犬猫レンタルは、一定の時間や期間中に動物を借りられるというサービスです。サービスの概要としては、お散歩体験やふれあえる程度の短時間のものや自宅に連れて帰り毎日のトイレや食事、散歩など一緒に過ごせる一定期間(一週間など)の長期のものもあります。お店によってはサービス利用後に引き取ることも可能なため里親探しを兼ねていることがあります。
犬を飼うことはできないけど犬が好きな方や犬を飼う前に実体験して検討をされたい方にとってはニーズにあったサービスであり、広く認知されたサービスではないとは思いますが、少なからず営まれているお店があるのが実情です。
一方で動物サイドからすれば勝手に知らない人に連れていかれ一定期間知らない場所で過ごさなければいけません。当然ストレスがかかることは想像に難くありません。また、命を軽視しているという意見も動物愛護家から指摘されます。このあたりはサービスを提供するお店、サービスを利用する愛犬家、サービスを批判する動物愛護家とそれぞれの立場によって見解はかなり分かれるところでしょう。
本記事では様々な意見を勘案し、犬猫のレンタルが動物愛護に反するサービスなのかを考察してみました。
▼目次
- 愛犬家のニーズとサービスの利点
- レンタル動物のストレス
- レンタルできるようにトレーニングされている動物
- 「商品」として扱われる犬猫
- 犬猫のレンタルは命の軽視なのか?
- 人のレンタルは問題なく、犬猫がダメな理由は?
- 犬や猫の貸出業は動物愛護管理法において登録制。法規制されているものではない
- 合法を隠れ蓑に動物虐待の側面を隠す
愛犬家のニーズとサービスの利点
犬のレンタルは、犬を自宅で飼えない愛犬家や飼うことを考えている方にとってはとてもニーズに叶うサービスです。
散歩やお世話を通して犬と触れ合いたい、飼育の楽しさや大変さを知りたい、家族の了承や飼育の協力をお願いしたいなど実体験することで飼う飼わないの判断ができます。また、お年寄りや身体の不自由な方にとっても毎日のお世話は難しくとも短時間、短期間の触れ合いをしたい方もいらっしゃいます。
その他、セラピーや写真撮影を目的にサービスの利用を考える人もいるかもしれません。
このように何らかの事情で犬を飼えない、飼っていない方にとってはありがたいサービスであると言えるでしょう。
レンタル動物のストレス
一方でレンタルされる動物にとっては、ストレスを感じることだと思われます。
一般的に動物のストレスは、不安や緊張を感じる環境に置かれることで生じます。レンタルされることを考えると知らない場所、知らない人など環境の変化は不安や緊張を強いられるかもしれません。加えて、動物に慣れていない人にレンタルされたら動物の行動やしぐさを見て状態を読み取ることが難しく、欲求が満たされず苛立ちを覚えてしまうのも当然のことかもしれません。
犬や猫の飼育経験がある方なら分かると思いますが、来客があっただけで吠えたり噛んだり引っ掻いたりする子もいますし、留守番が苦手な子もいます。お散歩も十分な時間が取れないとストレスを溜めてしまうのはよくあることだと思います。ペットを家族のように可愛がっているご家庭でも犬や猫がストレスを感じることは少なからず起きることなので仕方ないと考える方もおられるかもしれませんが、レンタルされる動物にとってはストレスを感じる状態が常に続き、加えて長い期間強いられることもあります。
犬や猫の感情は本当のところは分からないので、色々な人に遊んでもらって喜んだり楽しかったりする可能性もある。といった反対意見もあるかもしれませんが、レンタルされる状況を考えると負担が大きいのは明らかだと思います。
レンタルできるようにトレーニングされている動物
レンタルしても大きなストレスにはならない、と考える方の根拠の一つに「トレーニングされているから」というのがあります。
たしかに商売を考えるとストレスが原因で吠えたり噛んだり逃げ出したりではレンタルもままなりません。レンタルができるように知らない人や知らない場所でもそれなりに生活が可能なようにトレーニングされていると考えるのは妥当なことだと思います。
だからと言ってレンタルしてもストレスにならないし問題ないと考えるのも極端だと思いますが、環境の変化を気にしてストレスになる、と考えている方が思う程の負荷はかかっていない可能性があるのも事実かもしれません。
「商品」として扱われる犬猫
飼い主にとって犬や猫は「家族」と考える方は多くいらっしゃると思いますが、ペットショップやレンタルショップでは「商品」として扱われます。
お店やその店員の中には動物達を『家族だと思って接している』と話す方もおられるかもしれませんが、家族だと思っている存在を他人に売り渡したりしませんし、見ず知らずの人にペットを貸してと言われて貸す人はいません。おそらく動物の命を扱って商売している立場の人間がこういった綺麗事を語るから動物愛護家の嫌悪感を煽るのでしょう。
話はそれましたが言葉遊びをしたいわけではなく、お店やその店員が口ではどう言おうが商売をしている以上、動物は「商品」になります。では、商品だからと言ってぞんざいに扱うかというとそんなことは全くなく、商品だからこそ丁寧に扱われている、家族以上に適切に管理されているというのがお店側の立場であると考えられます。
犬猫のレンタルは命の軽視なのか?
