猫について知ってることってなんだろう?
飼い猫がいらっしゃるお家はさておき、飼育経験がない方もなんとなく見聞きしたイメージはお持ちだと思います。甘えん坊で寂しがり屋、構ってあげるとさっと立ち去ってしまう気分屋さん。寝てばっかりと思いきやどこかほっつき歩いてたりする自由きままさ。また、したたかさや計算高いイメージをお持ちの方も多いと思います。
とはいえイメージは分かるけど、習性や行動面までは身近な存在でないとわからなかったりします。
「猫の」というと、様々な書籍や猫好きの方のサイトにたくさん情報ありますので、こちらでは野良猫に絞ってまとめてみました。
それから、当サイトは野良猫対策を目的にしていることもあり、被害に遭われている方視点も少し入っています。ご容赦ください。
▼目次
縄張りと行動
糞尿他、何かしら被害に遭われているお家は、その野良猫の縄張りの範囲に入っていることと思います。猫の行動や縄張りの範囲、そこでの活動についてあげていきます。
単独行動が基本
ネコ科の動物は、基本的には一匹で行動します。野良猫も住処は他の猫と共同で使用することはありますが、外に出る際は基本的には一匹で行動しています。
※管理人の近所の野良猫達も住処は共同で6匹程度が使用していますが、住処を離れ移動している姿を見かける際は基本的に一匹のことがほとんどです。
なぜ単独行動するの?
- 猫の捕食対象はネズミや野ウサギに野鳥。
- 寝る時間は一日の半分以上。
ネズミや野ウサギなどは単独で狩りができるもので、複数で相手にする必要がありません。また、寝ている時間も長く一人で過ごす時間が長いです。それと単独行動が基本だと繁殖しづらいように思えてしまいますが、交尾をすれば確実に妊娠する交尾排卵だったりします。群れずに行動できる仕組みを備えていると言える野良猫です。
縄張りの範囲は、半径200~500m程度
住処を拠点として縄張りの範囲は、半径200~500m程度(メスはその半分)。この範囲の中で狩場、寝床、休息、日光浴、トイレ、集会場所などを施設として利用しています。
しかし、繁殖シーズンでは雄の行動範囲が数倍に広がることがあります。これは、発情した雌を求め縄張りの外に出歩くことから行動範囲が広がるようです。
※田舎のような広い土地、都心部の住宅密集地、その地域の環境によって縄張りの範囲は前後すると思いますが、広くても倍程と考えられています。
縄張りの範囲は、他の猫と重なることがある。
住処を他の猫と共同で使用することもあり、縄張りの範囲や利用施設も他の猫とかぶることがあります。縄張りの範囲はかぶるものの基本は単独行動で、ばったり出くわさないように猫同士で調整しています。
※ある程度餌が豊富な場所では一定の範囲で複数の野良猫が棲みつくことはよくある話です。群れて行動することはほとんどありませんが、お互いの存在を把握しながら暗黙の了解で生活しています。
よそもの猫に厳しい。縄張り内でよそ者にばったり出くわすとケンカになる。
雄同士は、縄張り争いがあり、発情期には雄の行動範囲が広がることからよそ者と出くわしやすく、発情期で攻撃的になっていることもあり争いが増える。
雌は子育て時期、特に熱心に縄張りを守ろうとします。管理人も子育て時期に仔猫に近寄っただけで、母親猫からフーフー声で威嚇をされたことがありました。
縄張り内は野良猫の生活環境そのもの。だからその場所に執着する。
縄張りの中での最重要事項は餌の確保。餌がなければ生きていけません。自分の生活圏内を確保するために周囲を見回ったり、いつも同じ場所にいたり、他の猫を威嚇したりします。縄張りを侵されれば死活問題なので、だからその場所に執着します。いくら猫よけをしても毎度糞をしにくるのは、自分の縄張りだと考えているからです。(なので一度トイレ化されると防ぐのが難しく長期戦になってしまいます)
野良猫と住処、野良猫とエサ場
住処
近所で野良猫をよく見かける、庭によく訪れる、糞をされてしまう。などあれば、近くに必ず定宿があります。
その地域に住む野良猫にとって、住処は大事な場所の一つ。都合の良い場所を選んで定宿としています。
- 雨風をしのげる場所
- 人気が少ない場所
- 家主が好意的、エサを与えている
付近に当てはまるような、廃屋や廃工場、家屋と家屋の間の死角になる場所、アパートやマンションの敷地内で人があまり近寄らない場所、堂々とエサやりする猫屋敷。そんな場所があれば住処としているかもしれません。
