ある程度の野良猫の数や糞尿の被害は受忍できるものですが、限度を超えると苦情が出て来ます。
糞尿の悪臭、鳴き声、花壇・畑荒らし、ゴミ荒らし、猫の飛び出しによる交通事故など。
一部の方からの苦情であれば問題という程のことではないかもしれませんが、野良猫の数が増えてくれば見過ごせない事態になるのは明白です。
自治会、町内会に野良猫が棲みついてしまっており、特に何も対処をなされていない場合は、気付くと数が増え、増えるに連れて苦情も多くなる。
管理人の住まいの地域でも野良猫はかなりの数がおり、少し出歩けば数匹出くわすような場所です。自治会にも多く苦情が寄せられている状況ですが、正直なところうまく対処ができていないのが実情・・・。
さて、自治会や町内会の役員や会長を担当している場合、野良猫問題に対して何らかの手を打たないといけなくなる場合が出てきます。しかし、妙案というものがなかなかなく、手をこまねているケースがほとんどだと思われます。(管理人の地域もまさにその通り)
こちらの記事では、管理人の地域で行った対策や考え得る対策や手段についてまとめました。自治会・町内会の役員や会長を任されている方へ少しでもお役に立てればと思います。
▼目次
- 情報収集
- 被害や問題を顕在化するための活動
- 餌やり町民の対策
- 野良猫対策
- 野良猫対策の資金繰り
- その他の対策
野良猫の数の把握
野良猫の住処の把握
餌やりされている町民の把握
野良猫問題全世帯ヒアリング
野良猫被害の受付窓口の設置
イエローチョーク作戦
町内一斉糞清掃
町内一斉草刈り
注意喚起の回覧
巡回パトロール
餌やり禁止、遺棄・虐待禁止の看板設置
役所・保健所職員による指導
捕獲と保健所への収容
動物愛護団体への保護協力依頼
譲渡活動
TNR(去勢・不妊手術)
地域猫活動
飼い猫の室内飼い推奨、放し飼いの注意喚起
生活保護受給者による餌やりの注意は民生委員を介して
カラス、ネズミ、ゴキブリの被害状況も把握しておく
情報収集
野良猫に関する情報や被害状況など情報を集めることは対応を考える上で大切です。
野良猫の数の把握
自治会の管理する地域にどのくらいの野良猫が生息しているか把握が必要です。
自治会が広い場合は、野良猫の集まる場所がいくつかあるはずです。班やグループなど分けられている範囲で確認していくのもいいと思います。
また、お隣の自治会にも野良猫がどのくらいいるか教えてもらっておくと参考になります。
管理人の地域のケースでは、車道を挟んだ向かいの自治会には目立つ程はいないというのが分かっています。(うちのエリアに集まってきてしまっている)
野良猫の住処の把握
野良猫がどこにいるのか、住処にしている場所も把握しましょう。住処にしている場所、よく集まる場所の付近は苦情が出やすくなります。
餌やりされている町民の把握
野良猫が多くいる場合、必ず餌やりをしている方がいます。さらに、野良猫の数が多い場合は、複数の町民が餌やりをしている可能性が高いです。
また、餌やりをする場所の付近も苦情が出やすくなります。野良猫が集まりやすく、集まれば鳴き声や糞尿の被害が増えるからです。
野良猫問題全世帯ヒアリング
管理人の住む地域で自治会長が行っておりました。ヒアリングは表立って行っていたわけではなく、高齢者宅の訪問や未払い会費の徴収、たまたま道端で会った時など雑談を交えながら地道にヒアリングをしていたものです。
野良猫の数や集まる場所、餌やりするのがどこのお宅なのか、地道なヒアリングで掴めたそうです。
被害や問題を顕在化するための活動
どの程度の被害や問題が起きているのかを顕在化、把握するための活動も必要です。
野良猫被害の受付窓口の設置
誰にも相談できず、我慢していたり自衛をしている方が多い場合もあります。被害状況を把握する上で、できることなら被害の情報を集めて、被害の件数などをまとめ、記録しておく。
なぜ、そこまでして被害状況を把握しないといけないのか?