上記を踏まえ動物のレンタルは命の軽視なのかという疑問があります。
動物愛護家の中には命で商売するな、金儲けの道具にするなと考えられる方もおられると思いますが、お店側は商売のために動物達の躾や健康管理をしっかりしてお客様に気持ちの良いサービスとなるよう努力もされています。動物達が強制労働されていたり劣悪な環境で使役されているわけではなく、思ったより適切に管理されているというのも理解が必要なところかもしれません。
こき使って働けなくなったらポイ捨てするような扱いだとすれば、命の軽視と指摘されるのは至極真っ当な意見ですが、商売を考えると使い捨てのようなやり方では成り立ちません。性格の穏やかな子を選定し、時間を掛けて躾を行い、日々の健康管理を行っています。犬猫を仕入れするために費用がかかったならそれを回収しないといけません。安定したサービスを供給できるように適切に管理しているのが実態だと思われます。
動物の命を扱い金儲けをしているのは事実(=命の軽視)かもしれませんが、商売のために動物達の躾や健康管理をされていることは=命の軽視だと言い切れないのではないでしょうか。当然、動物虐待扱いされる劣悪でずさんな管理をしているお店であれば、命の軽視という指摘は免れません。
人のレンタルは問題なく、犬猫がダメな理由は?
犬猫のレンタルを反対する方は、ストレスが可哀想・命を軽視するな・金儲けの道具に使うな、と言います。
しかしながら犬猫レンタルに相当するサービスは、人でもあるわけです。レンタル彼氏にレンタルおじさん、レンタルがつかなくともデリバリーヘルスといったサービスも同様だと思います。当然これらに携わる方々にとって多くの場合はお金のためにしていることであり、命を削ってストレスに耐えながらやっていると考えて差し支えないでしょう。
人も似たようなことをしている社会であるのに、犬や猫だけがダメというのは通用するものでしょうか?人は自分の意思でやっているからまだしも犬は自分の意思でやっているわけではない、強制的にやらされているから問題なんだ。という意見があるかもしれませんが自ら進んで自分自身をレンタルする人ばかりじゃないことを考えると人も自分の意思でやっているようでやれていないのが実情だと思われます。
もしかすると人のレンタルも問題であり、犬猫だけがダメというわけではないという考え方かもしれません。では、人も犬猫もレンタルは止めようとした場合、それはそれで借金が返せなくなったり生活ができなくなったりして困る人がいるわけです。嫌だけどやむを得ない事情でやっていることもあるでしょう。
犬猫もレンタルと合わせて里親サービスも兼ねている場合、動物に負担はかかるけど里親を探す手段のひとつとしての側面を持ち合わせているかもしれません。
犬や猫の貸出業は動物愛護管理法において登録制。法規制されているものではない
犬猫の貸出は、動物愛護管理法において登録制になります。自治体への登録義務があり、法に基づく飼養管理基準を守らなければなりません。また、営利目的でなくとも動物愛護団体の保護犬・保護猫も一時的に預かったりお試し譲渡も同様に自治体への届出が義務付けられています。
現状は、法規制されているものではなく、事業者が守るべき基準や規制を遵守されていれば営業自体に問題ありません。
むしろ昨今の風潮だと
「命の搾取」「動物の自由を奪うな」「動物虐待だ」
といった意見は、真っ当に商売なされている事業者にとっては、カスタマーハラスメントと同じくらいの暴言や過剰な要求として捉えられても不思議ではないでしょう。
合法を隠れ蓑に動物虐待の側面を隠す
前述の通り犬猫の貸出は動物愛護管理法を遵守し、規制や基準を守って営業を行っている限り問題はありません。それよりも適切に対応している事業者をひっくるめて強い言葉で批判する方がカスハラと思われても仕方ないくらいだと思います。
しかしながら、動物虐待では?と考える方の意見もどこか正しさを感じる部分もあります。私が端的に感じることを言えば、『自分が動物の立場だったら絶対に嫌だ』と思うところです。そんな自分がやられて嫌なことを強制的に長期間やらされてしまうことを考えれば、虐待だと感じられる方がいるのもおかしな話ではないなと思うところです。
動物虐待とは、暴力などの傷つける行為や恐怖を感じさせる行為、ネグレクトといった飼育放棄、動物を捨てるなどの遺棄などが該当します。このうち動物のストレスのことを考えると恐怖などの精神的抑圧が該当すると思われます。
動物に対して、その意思を尊重もせず強制的にやらしているのが犬猫のレンタルであって動物達が嫌だと感じていたり虐待だと思っていたとしたら?
法律で適正な取扱いをすべきと規制や基準を設けて運営するようにしていても、動物達が感情を表に出せない、言葉で伝えることができないことをいい事にやっていることだとすれば、合法を隠れ蓑に動物虐待の側面を隠しているという意見もうなずける部分はあるのだと思います。