以下は、野良猫の寝場所、寝床についてまとめた記事。こちらもご参考くださいませ。
エサ場
エサ場は野良猫にとって生命線。あれば居続けられ、なければエサを探しに移動を余儀なくなれます。
人の住む住宅街で、ネズミが主食の野良猫は少ないです。生ゴミを荒らしている、誰かがエサを与えていると考えた方が自然です。
そして、エサをきちんと管理して与えていなければトラブルに繋がりますし、周辺環境に悪影響が出るはずです。カラスが増えた、鳥のフンをよく見かけるようになった、野良猫が増えた、歩いていると糞をよく見かける・・・etc
また、エサを与える住民がいたとすると、大抵は決まった時間に与えていると思います。同じ時間帯によく見かける場所があれば、その付近がエサ場となっていることも考えられます。
野良猫は餌があれば居着く。
餌がなければ野良猫はその場所に住めません。廃墟や廃屋にネズミやゴキブリが棲みつかないように餌がなければ生き物はその場所に住めないのです。
ですので、ネズミや野鳥が豊富な野山や山林が近くにない住宅街に野良猫がいる場合は、必ず餌やりをしている人がいます。そして、簡単に餌が手に入ると思えば、そこに居着きます。当然のことです。
野良猫は餌がなければ移動する。
逆も然りで、餌がなければ餌を探しに移動します=餌やりを止めればその場からいなくなるわけです。
餌やりを止めても居続けることがある場合
餌やりをしている方が役所や保健所の職員から注意や指導を受けて、餌やりを止めてくれるケースがありますが、餌やりを止めても居続ける場合もあったりします。それはなぜか?複数の方が餌やりをしている。餌やりを止めると言っておいてこっそり与えている。そんなことがほとんどです。管理人の近所の餌やり住民も影でこっそり餌を与え続けるというものでした。
糞尿などによるマーキング行為
縄張りではにおいを残し、自分の居場所であることを他の猫に示す(=マーキングを行う)。というのが一般的な解釈です。その示し方とはいくつかあります。
尿
電柱や木、藪、草むら、壁などに噴射し、さらには噴射したものに頭を擦り付け、その頭で他の物に擦り付けマーキングを行います。尿はツーンとした臭いで強烈です。家や敷地内でされやすい場所で言えば、室外機や植え込み、車のタイヤなどがあげられます。
※管理人の近所の住処となっている場所に近付くと、どことなく酸っぱい臭いが漂ってきます。
糞
糞はある程度決まった場所をトイレとして使ったり、目立つ場所にします。通常は糞をした後に土などをかぶせて隠すものですが、マーキング的な意味となると隠さず堂々とそのままにしておくケースもよくあります。
※管理人宅では庭の土の部分によくされていましたが、あるときマンホールの上(水道管蓋の上)にホカホカとされているのを発見したことがあります。(あの絶望感)今思えば単なるトイレではなくマーキングの意味が込められていたのだと思います。
引っ掻き傷
爪を研ぐ行為自体が自分の縄張りを誇示することであったり、その傷がマークとなるといった解釈のようです。室内の飼い猫では家具などに引っ掻き傷ができて困った話はよく耳にするかと思います。
顔を擦りつける
猫の頬(口の横)や、眉の上部には臭腺が有ります。もしあなたの足元などで顔を横にしてこすり付けるような仕草をしていたら、それは自分の臭いを付けている行動です。自分の臭いを混ぜ合わせ、自分の物であることの意思表示をしています。
マーキングで他の猫に存在を知らせている。
このマーキング行為、マーキングがされているからといって、他の猫がその場に立ち入るのを止めたりはしないようで、マーキングがされている上から尿をかけたりしています。猫達の間では匂いの強さで他の猫が近くにいることを把握したり、フェロモン的なもので雌猫の発情を把握したりもします。いずれにしろ猫社会のコミュニケーションにおいて大事な行為と言えると思います。
また、オスの方が尿によるマーキング行為が多く、メスは少ないようです。メスの場合、発情期になると頻繁にしているのをよく見かけます。
行動パターンと行動時間
猫は夜行性だとも言われますが、管理人の近所の野良猫達は必ずしもそうではないようです。猫の行動の深い部分は、学術的な文献等にお任せし、近所の野良猫達の行動からパターンと行動時間をあげました。