役所や保健所によっては、生活環境に支障が出てないと何も動いてくれないことがあるからです。また、保健所への収容を考えた際、生活環境に支障が出る程の被害がなければ、引取りを拒否される場合もあります。
自治会で受付窓口を設置する場合、役員や班長の誰かの電話を窓口にすることになるので、応対時間は決めておく方がいいでしょう。ただし、回覧などで案内する場合、被害状況の把握のために行っていることと対応や解決がすぐに行われるものとは限らないことは周知しておきましょう。
イエローチョーク作戦
糞が落ちていた場所をチョークで丸く囲み、日時を書いておくというもの。本来は飼い犬の糞放置の対応策ですが、糞の問題がどのくらい起きているものなのか、衛生面の悪化を計る上でも行ってみてもいい施策です。
町内一斉糞清掃
環境美化の一面はもちろんですが、衛生面の悪化の把握にもなります。
なお、管理人の地域では却下でした。人が集まらない、やるのは一部の人だけになるという理由で。(それなら普段気付いたら一部の人が糞を片しているのと一緒なので)
町内一斉草刈り
野良猫が隠れやすい茂み、住み着きやすい場所の手入れなどを一斉草刈りと称して行います。
管理人の地域でも一斉草刈りは行っていますが、逆に草がなくなった場所で日向ぼっこをする野良猫もいます。道路沿いや林道沿いなどは、ただの草刈りだと思います。高齢者宅で庭の手入れが行き届かなくなったお宅の草刈りを手伝ってあげた方が効果的だと感じています。
餌やり町民の対策
餌やりを止めればどうなるか?
その地域から野良猫はいなくなります。
野良猫がいなくなる前段階にゴミを荒らされたり、家の中に侵入されたりという問題もあるかもしれませんが、その対処もきちんと行えれば野良猫は餌を求めて移動します。この場からいなくなれば、他所の地域に流入してもいいのか、餓死や病死すればいいのか、といった意見ももちろんありますが、その場からいなくなるのは事実だと思います。
本当にいなくなるのか?と言えば、
餌がない地域に野良猫は住めません。ネズミやゴキブリも一緒で、空き家にはいません。人が住んでいる餌や水が確保できる場所に住みつくのです。野良猫も餌がなければ探し求めて移動するものです。
しかし、餌やりしている方への説得が難しく、法的拘束力もないため、餌やりを止めてもらうのが難しいのが実情です。
注意喚起の回覧
無責任な餌やりの禁止、糞尿の始末、世話をするなら不妊・去勢手術の啓蒙。放し飼いの自重など。
巡回パトロール
無責任な餌やり禁止の呼びかけと注意、猫の遺棄・虐待の防止を目的とした巡回パトロール。
餌やり禁止、遺棄・虐待禁止の看板設置
野良猫が集まってしまう公園や空き地、駐車場などへの看板設置。
役所・保健所職員による指導
無責任な餌やりによる糞尿の被害、鳴き声、飛び出しによる交通事故など生活環境に影響が出ている場合は、役所・保健所に相談の上、直接指導を依頼します。
野良猫対策
自治会・町内会で出来得る野良猫対策をあげてみました。
捕獲と保健所への収容
野良猫の捕獲を行い、保健所に引き取ってもらう方法は、このご時世簡単にはできません。保健所で捕獲はしてくれませんし、一部の住民が必ず問題視します。回覧で一斉捕獲の案内をしようものなら、インターネット上に情報が漏れて大問題になることが容易に予想されます。
これを行うには、
- 生活環境に悪い影響が生じていることの証明
- これまで対策を講じてきた結果、それでも問題が解決しない、拡大している事実
- 自治会住民の理解(総意)
が必要となり、その上で役所や保健所に相談し、捕獲と保健所への収容といった流れが必要になってきます。
※過去に三重県亀山市みどり町が野良猫の一斉捕獲と保健所の収容を実施しようとした際、インターネット上に情報が漏れ、愛猫家や動物愛護団体などから抗議が殺到したケースがあります。
捕獲した猫を他所へ移動させるのは遺棄に該当
捕獲の際、野良猫を傷付けるようなことをすると動物虐待を疑われることもそうですが、捕獲した猫を人里離れた場所に放すことも遺棄に該当し、犯罪です。昔は、悪さをする猫を山に捨てるようなこともあったかもしれませんが、現行法では犯罪です。
