時折ニュースで見かける動物虐待の犯罪行為。メディアで大きく取り上げられるものは、明らかに凶悪で痛ましく虐待であったことは容易にわかるかと思います。
その一方、身近に起こり得る、動物を蹴ったり、棒で叩いたり、エアガンで撃ったり、といった行為は、大きく報じられることはありません。もちろん普段、普通に生活している分にはこういった出来事に出くわすことなんてそうはありませんが。
どういったことが動物虐待になるのか、実例を見ていきたいと思います。
動物虐待とは
環境省のHPより以下を抜粋
虐待の禁止「動物虐待とは、動物を不必要に苦しめる行為のことをいい、正当な理由なく動物を殺したり傷つけたりする積極的な行為だけでなく、必要な世話を怠ったりケガや病気の治療をせずに放置したり、充分な餌や水を与えないなど、いわゆるネグレクトと呼ばれる行為も含まれます。なお、食用にしたり、治る見込みのない病気やけがで動物がひどく苦しんでいるときなど、正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありませんが、その場合でもできる限り苦痛を与えない方法をとらなければなりません。」
遺棄の禁止「動物の飼い主の責任には、動物を正しく飼い、愛情を持って扱うことだけでなく、最後まできちんと飼うことも含まれます。飼えないからと動物を捨てることは、動物を危険にさらし、飢えや乾きなどの苦痛を与えるばかりでなく、近隣住民にも多大な迷惑になります。また、近年は、日本の自然に生息していなかった外来生物が野外に放たれ、それによる農業被害や生態系破壊が大きな社会問題になっています。」
出展:環境省「虐待や遺棄の禁止」
禁止される対象の動物は、「愛護動物」となります。具体的な対象は、人に飼われている「哺乳類、鳥類又は爬虫類」と人が飼う飼わない限らず「牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、鶏、いえばと及びあひる」になります。
ざっくり言えば、ペットと家畜が対象。魚類、両生類は対象外となっています。
また、「正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありません」とあるように、保健所での殺処分が罪に問われないのは正当な理由があるためになります。
どんな行為が動物虐待にあたるのか?
蹴る
産経ニュース「飼い犬蹴った疑いで47歳男を逮捕 「ほえたので頭に来た」…妻が通報、犬は死亡」, 2016年6月6日, 産経ニュース(最終閲覧日:2017年11月20日)
蹴ったりすれば、不必要に苦しめる行為となりますので、当然、こういった事案になります。
蹴る(海外)
livedoor NEWS「ネコ蹴り飛ばした男にネット激怒」, 2014年5月7日, livedoor NEWS(最終閲覧日:2017年11月20日)
こちらは海外での出来事。映像を見た人の通報を受け、5日後に逮捕されています。
吹き矢
沖縄タイムス+プラス「誰がこんなことを… 猫の鼻に吹き矢 沖縄で見つかる」, 2017年4月22日, 沖縄タイムス+プラス(最終閲覧日:2017年11月20日)
故意に吹き矢を当てたりすれば、積極的に傷付ける行為となります。こちらも言うまでもなく。
※エアガンも傷を付けるような行為はこちらと同様の扱いと思われます。
エアガン
BIGLOBE「パンで猫をおびきよせて車からエアガンで攻撃 大阪で卑劣な動物虐待事件発生、飼い主が怒りのツイート」, 2017年11月26日, BIGLOBEニュース
※リンク切れ(確認日:2020年2月6日)
こちらの事案は、動物愛護法違反に該当する可能性があるとのこと。警察に通報されています。
激辛ソースを口に入れる、粘着テープで縛る
朝日新聞「子猫2匹を虐待容疑で男逮捕 激辛ソース口に入れる動画」, 2017年8月31日, 朝日新聞DIGITAL(最終閲覧日:2017年11月20日)
こちらも動物愛護法違反の疑いで逮捕されています。不必要に苦しめる行為にあたる。
粘着テープで縛りトンカチで殴打
産経ニュース「ネコを粘着テープで縛りトンカチで殴打…流血のまま放置 34歳男を逮捕 コミケ限定紙袋で特定」, 2015年12月7日, 産経ニュース(最終閲覧日:2017年11月20日)
なお、被害に遭った猫はボランティアが引き取り回復しているとのことです。
トラバサミ
宮崎日日新聞「禁止わなで犬猫大けが 串間」, 2017年4月18日, 宮崎日日新聞(最終閲覧日:2017年11月20日)
とらばさみ自体が法律で禁止されています。その上、犬と猫が大怪我をしたことから、動物愛護法違反の疑いもあるとみて捜査をしているとのこと。
高所から落とす
産経WEST「団地で猫の変死相次ぐ、高所から落とす虐待か 兵庫・西宮」, 2017年3月17日, 産経WEST(最終閲覧日:2017年11月20日)
変死が相次いだことから、高所から落とされた可能性があるとして、動物愛護法違反容疑などで捜査している。とのこと。
刃物で背中切りつける
産経WEST「刃物で背中切りつけられたネコ 動物愛護管理法違反で捜査 姫路」, 2017年7月17日, 産経WEST(最終閲覧日:2017年11月20日)
鋭利な刃物で背中を切られており、動物愛護管理法違反の疑いで捜査している。とのこと。
不凍液飲まされた?