行動パターンと行動時間 ※管理人の観察による。大体こんな感じです。
- 6時くらい
- 散歩
- 7時~9時
- 休息
- 9時~10時
- 食事(エサをもらえる住民宅で食事)
- 10時~12時
- 休息(かなりぐっすりと寝ていることが多い)
- 12時~18時
- 休息ときどき散歩
- 18時~20時
- 散歩&食事(食事をもらえそうな住民宅の各所へ訪問)
- 20時~23時
- 休息&散歩
- 23時~明朝
- 休息
- ※19~22時辺り
- 時折、複数匹連れ立って広い庭の住民宅で集会
陽が出てきた朝方から行動をはじめ、午前9時過ぎにエサをくれる家に集まります。(エサをもらえるもらえないに限らず来ます。)その後、涼しい時間帯は日光浴をし、暑さが厳しい時間帯には日陰で昼寝をしています。時折散歩に出掛け、道路を走る車や自転車に追っ掛けられたりし、散歩が終わればまたお気に入りの休憩場所で寝ています。
そして、18時過ぎになると動き出し、夕飯をくれる家にエサをもらいに行きます。そのあとは他の猫を連れ立って、集会をしていたり、住処近くの街灯の下で佇んでたり。深夜時間帯は滅多に鳴き声を聞くこともなく、繁殖時期を除けば静かな様子です。
行動時間の規則性について
近所の野良猫は、決まって午前9時過ぎにエサをくれる家に集まります。時間に正確なのは食事の時間を決めているということではなく、エサをあげる住民の時間に合わせての行動です。
また夜行性と言われる所以としては、本能的な部分で主食のネズミの活動が活発になる夜間が狩りの時間になっていたため、夜目が利き、夜に狩りをしていた名残です。
以下で、近所の野良猫のタイムスケジュールをまとめました。こちらもご参考くださいませ。
糞のされやすい時間帯
糞をする時間帯を考えると胃腸が活発になっている時間帯になるはずです。では、胃腸の活発な時間帯とはいつ頃か?食事をして胃での分解、消化が始まり、胃から小腸、大腸へと消化と吸収を経て、残りかすとなったものが糞となるわけです。食事の始まる時間から胃腸が活動しはじめ、その後数時間は胃腸が活発になります。
食事の時間は、餌を人からもらっている野良猫の場合は、餌やりの時間に左右されると思いますが、夜の時間帯にもらったり早朝の時間にもらうことが多ければ、早朝から午前中にかけての時間帯が糞をされやすい時間帯と考えていいと思います。
実際に、管理人の地域の野良猫達の多くは、早朝から正午にかけての間に糞をしていきます。午後の時間帯に糞をすることも稀にはありますが、少ないです。餌やりの時間帯は、早朝から9時くらいにかけては必ずあり、夜間も人知れず餌やりをしている住民がいます。似たような生活を送っている地域では、早朝から午前中にかけての糞被害が多いように思います。
【補足】仔猫を見かける時間帯
生後1ヵ月以内の仔猫は、母猫に守られ、安全な場所で過ごしていることがほとんどです。仔猫が住処から出てしまったとしても母猫が首根っこを捕まえて住処に戻したり面倒を見ますので、ほぼ見かけることはないと思います。
しかし、全く外に出ないかと言えばそうではなく、管理人の経験では生後1ヵ月~2ヵ月の仔猫を晴れの日の早朝6時~9時くらいの時間帯に住処から出てきているのをたまに見かけることがあります。もちろん母猫が側についています。
必ずしもこの時間帯であれば、見かける。というわけではないかもしれませんが、人通りが少なく、他の動物に襲われる心配が少なく、比較的安全だと判断した時間帯に外に出すことがあるのかもしれません。
糞をする場所
柔らかい土など掘り返しやすい場所というのもそうですが、どの辺りかというと餌を食べている近くです。そもそも行動範囲自体広くはないので、住処やご飯を食べる場所を除けば(野良猫もそういった場所は極力汚しません)、餌場の付近になります。わざわざ遠く離れた場所に行ってまですることはまずありません。
いつも糞をしている自分の臭いのついた落ち着いてできる場所でしていると思いますが、そういった場所を野良猫は確保していて、そう思っているからその場所にこだわって糞をします。
発情期の時期、期間、年間何回、子育て
野良猫問題はすぐに解決に至ることが難しく、長期戦になることがままあります。今、発情期でない場合も発情シーズンやその期間、年間何回行われるのかなど知っておくのもいいかと思います。