動物愛護団体への保護協力依頼
単純に保護をしてくれるなら話は早いのですが、
- 子猫は保護しても成猫は保護しない。
- 不妊・去勢のサポートはできても保護して引取りはしない。
- 地域猫を勧められる。
など、思うようにことが進まないことが多いと思います。
なお、管理人の地域は、地域の問題に第三者を入れたくない。という理由から動物愛護団体や猫ボランティアといった方々へ協力は依頼しない方針です。
譲渡活動
自治会で野良猫を保護し譲渡活動が可能であれば、猫にとっても人にとっても良く、愛猫家の方にも受け入れられると思います。しかし、簡単な話ではないので、猫の面倒を見れる方の協力がないと難しいでしょう。
- 捕獲の手間(捕獲器が必要)
- 保護する場所の確保
- 保護した後の人馴れさせる期間の世話
- 捕獲器、餌代、医療費などお金の問題
野良生活が長いの猫の場合、人馴れせず、飼育が難しい場合もあります。譲渡が難しい猫の扱いの検討も必要です。
また、里親を見つける期間も予め決めておき、見つからなかった場合、どのような扱いとするのかも決めておく必要があります。
TNR(不妊・去勢手術)
野良猫の数が増えないように不妊・去勢手術を行う。自治体によっては、助成金を出しているところもあります。
地域猫活動
地域の課題解決のため、地域で猫を管理する活動です。不妊・去勢手術を行い繁殖制限した上で、一代のみ管理していくもの。数を減らして、最終的にはゼロにするのが目的ですので、譲渡活動もこの間に行います。
ただし、地域できちんと管理ができない場合、糞尿などの被害は収まりませんし、新たな捨て猫や流入する野良猫により数も一向に減りません。
地域猫発祥の地である横浜市磯子区では、20年以上経った今でも地域猫活動が行われています。
野良猫対策の資金繰り
保護するにしろ猫よけするにしろ何かとお金がかかります。
- 町民に募金をお願いする。
- スーパーなどに募金箱を設置させてもらう。
- 自治会費を増額する。
自治体によっては、不妊・去勢手術に助成金が出ます。また、地域猫を奨励している自治体では、地域猫の管理費用の補助金が出るところもあります。
なお、管理人の自治会では、思うように募金は集まらないだろう。という意見がありなかなかうまく進みません。
その他の対策
飼い猫の室内飼い推奨、放し飼いの注意喚起
放し飼いも糞尿等の被害の原因の一つです。また、不妊・去勢をされていない放し飼いの猫は、野良猫を増やす要因になります。
管理人の地域では、放し飼いをされている方がおり、放し飼いの猫の餌を外で与えています。そのついでに野良猫にも餌を与えており、餌やりの原因の一つにもなっています。
生活保護受給者による餌やりの注意は民生委員を介して
餌やりしている方が生活保護受給者だったことがありました。
- 餌を道端にばら撒く住民がいたため役所から注意
- 時間を早朝に変えて餌やり
- 新聞配達の方からの通報で発覚
- 保健所の職員から注意
- ばら撒くのは止めて、袋に詰めた置き餌に変更
どうにも止める気配がなかったのですが、民生委員から生活保護のお金は野良猫に餌を与える為のものではないことをお伝えしてもらうとようやくストップしてもらえた経緯があります。
※正確には、民生委員だったかはあやふやです。役所の職員からの注意であったことは確かです。
カラス、ネズミ、ゴキブリの被害状況も把握しておく
置き餌をされる方がいる場合、カラスやスズメ、ネズミ、ゴキブリなどが増えてしまうケースもあります。最近、カラスが増えたな・・・と感じたら、置き餌の可能性があります。猫の被害の苦情に加えて、カラスなどの被害の苦情も増えてきたら生活環境が相応の悪化をしているものと思われます。
以上になります。野良猫は繁殖制限されていなければ、あっという間に数が増えてしまいます。野良猫が目に付くようになったら早くの対応が必要です。数が多くなったら労力もお金も比例してかかってしまいます。