役所の職員や保健所の職員、社会福祉士の方などから注意を受けた場合、厳しい言葉をかけられたと思います。
また、役所や保健所の職員の方が注意をする場合、苦情を入れた方の話を聞く以外にも現地の状況を実際に確認されたり、野良猫による問題を把握した上でお宅へ訪問をしています。その為、口頭で注意を受ける際は、それなりに厳しい言葉をかけられることがあるのです。
管理人の地域でも野良猫への餌やりが問題になっています。町内会では回覧による注意喚起、役員の方が餌やりしている方のお宅へ訪問しお話を伺ったりしてきました。そして、役所への通報、苦情も多く、役所の職員も餌やりをしている方のお宅へ足を運んでいます。
第三者から餌やりを注意されてしまった場合、餌やりを止めるべきなのか、何か改善方法はないのかを考えてみます。
餌やりを止めた場合、飢えに苦しむ可能性がある
猫達はこれまで、人から餌をもらって生きてきているので、突然餌がもらえなくなると死活問題になります。自分で狩りして餌の確保をしてこなかったわけですから、餌場はあなたが餌やりをしていた場所です。ネズミの巣穴などの餌場を知っている可能性は低いのです。
明日から自分で確保するとなると、餌場を見つけるところからになり、その間に飢えに苦しむ可能性は非常に高いと言えると思います。
こういった現実は、餌やりをしている方の多くが理解しているので、すぐに餌やりを止められず、気づいたら何も手を打たずにやり続けてしまう現状があるのではと思います。
では、どうすればいいのか?役所、保健所の職員に相談する
注意を受けた相手、役所、保健所の職員の方に、給餌・給水のストップは、野良猫の飢えに繋がり、苦痛を与える結果になることを相談しましょう。動物愛護の観点から言えば、給餌・給水のストップは、動物虐待と見られても仕方ない行為とも言えるからです。
役所や保健所の職員も動物虐待となるような指示はできないでしょうから、何かしら代案を考えてくれると思います。
もちろん、あなたに飼い主になることを求められたり、友人や知り合いの方などに引き取ってもらえないか聞かれることは往々にしてあると思いますが、あなたができるできないの実情をお伝えし、現実的な解決方法を一緒に考えていくのが良いかと思います。
給餌・給水のストップは、動物虐待か?
有名な裁判で、将棋棋士の加藤一二三氏の餌やりに関する損害賠償請求の判例があります。
こちらの裁判では、最終的に被告に損害賠償204万円の支払いを命じられる結末になるのですが、この裁判の過程で給餌・給水を止めることは虐待にあたり、動物愛護法に反する。という主張がありました。
この主張に対して裁判官は、
「野良猫に対して餌やりを中止しても動物愛護法違反に当たらない」
野良猫の餌やりを中止しても動物愛護法の条項は適用されない。と判断しました。
このため、給餌・給水のストップ=動物虐待 というわけではありません。餌やり行為の結果、近隣の迷惑や生活被害、健康被害に及んでいる場合などは、このような判示になることもあるということです。
餌やりを続ける妥協案。トイレの設置、近隣の糞尿始末
餌やりを注意された場合、近隣住民は何かしら野良猫による被害を受けています。糞尿、鳴き声、庭荒らし、車の傷などがありますが、最も忌み嫌われるのは糞尿だと思います。
自分の飼い猫でも何でもない猫に庭や花壇、玄関先などに糞をされては、嫌な気持ちになるものです。もちろん片付けなければいけませんので。さらに、猫は同じ場所で糞をすることがほとんどですから、これが毎日のように続くとなれば、うんざり、辟易、憂鬱、ストレス、色々な感情が渦巻くもの。加えて、猫よけをするとなれば少なからずお金もかかりますので、これも本来は支払う必要のないお金なので、余計な出費も迷惑な話です。
前置きが長くなりましたが、野良猫に餌をやれば、糞をするのは当然です。糞の始末をしなければ、周囲から苦情が出るのは必然でしょう。
もし、トイレの設置とトイレ以外で糞をしてしまった場合、糞の始末をすることが妥協点になるなら敷地内などにトイレを設置、日に何回かの周辺のパトロール、糞尿の始末をする。ということで、餌やりの継続が可能かどうかを模索するのも良いかもしれません。
ただし、糞尿の始末が不十分だった場合、再度苦情になる場合も考えられますので、日々怠ることのないように取り組む必要があるかと思います。
餌やりしている場所と時間を変える
前述のトイレの管理に加えて、餌やりをしている場所と時間を変えることができるのならそれも妥協案の一つかもしれません。
通報を行った方は、餌やり場所の付近の方である可能性が非常に高く、その場所の近くや通り道であり、糞をするのに都合の良い場所になっている可能性が高いです。
人目につかない時間に人目のつかない場所があるなら場所を変えてみることをおすすめします。ただし、自分の土地でもない、公の場か他人の所有地の場合は、問題になれば責任を取る必要があります。また、そんな都合の良い場所がない。というなら、餌やりを続けるのは難しいと思います。
人目を避けて餌やりを続けたところで、被害が続いている状況であれば、遅かれ早かれまた問題になります。
管理人の地域のケース
管理人の地域でも餌やりをしている方が、餌やり時間を日中から早朝に変えたことがあります。しばらく気付かずに餌やりを続けていたと思うのですが、新聞配達の人が早朝に野良猫がたくさん集まっているのに気付き、町内会長に連絡。町内会長が早朝の3時、4時の時間帯に2日間張り込みを続け、2日とも餌やりをしていることを確認し、再度、役所の職員から注意を受けるということがありました。
地域猫として地域で管理していくよう働きかける
不妊・去勢手術を行い、給餌と糞尿の管理を住民の有志の方達で行い、地域の猫として面倒を見れるように、地域に働きかけをしてみてはいかがでしょうか?
地域猫を奨励している地域であれば、自治体の協力の元、住民達との話し合いの上、地域猫として面倒を見る環境を作れるかもしれません。
ただし、野良猫を地域猫として面倒を見るためには、適切な手続きや管理が必要です。
- 地域の合意
- 給餌の管理
- トイレの設置・管理
- トイレ以外の糞の処理、清掃
- 不妊去勢手術
- 猫の管理。数、個体識別、健康状態の把握
- 猫の譲渡(飼い猫化)
例えば、野良猫の糞尿に困る方は多いのですが、トイレの管理から始めてみるなど、ご自身の振る舞いを改めてみるのもいいかと思います。餌やりだけして、それ以外のことは何もしていなかったら、誰かがあなたの話を聞いてくれるとは思えませんから。
以上になります。周りに迷惑をかける餌やりは、猫達も嫌われ者になってしまい、結局は可哀想な思いをします。また、注意をされて憤りもあるかもしれませんが、自分がしたことで誰かに迷惑がかかってしまったというのは事実です。猫達のことを思う気持ちを周りの人達の気遣いに少しでも分けていただければと思います。(管理人)