発情期は、基本年に1度・・のはずなんですが
1月の初め頃から始まって、2月にピークを迎え、3月末辺りに終わりを迎える。この間に妊娠できなかった雌猫は5月頃に再び発情期を迎えることもあります。
基本年に1度というのも日照時間が関係していて、冬至(12月22日)の日照時間が一番短い日を境に徐々に昼の時間が長くなるのにつれて、メス猫が発情を迎えるというもの。
しかし、都心部では街灯もあり夜まで明るく、飼い猫も室内はいつでも明るい。そういったことから昔ながらの体のリズムというわけにもいかないようです。
発情期が年に何度も来ることも
栄養状態、子育て状況によっては年に2度、3度と発情期を迎えることがあるようです。雌猫が十分に栄養を摂れる環境で、子育てが順調、若しくは仔猫が全匹亡くなってしまったり条件が整えば、年に2度、3度と発情期を迎えることがあるそうです。
発情の時期でよく言われるのは、春、秋ですね。しかしざっくり言えば季節性がない。というところです。
妊娠と子育て期間
妊娠期間は、約2か月。子育て期間は短くて3カ月。3カ月もすると母親の雌猫もあまり仔猫に構わなくなり、次の繁殖の準備に入ります。仔猫も身体が大きくなり始め、次第に一匹で行動をし始めます。
仔猫の生存率
野良猫の生育環境は厳しいのもので、1歳まで生き延びることができるのは10%~20%程度。衛生面、栄養状態が悪いことで病気にかかったり、母猫が育児放棄してしまったり、雄猫に殺されたり、捕食動物の餌食になることも。都会では交通事故に遭うことも死因の一つです。
親離れ、子離れ
母猫は子猫がある程度大きくなると(発情期が訪れるくらい)、子猫の世話もしなくなり、オス猫は追い出されたり、自ら住処を離れて縄張りを求めると言われています。
近親交配を本能的に避けるなど理由はあるようですが、餌が豊富な場所では住処は別に持つかもしれませんが、近い場所で生活していることもあるようです。(管理人の地域がそうです)
メス猫の場合は、母猫と同じ住処に居続ける場合もあります。(近所の猫屋敷も何匹かいるうちの多くがメス猫です)
野良猫は人を避ける(あまり懐かない)
基本は人を避けて生活するのが野良猫ですが、たまに懐いたり甘えたりする猫もいます。
人に懐きにくい野良猫の例
- 野良猫に育てられた野良猫
- 人に虐待された野良猫
- 餌を自分で捕っている野良猫
野良猫2世のような人と接する機会が少なく育った野良猫は、母猫から警戒することを教えられています。また、人から虐待された過去を持つ野良猫も身の危険を理解しているので懐きません。
人に懐きやすい野良猫の例
- 元飼い猫の捨て猫
- 人から餌をもらって生きている野良猫
- 人に可愛がってもらえている野良猫
- よく鳴く野良猫
人から餌をもらっている猫でも人から直接は絶対にもらわない、人がいる前では絶対に食べないといった猫だと、人馴れせず懐きません。
よく鳴く野良猫は一概には言えないかもしれませんが、猫同士がコミュニケーションするときは匂いや仕草でするので声は出しません。それに単独行動が多いので一人でいる時も鳴きません。猫同士で声をあげるのは喧嘩の時や発情期の時くらいです。よく鳴く野良猫がいたらその猫は人と関わっている可能性が高いです。人とコミュニケーションを取るのに鳴き声をあげています。(鳴けば近寄ってきてくれる、餌をもらえるなど)
警戒心の強い野良猫
外で生活をする野良猫なので、身の危険には敏感なくらいでないと生きていけません。寝ている時でも触ろうと近くに寄っても先に気付いて逃げるのが普通です。(相当油断していない限り)
子猫であればイタチやタヌキにカラスなどの格好の獲物ですし、成猫であっても人に捕まる危険や子供にいじめられる事だってあります。この他、車に轢かれたらよくて重症、死に直面します。警戒心が強いくらいでないと外で生活するのが難しいのが野良猫なので、人にも警戒するくらいが当然の野良猫です。
もし、自ら人に近寄っていったり甘えたりするような野良猫がいたら、もしもの時があったら生き残れないかもしれません。
以上が野良猫の知識まとめページでした。その他、習性や生態についての個別の内容は他のページにまとめているものもあります。ご興味があればそちらも参考くださいませ。