そりゃあ、人だって骨が刺さることはあるんだから、猫だって刺さるだろ(雑)
根拠もへったくれも抜きにすれば、ヘマすりゃ刺さるという話。実際のところは、猫って魚を美味しそうに食べることが多いです。生魚をそのままいただいたり、焼き魚をいただいたり、刺身を与えてもらえるご家庭もあります。
そして多くは、頭だけ残してまるごと食べてしまっていることが多いのですが、この際、骨は刺さらないものなんでしょうか?
管理人も色々と気になりましたので、少しまとめてみました。
▼目次
- 人間のように食べ物をすり潰すのは得意ではない
- とは言え野良猫ならネズミや鳥を食べているわけで
- 現代猫は魚を食べるのが不得意?
- 漁師町の野良猫は美味しくいただいてます
- 子猫に魚は注意が必要
- 与えない方が良い魚
- 骨が刺さってしまったら
人間のように食べ物をすり潰すのは得意ではない
ネコ科の動物は捕食動物です。獲物を捕らえる際、4本の犬歯を使い、首元を狙い窒息死させるか、頸部などの脊髄を砕いて息の根を止めています。
4本の犬歯は、獲物の肉と骨に深く突き刺さためのものですが、これは抜きやすいものでないといけません。
獲物の肉が歯と歯の間に挟まってしまっては、仕損じた場合、次の行動に素早く移れず、狩りの成功率が下がるからです(=生存率も下がってしまう)ゆえに上顎と下顎の間にはわずかな隙間を持たせており、牙での捕食がしやすい構造となっています。
また、猫が魚の骨を砕く場合、裂肉歯と呼ばれる奥歯を使うことになりますが、人間の奥歯のようにすり潰すような歯にはなっていないため、細かく砕くにも限度があります。加えて、猫は頭を一方に傾けて、あむあむと噛んでいきますが、すぐに疲れてしまってもう片方を使いはじめます。顎の持久力もさほどないので、噛むこと自体そこまで得意とは言えないのでしょう。
とは言え野良猫ならネズミや鳥を食べているわけで
野良猫ならネズミや鳥を食べています。ネズミなら骨ごとまるごといただきますし、鳥も羽根は振り回してむしり取っていただきますが、あとはほとんど残さずに食べてしまいます。
飼い猫のようにキャットフードが食べられなければ、逞しく生きているもので、魚に関してもそこまで苦にすることはないのかもしれません。
現代猫は魚を食べるのが不得意?
アスファルトは舗装され、ゴミも綺麗に捨てられ、畑もほとんどないような地域もある現代です。ネズミがよく見られるような社会ではなくなってしまったので、野良猫であってもネズミを主食とする猫は少ないのかもしれません。獲物を捕らえて、肉を引き裂き、引きちぎり、骨を噛み砕きながら食べる機会は少なくなったとも考えられるでしょう。
また、飼い猫に関しては昔のように猫まんま、ご飯に食べ残しに魚をのっけたり、かつお節をまぶしたりといったものを食べる機会も少なくなっていると思います。キャットフードに慣れてしまった猫は、噛み砕く必要もなく飲み込むようにして食べられるので、咀嚼に関しては慣れていない、不得意と言えるかもしれません。
現代猫は、昔の猫と比べると咀嚼は不得意になっているかもしれませんね。
漁師町の野良猫は美味しくいただいてます
漁港のある町の野良猫は、漁師さんから余った魚をもらって食べています。宮城県の田代島や兵庫県淡路市の岩屋など漁港のある地域では、余った魚がごちそうのように振舞われます。
では、これらの地域の野良猫達は、魚の骨が刺さって苦しんでいるのか?といえばそういった話は聞いたことがありませんし、刺さることがあっても稀なことだと思います。もし、猫達が集団でえずいたり嘔吐していることがあればニュースにもなりそうですが見聞きしたことはありません。
また、漁師さん達が気を利かせて骨が刺さりにくい魚を選んで与えているというのもあるかもしれませんが、あくまで余った魚になると思うので、ざっくばらんに与えているのが普通だと考えられます。
あとは、その魚を食べる野良猫達の食べ方の問題で、それは長くその味を親しんできているので、食べられる魚、食べられない部位、骨に注意が必要な魚、なんてことは分かっているのかもしれません。
基本的に猫は神経質で用心深く、食べる時でも慎重な一面を持ち合わせています。ゴミを漁る野良猫だって、食べられるものか食べられないものかを判断して口にしているので、漁師町の野良猫達も魚の骨が刺さり食べにくいのか食べられないのかは、よく理解していると思います。
子猫に魚は注意が必要
成猫であれば、骨は飲み込めるくらいには砕いて食べているとは思いますが、子猫の場合はそうもいきません。噛み砕く程の歯の丈夫さはまだありませんし、飲み込む力もそれほどありません。口の中を怪我してしまったり、喉に骨が引っかかることもありますので、子猫に魚は与えるべきではないでしょう。
また、同じような理由で、歯や噛む力が衰えた老猫も注意してあげる方が良いでしょう。
与えない方が良い魚
骨に関して言えば、人が骨ごと食べられるか食べられないかで、与える与えないの判断をするのがいいかと思います。そう考えると、サンマやイワシは問題ないと思いますし、逆に骨の固いタイなどはNGです。鯛のあら汁は美味しそうですがそれ以上に危険を伴うことになります。
また、一般的に青魚は猫に与えないのが常識です。アジ、サバ、サンマなどの青魚を与えすぎると脂肪が黄色く固まってしまう黄色脂肪症になることがあります。
それから、人が残した魚も塩焼きや醤油がかかってしまっていると塩分過多になるため与えない方が無難です。
では、刺身は?なのですが、与えすぎに注意が必要。特に川魚、サケ、スズキ、カレイ、ニシンなどを食べ過ぎるとビタミンB1欠乏症になってしまいます。イカ、タコ類も同様の理由でNGなのですが、これらの魚も与えすぎない程度に注意が必要です。
骨が刺さってしまったら
口の中や喉などに骨が刺さってしまった場合、それほど深刻でなければ自然と抜け取れていくものです。餌を食べたり、水を飲んだり、はたまた嘔吐をしたりして取れることがほとんどです。
なかなか抜けずに苦しむこともありますが、刺さった箇所は次第に腫れあがり、異物を身体の外に出そうとします。誰の手も借りられない野良猫は、このようにして自然に任せて骨を取り出していると思います。
飼い猫の場合は、口をもごもごしたり、えずく様子がしばらく続き心配であれば動物病院へ。口の中の見えるところであれば、取り除くことは可能かもしれませんが、無理に吐き出させようとすると骨が深く刺さってしまったり、内臓を傷付けてしまうかもしれません。
妙に甘えてきたり、距離を取ったり、翌日のご飯を食べてくれなかったり、気になる様子があるときはかかりつけの病院で診てもらうのが良いかと思います。
以上になります。よっぽど固い骨でなければ、唾液や食べ物の水分で食道を通り、胃に送られた後は胃酸で溶かされます。溶かされた後は腸で栄養を吸収され残りは糞として排泄。過剰な心配は必要ないかもしれませんが、固そうな骨は与えないように配慮してあげるのが良さそうですね。