ヵ月の個体は、高くなったり低くなったりも見受けられますが、サンプル数が少ないことも影響していると思われます。
月齢を経て大きくなってしまった犬猫は販売価格も下がってきます。売れ残ってしまう理由自体は様々あると思いますが、子犬や子猫と呼べなくなるまで大きくなってしまうと買い手がつきにくいということがよく表れていると思います。
引き取り先が見つからないような個体
前述の月齢を経てしまった個体も価格を下げれば買い手が見つかることが多いです。それでも売れ残ってしまい、ブリーダーの引取りや店員自身やその伝手などで買い取ることも難しい場合は、破格の値段で販売されることもあります。
端的に言えば問題のある個体のことが多いと思われますがそのような個体は、かなり割安で販売されていることがあります。
セールや在庫処分などペットショップ側の販売都合によるもの
ペットと言えど商品の入れ替えはあります。例えば、ゴールデンウィークや夏休みなどがペットショップが一番儲かる時期だったと仮定するとその時期に売れ筋の商品を店頭に並べたいわけです。そうするためには繁忙期になる前に在庫を売り切っておきたいのでセールなど広告をうったりして販売促進していきます。
時期的なものにもよりますがペットショップの都合で普段よりお安い価格で販売されているケースもあります。
安くなっている子を購入する際の注意点
飼い主の立場として一番に気になるのは、健康面でしょう。健康に問題のある子を迎え入れた場合、思い描いていたペットとの生活はままならないかもしれません。一緒に遊んだり散歩したりお出掛けするなどが思うようにいかないことも考えられます。また、普段の生活を考えてもご飯も特別なものを用意しないといけなくなったり、トイレも上手ではないかもしれません。程度によるとは思いますが「思っていたのと違う」といった状況になることもあり得ます。さらには、経済面の負担も大きいことが考えられます。病気になれば通院代がかかり、状況によっては高額な手術費が必要になるかもしれません。加えて、食事に制限があれば特別なものを用意しないといけないかもしれません。安く購入できたとしてもその後の負担が大きいことが考えられます。
次に、身体の大きさもあります。小さいサイズが人気の種類は大き目なサイズになってしまうと不人気です。これは承知の上で迎え入れるのであれば問題はないかもしれませんが、思っていたより大きくなってしまった、大きかったなどは飼育していく上で大変でしょう。現在の主流の飼い方は室内飼いだと思いますが、室内飼いの場合だとペットのサイズは結構大事です。室内の広さを考えて小型犬などを選ばれる飼い主も多いと思いますので、想定より大きいとお世話が大変になってしまうからです。また、飼い主の体力の都合もあるかと思いますが、小さい子より大きい子をお世話する方が体力を必要とします。長い目で見てもお世話のしやすさは大事な部分だと思います。
他にも病気や身体の大きさ以外を考えてみると性格面もあります。飼い主からすればペットが自分に懐いてくれて楽しい生活を思い描くのは当然です。それが懐かない子や吠え癖がある子、食糞など問題行動がある子だった場合、とても気苦労するかもしません。
こうしたことを踏まえた上でペットを飼うべきだという意見もあるかもしれませんが、初めて飼われる方や高齢の方などは特に注意しておいた方がいいのかもしれません。
購入前にお店に確認しておくべきこと
購入する際の注意点を踏まえると健康面や身体の大きさ、性格面を確認しておくのがいいとは思います。しかし、今一つ具体性に欠けるのでもう少し詳しくに見ていきたいと思います。
「体重は何キログラムですか?」
できれば体長や体高も。事前にお迎え予定の犬種、猫種の月齢の平均体重や体長、体高を確認しておきましょう。現時点でサイズが平均より大きいか小さいかわかります。事前に確認しておき実際に店員さんにもサイズ感を聞いてみましょう。知識のある店員の方であれば平均より大き目だから将来的にも少し大きくなるなどアドバイスをいただけるかもしれません。(もしくは全く見当違いの話をされるようならその店員はその種類に関して詳しくないというのがわかります)
ただし、子犬や子猫は小さい方が好まれやすいということもあり、食事の量を抑えてサイズが大きくならないように調整されている可能性もあります。
「フードは何を食べられていますか?」
安いエサで育てられているのか高いエサで育てられているのかがわかります。また、お迎えした後にどんなフードを与えたらいいかの参考になるので聞いておくとよいでしょう。フードを変えた途端に食べなくなったり体調を崩す子もいます。そういった観点でも確認しておきたいところです。
「一日のどのくらいのフードを食べますか?」
こちらもお迎えした後にどの程度の量を与えていいかの参考になります。また、質問の本当の意図とすれば、フードの量を抑えて大きくならないようにしていないかなどを確認できます。
「この子の両親や兄弟の性格はどんな感じですか?」
育てやすいかを確認するだけでなく、両親や兄弟のことを把握しているか?もしくはブリーダーに確認してもらえるのか?そもそも両親の情報は全くないのか?がわかります。
ペットオークション(競り市)で購入された犬猫の場合、入札時に閲覧できる基本的な情報程度しかわかりえないと思います。この質問の意図としてブリーダー経由で仕入れたのかペットオークションで仕入れたのかを探る意味合いもあります。
また、質問は別の言い方でもいいかもしれません。
「この子が大きくなったら両親に合わせることはできますか?」
飼い主とすれば、家族のように大事にしているペットだと思いますので里帰りや両親に合わせてあげたいと考える方もおられると思います。
(ある程度大きい子には)「これまでどこで過ごされてましたか?」
月齢を経たそれなりの大きさになっている子には、これまでどこで過ごされていたか確認をしてみましょう。お店側が詳しく把握されていない場合もありますが、その場合はどのように育ててこられたかわからない状態ということです。全くいいことはないでしょう。お店では健康状態のチェックなど獣医師に診てもらうなどの対応はされていると思いますが、その子自身のことはよくわかっていないというのは飼い主の立場からすると不安でしかないと思います。
これから育てていく上でどのように過ごしてきたのか育てられてきたのかはとても参考になる情報だと思います。
(ストレートに)「なんでこんなに安いんですか?」
と、聞いてしまってもいいでしょう。納得できる説明ならそれで良し、そうでなければ前述のような疑問をぶつけてみてもいいと思います。
本来生体販売については、動物愛護法第8条および第21条4項で規定されており、対面販売、対面説明(文書※)が必要です。生体に係わる基本的な情報は対面説明と共に契約時に書類を渡されます。こちらも合わせてよく確認しておくことが大事です。
※対面説明が必要な内容は18項目に分けられており、以下環境省HPで確認することができます。-> https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/list_18.html
以上になります。ペットは飼い始めたら最後まで責任をもってお世話することになります。安かろう悪かろうで済む話ではないと思いますので、ペットショップでお迎えの際は十分に確認をされた上で判断するのがいいのだと思います。