産経ニュース「札幌で猫6匹不審死 口から泡…不凍液飲まされ?動物愛護法違反容疑で捜査」, 2016年5月19日, 産経ニュース(最終閲覧日:2017年11月20日)
猫6匹の不審死が相次ぎ、不凍液に使われるエチレングリコールによる中毒死の可能性が高いということで、動物愛護法違反の疑いで捜査している。とのこと。
薬品(毒)入りの餌を食べさせられた?
産経WEST「猫の死骸10匹以上発見、農薬成分検出 愛知県警が捜査」, 2017年4月28日, 産経WEST(最終閲覧日:2017年11月20日)
農薬を混ぜた餌を食べさせられた疑いがあるとみて、動物愛護法違反の疑いで捜査している。とのこと。
猫小屋を放火
福井新聞「「猫小屋」に放火、1匹ひげ焼く」, 2017年6月20日, 福井新聞ONLINE
※リンク切れ(確認日:2020年2月6日)
こちらは、「器物損壊容疑」で捜査。犯人が特定されれば、動物愛護法違反の疑いでも逮捕される可能性がありそうです。
引っ越しで放置
北海道新聞「増えた猫放置し引っ越し 虐待容疑で登別の女性書類送検」, 2017年11月15日, 北海道新聞
※リンク切れ(確認日:2020年2月6日)
飼い猫の世話を怠ったとして、怪我や病気の世話、十分な餌を与えず放置したことから、動物虐待の疑いで書類送検となった。
排泄物放置した自宅で飼育
朝日新聞「排泄物放置した自宅で猫49匹飼育 虐待容疑で男を送検」, 2017年6月1日, 朝日新聞DIGITAL
※リンク切れ(確認日:2020年2月6日)
劣悪な環境下に愛護動物を置くことは、動物愛護法(虐待)にあたるということ。
山中に遺棄
産経ニュース「山中に遺棄された猫21匹を長野市が保護 県警で捜査」, 2016年4月26日, 産経ニュース(最終閲覧日:2017年11月20日)
山中で何者かに遺棄されたとみられる猫達が見つかり、動物愛護法違反(遺棄)の疑いで捜査を進めている。とのこと。
ポリ袋に入れ海に捨てる
産経WEST「猫をポリ袋に入れ海に捨てた疑い、80代男を書類送検…ネット投稿から「犯罪です!」通報相次ぐ」, 2016年5月23日, 産経WEST(最終閲覧日:2017年11月20日)
猫をポリ袋に入れ、生きたままの状態で海に投棄して殺したとして、動物愛護法違反容疑で書類送検。
男の自宅前に衰弱した猫がいたといい、「じわじわと衰弱して死ぬぐらいなら、いっそ自分が楽にしてやろうと思った」と供述している。とありました。
環境省の虐待の説明に「治る見込みのない病気やけがで動物がひどく苦しんでいるときなど、正当な理由で動物を殺すことは虐待ではありません」
とありますが、ポリ袋に入れ、生きたままの状態で海に投棄することは、正当な理由ではないということでしょう。
以上になります。虐待の行為は、「正当な理由なく」というところがポイントと思います。この一文がなければ、不妊・去勢することや手術後の猫の耳をカットすることも虐待にあたってしまうでしょう。